ダンジョンでよく見るトラップ
少しして、矢は全部出きったのか、辺りが静かになった。
「し、死ぬかと思った……」
未だに頭を抱えて伏せているキースの脇を通って先に進んだ。
「レ、レオン! もう大丈夫なんだろうな!?」
親切にも俺が通って見せたと言うのに、伏せたまま聞いてくる。
「ん~……。早くしないと、次がセットされるかもな」
「マジで!?」
キースと餓鬼が慌てて付いてくる。
しかし、俺より先には進もうとしない。
「って言うか、何すんだよ!! 死ぬかと思ったぜ!?」
キースは俺の後ろに隠れる様な、情けない格好で文句を言ってきた。
「死ななくて良かったな」
「良かったなじゃねぇぇぇ!!!」
耳元で騒ぐので、耳が痛い。
「うるせえな。良いじゃねえか、生きてんだから。運が悪けりゃ、上からも降って来てたかも知れないんだぜ?」
「……レオンさん? 勿論、上からは来ないの解ってて蹴り出したんデスよね?」
俺の言葉に、キースがぎこちない笑みを浮かべて聞いてきた。
勿論の所がやたらと強調されている。
仕方なく、正直に答えてやった。
「いや、それは賭けだったな」
「………………鬼だ」
キースが絶望したように呟いた。
鬼じゃなくて、魔王なんだけどな……。
キースが静かになった所で先に進む。
しかし、数歩進んだ所で再び足を止めた。
…………。
だから、何で勇者の家にこんなもんがあるんだよ……。
「な、何だ? また何かあったのか?」
俺が立ち止まったのを見て、キースが聞いてくる。
「あ~……。キース。こっちに「嫌だ!」
言い終わる前に、キースは全力で拒否した。
チッ……。
「舌打ちしたって、嫌なもんは嫌だからな!」
キースは絶対に俺より前に出ない姿勢を貫く。
仕方ない。
俺はチラッと餓鬼を見る。
餓鬼はあからさまにビクッと震える。
「お…お兄ちゃん? まさか……次、僕?」
「他に丁度良い大きさの物が無いんだよな」
俺はそう言って、後ずさる餓鬼の首根っこを掴んで持ち上げる。
それを見て、キースが慌てた声を上げる。
「お、おい、レオン!?」
「キースが嫌だって言うから仕方ないよな……」
「ううぅ……」
俺が呟くと、餓鬼は怨みがましい目をキースに向けた。
「ええっ!? 俺が悪いの!?」
キースは放って置いて、俺は餓鬼を見た。
「まっ、ちゃんと持っててやるから大丈夫だろ。……また後で使うかも知れないしな」
後半は呟きだったが、キースには聞こえていたらしい。
呆れたように呟いた。
「使うって……」




