ハゲ頭の斧使いは基本
「……お兄ちゃん、本当に魔王なの?」
「お前が言ったんだろうが?」
「そう、だけど……」
「まあ、レオンは魔王と呼んでも良いくらい強いから大丈夫だろ」
キースが餓鬼を安心させる様に言う。
ってか、正真正銘の魔王なんだが……。
まあ、良いか。
俺はキース達を放って屋敷の正面玄関に向かう。
そこでも見張りの傭兵が声を掛けてきた。
俺は立ち止まる事無く進む。
「待て。お前達、何処から入って来た?」
「正門」
「来客の予定は聞いていないが?」
「知らねえよ」
次の瞬間。傭兵達が倒れる。
それを、先程と同じ様にキースが隠した。
そのまま中に入る。
見かけ通り、中の作りはかなり豪華な物だった。
「いらっしゃい…ませ?」
玄関では若いメイドが一人、突然の来客に戸惑っている。
俺は一瞬でメイドの目の前まで移動する。
驚いて逃げようとしたメイドの手を取り、自分の方に引き寄せる。
そして、メイドの耳に顔を寄せて囁いた。
「動くな。ケアンは何処だ?」
「ケ、ケアン様なら3階の自室に居られます」
俺は素直に答えたメイドの頬を撫でてやる。
「良い子だ。そのまま暫く騒ぐなよ?」
「は、はい」
俺が手を離すと、メイドはその場にヘナヘナと座り込んだ。
その横を平然と通り過ぎる。
後ろでキースが呟くのが聞こえた。
「見事なタラシ込みだな……」
堂々と屋敷の中を進む。
俺は奥に見えた階段を上がって行く。
辺りには誰もいない様に見えたが、階段の踊り場まで来ると上から気配がした。
俺が足を止めると、キースが不思議そうに聞いてきた。
「どうしたんだ?」
その問いには答えず、俺は上の気配に向けて声を掛けた。
「そこに居るんだろう? 隠れて無いで出迎えたらどうだ?」
すると、柱の影から一人の男が姿を現した。
ハゲ頭に、筋肉隆々とした体つき。
そして、その目付きは明らかに堅気の人間では無い。
「……何故分かった?」
「気配で」
「ふん、少しはやるようだな。だが、これより先には行かせぬぞ」
……こいつは最初から俺を侵入者として見ている様だ。
男は背中に担いでいた巨大な戦斧を俺に向けた。
後ろで餓鬼が呟く。
「あ、あいつは、ケアンと共に数々の魔王を倒した怪力、ゴードン・セター」
成る程、先程までの雑魚とは違う様だ。
勿論、俺様の敵では無いが。
「俺の斧の錆びになるが良い!」
ゴードンはそう叫ぶと、戦斧を掲げて突進してきた。
ゴツい身体つきの割りには速いな。
しかし、俺はゴードンの渾身の一撃を半身ずらす事で躱した。
しかし、ゴードンはニヤリと笑う。
「甘いわ!」




