奴は四天王でも最弱の存在…
俺は階段に向かった。
キースが慌てる。
「お、おい、レオン!? 罠はまだ解かれて無いかも知れないぜ?」
そんな事は分かっている。
呪文による罠と分かれば手はある。
俺は階段に手を翳し、呪文を唱えた。
「《炎よ、我に力を貸したまえ。我に従い、道を開け》」
ゴウッ!
俺の手から放たれた炎が階段の表面を撫でる。
「一体、何を……? って、レオン!?」
キースが首を傾げる中、俺は階段に足を掛ける。
炎が俺を包む事は無かった。
そのまま悠然と階段を上る。
「え、えっ!? 大丈夫、なのか!?」
「見ての通りだ」
「……すみません、見ても分からないので説明して貰えますか?」
しょうがねぇな。
馬鹿なキースにも分かるように説明してやるか。
「……めっちゃ馬鹿にされた気がする」
キースの呟きは無視して、俺は親切な説明をしてやった。
「相手の呪文を俺様の呪文が乗っ取った。以上」
「以上って……。それって、相当の実力差が無いと出来ないんじゃ……」
「そうだが?」
「…………ああ、そう」
俺があっさり頷くと、キースは何かを諦めた様に肩を落とした。
「オイオイ、一体どんな手品を使ったんだぁ?」
階段を上りきると、一人の男が待ち構えていた。
恐らく、こいつが罠を張ったのだろう。
先程のゴードンとは対称的に、小柄な身体をしていて子供の様にも見える。
短い茶髪に、生意気そうな目で俺を見詰めている。
俺は後ろから付いてきた餓鬼に聞いた。
「誰だ?」
「え、えっと、多分……ビズラ・ハンガリアンだと思う。ゴードンと同じ、ケアン四天王の一人だよ」
餓鬼がたどたどしく説明する。
って、四天王とか居るのかよ……。
「私も居ますよ」
そう言ってビズラの後ろから現れたのは、金髪を長く伸ばした、細身の……。
男だか女だか良く分からない容姿をした奴だ。
「お前は?」
「私はシアン・ローデ。ビズラと同じ四天王です。以後、お見知り置きを」
丁寧に自己紹介してくるシアンに、ビズラが文句を言う。
「何だよシアン。呼んでねぇけど?」
「貴方の罠をどうやってすり抜けたのか、興味が有りましてね」
「俺の獲物だぜ?」
「邪魔はしませんよ。そうですね、私の相手は後ろの男性にお願いしましょうか」
そう言って、キースに視線を向けた。
キースが視線を受けて聞いた。
「…………俺?」
その様だな。




