ここは室内です
あ~あ。
キースの奴、危ないな。
シアンが水の鞭を出したのを見て、俺は他人事の様に思った。
「くそっ!!」
「何で当たらねぇんだよ!?」
「余所見してんじゃねぇ!!!」
因みに。
俺はビズラの攻撃を躱しながら、その光景を見ている。
ビズラが躍起になって槍を振るうが、タネの分かった槍など脅威でも何でも無い。
「虚仮にしやがって……!」
ビズラは、一向にそちらを見ない俺に痺れを切らしたのか、槍を投げ捨てて呪文を唱え始めた。
何をするのかと、チラッとビズラを見る。
「今更慌てたって遅いからな!」
ビズラは勝ち誇った様に呪文を完成させた。
「《炎よ、成せ!》」
……何だ。
ただの二番煎じじゃねぇか。
何をするのかと思ったが、シアンの様に炎で槍を作っただけだった。
ビズラが炎の槍を振りかぶる。
俺はキースの方を見ながら、ヒョイヒョイと躱していく。
キースが風の刃でシアンの鞭を切り裂くが、水で出来た鞭はすぐに元通りになってしまう。
「逃げるしか能が無いのか!?」
ビズラが挑発してくる。
大方、シアンと同じ事がしたいのだろうが、俺が攻撃しない限りどうにもならない。
「いい加減にしろよ!」
ビズラが叫ぶ。
うるせぇな。
「当てられないお前が悪いんだろ?」
「何だと!? なら、俺の最強呪文で焼き付くしてやる!」
ビズラは俺の挑発に乗り、呪文を唱え始めた。
「《炎よ、不死の鳥たる、炎の精よ、盟約に答え、我に力を貸したまえ……》」
ビズラの前に、炎の塊が生まれる。
それは、徐々に形を変えて行く。
今までの呪文とは、格が違う様だ。
……ってか、隙だらけなんだけど。
ビズラは集中してるのか、今なら確実に一撃で倒せるだろう。
まあ、何もしないが。
俺は、ビズラの呪文が完成するタイミングを計りながら移動する。
……ここだな。
俺が足を止めた所で、ビズラの呪文が完成した。
「《……その業火を以て、我が敵を灰塵と為せ!!》」
ゴウッ!!
炎の鳥が俺に向かって飛んでくる。
チッ……。
室内で使って良い大きさじゃ無いだろう。
「《水よ、阻め》」
俺は水の呪文を唱える。
ジュワッ……!!
炎の鳥と水の壁がぶつかり、水蒸気が上がる。
流石に省略した呪文では完全には防げそうにない。
「無駄だぁ!」
水の壁が全て蒸発し、炎の鳥は2回り程小さくなっていた。
だが、その勢いは止まる事なく俺に向かって来る。




