下僕を手に入れた!
ここは、馬車の停泊用の町の様だ。
宿屋が2、3軒。それと幾つかの店。
数える程しか家がない。
「今日はここに停泊します。馬車は明日の朝一番に出発します」
御者が言うと、皆それぞれ手持ちに合わせた宿に入って行った。
「俺達は何処に泊まる?」
当然の様にキースが言ってきた。
「どれでも良い」
相手をするのも面倒になって来たので、好きにさせる事にした。
「じゃあ、ここで」
キースは勝手に宿を取ると、鍵を渡して来た。
「はい。俺の隣の部屋だって。流石に同じ部屋にしたらキレるだろ」
良く分かっているらしい。
まあ、面倒事をやらせる下僕が出来たとでも思えば良いか。
「何か今、凄い見下さなかった?」
「……何の事だ?」
鋭い。
俺は惚けて、鍵を受け取った。
「まあ、良いけどさ……」
部屋に入ると、中々の広さだ。
貧乏臭い顔をしていたが、意外と金を持っているのかも知れない。
荷物を置くと、キースが声を掛けてきた。
「レオン~。飯食いに行こうぜ~」
キースに連れられて来たのは、隣の酒場だった。
中はそこそこ賑わっていた。
席に着くと、若い女が注文を取りにくる。
女は俺に向かって言う。
「ご注文はお決まりでしょうか~」
「レオン、何食う? 奢るぜ」
「一番高い飯と酒を」
「は~い。かしこまりました~」
「……嫌がらせ?」
「ご注文は以上でよろしいでしょうか~?」
女はキースの方を見ずに言う。
「いやいや! 俺のも!」
「チッ……お早めにお願いします~」
「今舌打ちしたよね!? ……じゃあこれで」
「直ぐにお持ちしますね~」
女は俺に向かって愛想良く言うと下がって行った。
「俺の注文聞いてたかな……」
「…………」
女の態度は素直だった。
別にキースが特別不細工な訳ではない。
むしろ標準以上だろう。
顔は軽薄そうな笑みを浮かべているが、見方を変えれば愛嬌と呼ぶことも出来るかも知れない。
そんなキースがあの扱いなのは、単に俺のせいだろう。
自分で自分の容姿を褒める気はないが、俺の顔は人間の女に好かれるようだ。
「ううぅ……。俺だって、俺だって……」
キースが何やら呟いている。
まあ、放って置こう。
それにしても、高い飯を取り消さない辺りやはり金があるのだろう。




