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出没

 広瀬と斉藤はその後、会議でのいきさつを電話で白木に説明すると、こっぴどく叱られた。弘樹を怒らせることを絶対にするなと厳命された。


 次の日の朝、朱良は広瀬と斉藤に会い、弘樹を二度と会議に呼ばないように頼んだ。他の隊員たちとはできるだけ接触させないようにしてほしい、とも頼んだ。


 その日から、二度と弘樹が他の隊員たちと顔を合わせることはなかった。目の前にいる広瀬と斉藤とも、朱良を通してのみ会話をした。弘樹は鶴の間で食事をとり、隊員が宿にいる時間は、鶴の間から外に出なかった。


 弘樹と朱良は数日かけて山里を歩き、隅々を見て周った。その前後を隊員たちがぞろぞろとついて歩いた。


 ある夜、弘樹は突然熱を出して寝込んだ。次の日、弘樹は布団の中で過ごしていると、夕方に鬼が出たという知らせを受けた。村人が山奥の神社の境内で襲われたという。


 もうすぐ日が暮れるという時刻であり、弘樹が熱で寝込んでいることもあって、その日は出動しなかった。


 その日の晩に、会議が開かれた。すでに隊員たちの心は決まっていた。明日の朝出動する。弘樹と朱良がいなくてもよい。斉藤は、現場の判断の範囲内のことだと自分を納得させた。


 朱良は、だれか弘樹をおぶって神社まで運んでくれないかと頼んだが、誰も引き受けてくれなかった。この程度のことを頼めないほど、関係は冷え込んでいた。


 朱良が困っていると、話を聞いていた宿の主人の爺さんが「わしの孫に力自慢のものがおるから、頼んでおいてやる」と請け負ってくれた。


 朱良は思わず爺さんの手を取って「ありがとうございます!」と涙声をあげた。


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