ここは勇者の家です
「…………騒ぐと余計、鼻血吹くぞ?」
「誰の所為だぁぁぁ!!」
キースは俺の親切な忠告を聞かずに騒ぐ。
同時に鼻血も吹き出た。
「あぅ……」
キースが慌てて鼻を押さえる。
血が止まらないらしい。
……しょうがねぇな。
あまり得意じゃないが……。
俺はキースに近づき、その顔に手を伸ばす。
「えっ? レオン、何を……?」
人差し指でキースの鼻に触れると呟いた。
「……癒えろ」
「ちょ、レオン? ……って、あれっ? 止まった?」
俺が手を離すと、それまで流れ続けていた鼻血が止まっていた。
キースが不思議そうに鼻を触る。
「……痛くもない。レオン、何したんだ?」
この様子だと、この世界に回復系の呪文は無さそうだな。
別の世界の呪文なんだが、どう説明しようか。
…………説明しなくて良いか。
「さあな」
「さあなって……。おい!?」
キース的には良くないらしいが、面倒なのでさっさと歩き出す。
餓鬼がちょこまかと付いてくる。
「お兄ちゃん、強いんだね! ゴードンを倒しちゃうなんて……」
「当然だ」
「お~い、また無視ですか?」
何か声が聞こえたが、餓鬼までシカトする。
「お兄ちゃんなら本当にケアンも倒しちゃうかも……」
「当たり前だ」
「……待て待て! 置いてくなって!」
キースが慌てて付いて来る。
……餓鬼もだいぶキースの扱いが分かって来たらしいな。
気絶したゴードンはその辺に転がして置いて、階段を上がる。
2階に着いたが、3階に続く階段が見当たらない。
番人が居るくらいだ、侵入者を警戒した作りになっているのかも知れないが。
そんなに侵入してくる奴がいるのか……?
ここ、勇者の家だよな?
俺は首を傾げつつも、階段を探す。
2階の廊下は、上ってきた階段を中心に左右に延びている。
人の姿は見当たらない。
適当に右へ進んだ。
……ん?
俺は数歩進んだ所で足を止めた。
何の変鉄もない通路の一点を見詰める。
これは……。
「どうしたんだ?」
立ち止まった俺を見て、キースが声を掛けてきた。
多分、あれだよな……。
「丁度良い。キース、こっちに来てみろ」
「へっ?」
「ここに立て」
間抜けな声を上げるキースを、俺が立ち止まった場所に立たせ、俺はキースの後ろに回った。
キースが俺を振り返りながら聞いてきた。
「で、どうすんの?」
「ん~……。まあ、運が良ければ死なないだろ」
そう言って、キースを廊下の先に蹴り出す。
「うえっ!?」
不意打ちを喰らったキースは、顔面からモロに倒れる。
その、瞬間。
ドドドドド!!!
倒れたキースのすぐ上を無数の矢が通り抜けた。
「うわっ!!?」
……やっぱりな。




