五芒星は魔術の基本
俺の血で五芒星を描いた紙人形は、みるみる内に形を変えていった。
「うえぇぇぇっ!!?」
キースが驚いて叫ぶ。
餓鬼はポカンと口を開けている。
その間にも、紙人形は大きくなっていき、やがて俺と同じ大きさの人形になった。
「行け」
俺が命じると、人形は階段へと向かって進みだした。
「う、動いた!?」
キースの声は裏返っている。
まあ、驚くのも無理は無い。
これは、別の世界で陰陽師に教わった式神と言うもので、当然この世界には存在しないだろう。
予め術を施した紙人形に五芒星を描くことで、俺様の意のままに動く人形が作り出せる。
……面倒だから、キースに説明する気は無いが。
俺様の命に従い人形が階段へ踏み出す。
1段目に足を乗せた瞬間。
ゴウッ!!
一瞬にして人形が消し炭と化した。
…………何だ、今のは?
罠なのは間違い無いだろうが、何処から炎が出たのか分からなかった。
しかし、キースは違った様だ。
「今のは……。自動魔法?」
「何だ、それは?」
「設定した条件を満たすと自動で発動する呪文だ。めちゃめちゃ修得が難しいし、詠唱者は近くにいなくちゃいけなかったりで、使われる事は殆ど無いんだが……」
尚もキースは説明を続ける。
そう言えば、説明好きな奴だったな。
「メリットよりもデメリットの方が多いから、誰も修得しようともしない。その代わり、見破るのは殆ど不可能だ」
成る程な。
条件は階段を踏む事か。
「この場合、階段を踏むのが条件だろうけど……」
そこで、キースが何かに気づいたのか、震えた声で言った。
「お、俺。もしかして、あと一歩で死ぬとこだった……?」
……ああ。
そういや、そうか。
俺が止めなければ、炭になっていたのはキースだっただろう。
俺はキースを見てニヤッと笑った。
「感謝しろよ?」
「……します、しますよ! レオン様様っ!」
キースが半ば、やけくそ気味に言った。
さて……。
キースは、術者は近くにいると言ったな。
俺は階段の上に向かって声を掛けた。
「おい! 近くに居るんだろ? 出て来たらどうだ?」
…………。
返事はない。
ここで、立ち往生させるつもりか?
「どうするんだ? 呪文は解除されたとは限らないし……」
「出てこないなら、こっちから出向くまでだ」




