必殺技のご利用は計画的に
迫って来る炎の鳥を見ながら、俺は大きく後ろに跳んだ。
チラッと後ろを見ると、追い詰められたキースが呪文を唱えた所だった。
シアンは俺に背を向けている。
「《風よ、飛ばせ》」
「そんな呪文で逃げられるとお思いですか」
ただの時間稼ぎと思ったのか、シアンは余裕顔で風の勢いに逆らわず、自ら風に乗って跳んだ。
ヒュッ!
跳び際に、水の鞭でキースの腕を捉え引き寄せる。
「うわっ!」
不意を突かれたキースも一緒に飛ばされる。
何やってんだか……。
その時、後ろに跳んだ俺と風に乗ったシアンがすれ違った。
すれ違い様に俺は刀を一閃させ、キースを鞭から解放してやる。
「助かった!」
キースを助けた俺を見て、シアンが舌打ちをする。
「ビズラは何をしているんです。……って!? しまっ……!!」
そして、ビズラの方を見てようやく気付いた様だ。
……炎の鳥が自分に向かって来ている事に。
「《み、水よ……》」
ゴウッ!!
慌てて唱えた呪文は、炎によって掻き消された。
「なっ!? シアン!!?」
今頃気付いたビズラが驚いた声を上げる。
ビズラが慌てて呪文を解除すると、そこには黒焦げになったシアンが倒れていた。
水の呪文が間に合ったのだろう。微かに息をしている。
ビズラがこっちを睨んで言った。
「てめぇら、よくもシアンを……」
「お前の唱えた呪文だろう?」
むしろ、生きてるだけ感謝してほしいくらいだ。
悔しげに顔を歪めるビズラに、俺は言った。
「さて、お前も黒焦げになりたくなかったらケアンの所まで案内して貰おうか」
「誰が案内なんかするかよ!!」
「そうか? なら……」
「お、おいレオン! まさか……。拷問とかする気か?」
何を勘違いしたのか、キースが嫌な顔をした。
別に拷問しても良いが……。
死なない程度にするのって疲れるんだよな。
「そんな面倒な事、しねえよ」
「そ、そうか。……って、俺にやらせるのも無しだぞ!?」
……その手があったか。
自ら墓穴を掘るとは、物好きな奴だ。
次の機会があったらキースにやらせよう。
「それより、面白いモン見せてやるよ」
俺がビズラを見ながら言うと、ビズラが後ずさる。
「な、何をする気だ……?」
警戒するビズラを他所に、俺は呪文を唱えた。
「《炎よ、不死の鳥たる炎の精よ……》」
「なっ!!?」
ビズラが驚いた声を上げた。




