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魔王クエスト  作者: ぽち太郎
第1章
18/40

ハードモードは勇者とのエンカウント率が高い

「お前が魔王か!?」


「違います。《風よ、飛ばせ》」


「魔王は俺達が倒~す!!」


「人違いです。《風よ、阻め》」


「魔王は…「違うっつってんだろうが!!」」


王都に向かう道すがら、勇者の団体との戦闘が5回くらいあった。


……いくらなんでもエンカウント率高すぎないか?


まあ、全てキースに片付けさせたが。


「レ~オ~ン~お前も少しは手伝えよ~」


流石に疲れたのか、キースが文句を言う。


そんなキースをちらっと見る。

いつもの軽薄そうなニヤケ顔から疲労した感じが見て取れた。


しかし、俺は黙って馬を走らせる。


「えぇっ!? スルー!? いや、ちょ、俺、もう魔力が……」


そこに一組の勇者が襲い掛かって来た。


「貴様が魔王かっ! 覚悟っ!!」


馬鹿正直に真っ正面から突っ込んで来る。

俺はキースを見て言った。


「よろしく」


「無理っ!!」


キースは速効で拒否した。

本当に魔力が尽きたらしい。


「チッ……使えねぇ」


「ちょ、それ酷くない!? 俺、もう勇者50人くらい倒したぜ!?」


たかが50人で音を上げるなんざ……。


まあ、並の人間に真似できる事では無いか。


「しょうがねぇな……。《風よ、飛ばせ》」


「うわぁ!!」


俺の溜め息混じりの一言に、勇者達はあっさりと吹き飛ばされる。


後ろからキースの呟きが聞こえた。


「……レオンがやった方が早いじゃん」


それにしても、邪魔が入るせいで中々先に進めない。



日が沈みかけた頃、やっと王都が見えて来た。

夕陽を受けて外壁が真っ赤に染まっている。


「や~っと見えて来たかぁ。それで、どうするんだ? 真っ正面からは入れないぞ」


「正面が駄目なら裏に回るまでだ」


「……やっぱり? でも塀は2m以上あるし、さっきの町と違って塀の上を兵士が巡回してるぜ」


「関係無い」


そう言って、俺は正門の横手に回った。


少し離れた位置から塀を見上げる。

確かに、兵士が巡回しているな。


「それに、俺、魔力尽きてるから、自力じゃ塀を越えられないんですけど……」


……置いてこうか。


「あっ! 今、置いて行こうかとか考えたろ!」


…………。


「レオンの考える事は大体解るようになって来たぞ」


キースが得意気に言う。

……何かムカつく。

やっぱ、置いてくか。


しかし、それも伝わったのかキースが慌てて言った。


「調子に乗りました! ごめんなさい! 置いてかないで、レオン様っ!」


……しょうがねぇな。


五月蝿いキースは放って置いて、俺は巡回している兵士を見る。


さて、どうするかな。


キースの話ではこの世界の呪文は一人につき一属性らしいが、俺には関係無い。

さっきのですでに使い方はマスターした。


この世界では、いちいち精霊にお願い(詠唱)して、その力を借りる。


力を借りるには借りる本人にも魔力が必要で、大きな魔力を持っている奴なら詠唱を省略出来る様だ。


そして、魔力の多い俺がちゃんと詠唱すればこんなことも出来る。


「《風よ、大地よ、我に力を貸したまえ》」


「なっ……! 二重詠唱!? 冗談だろ!?」


俺の詠唱を聞いて、キースが驚いた声を上げる。

……冗談等では無い。


俺は塀に掌を向ける。


「《混じり合って、舞い踊れ》」


大地が乾き、砂となり、風がそれを舞い上げた。


巡回中の兵士を砂嵐が襲う。


「行くぞ」


声をかけるが、キースは呆然としている。


「嘘だろ……」


めんどくさい奴だ。


「《風よ、運べ》」


俺は呪文を唱えると、キースの襟元を掴んで風に乗った。

風が俺達を塀の上に押し上げる。


「うわわわっ」


「黙ってろ」


そのまま、砂煙に紛れて塀の向こうに着地した。


兵士達は突然の砂嵐に驚いているが、俺達には気付かなかった様だ。



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