再び勇者が現れた!
街道を少し進むと、3人組の勇者御一行と出会った。
そいつ等は俺の事をじろじろと見つめると、何処かで聞いたようなセリフを言ってきた。
「何だお前? 勇者か? 証を見せろ」
「…………」
「違うのか? 金を払えば町まで……「潰れろ」
ぐえっ、と蛙が潰れた様な声と共に3人が地面に押し付けられた。
程よく潰してやると、俺はそいつ等に見向きもせずに先に進む。
しかし、数歩も行かないうちに横合いから声が掛けられた。
若い男の声だ。
「お、お前っ! 今、何をした!?」
今のを見ていたらしい。
端から見たら、突然3人組が倒れた様に見えただろう。
男の声には怯えが混じっている。
「ま、まさか……。魔王!?」
……正解だ。
ご褒美に重力をくれてやろう。
俺が手を翳すと、男は慌てて飛び退いた。
先程まで男が立っていた場所がへこむ。
「こ、これを……!」
男は腰にぶら下げていた筒を取り出し、先端を空に向けた。
何をするのか見ていると、筒の脇から出ている紐を思いっきり引いた。
パン!
軽い音と共に、赤い閃光騨が空で弾けた。
……何だあれは。
「こ、これで近くの勇者達が集まって来る。もう逃げられないぞ!」
男は勝ち誇った様に言った。
成る程、そういう仕組みか。
「潰れろ」
今度は避けられない様に、広範囲に呪文を唱えた。
男は呻き声を上げる間も無く気絶した。
さて、どうするか。
考えていると、馬の蹄の音が近づいて来た。
数は2つ。
丁度良い、馬を奪おう。
「おぉ~い!」
馬の姿が見えてくると、馬上から聞き覚えのある声がした。
…………。
「良かった、追い付いた。置いてく事無いだろ~」
馬に乗って現れたのは、町で置いてきた筈のキースだった。
栗毛の馬に乗り、後ろには黒毛の馬を連れている。
「今、信号弾が上がったみたいだけど、魔王が出たのか?」
「さあな」
「何だ、レオンは見てないのか?」
「ああ。見てはいないな」
嘘は言っていない。鏡が無いから自分の姿は見ていない。
「もう逃げた後か……。ちぇ~、金持ちになるチャンスだったのに」
目の前にいるぞ。
そう言おうかと思ったが、何となく言わなかった。
「まあ良いや、それより早くここを離れようぜ。直に勇者の団体が来るぞ」
キースはそう言うと、黒毛の馬を俺に渡してきた。




