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トリックルーム  作者: 鳳仙花
第二ゲーム
12/36

香奈恵と優羽

優羽は無事なんだろうか。

もし優羽が捕まっていなければ良いのだが、俺の近くにいたからそのまま見過ごすことはありえない。

仮面の人が何者なのかも分からないし、何人グループなのかも分からない。

大規模な組織やグループというのは無いだろうが、ただの一般市民による単独犯とは考えづらい。

単独犯では俺と優羽の二人を同時に黙らせるのは不可能だ。


そういえば第一ゲームで裕太が香奈恵の事を言っていたのが気になっていた。

まさかあの香奈恵についてで話すことがあるなんて、一章無いと思っていた。

一年ほど前、彼女は行方不明になったからだ。

いや、裕太の話を聞く限りでは行方不明だったのが正しいのか。


どちらにしろ、どうして香奈恵が行方不明になったのかは俺は知らない。

あの夜の境に香奈恵は忽然と姿を消したのだ。

姿を消したと言っても香奈恵から一方的に誘いや連絡があったから、連絡が来なくなっただけだ。

俺としては気にしていなかったからどうでも良かったは、行方不明のニュースを知ればそうも言ってられなかった。

でも、香奈恵の友人関係は知らなかったから確かめることはできなかった。

行方不明のニュースが流れた以上、確かめる必要はないかも知れない。

それで知り合いが行方不明なのは、なかなか信じられない思いとなるものだ。


「香奈恵、か……」


彼女の名前を口にして、どんな女性だったか少しだけ思い出す。

まずは第一印象は綺麗な女性だと思った。

優羽も綺麗ではあるけど、それとは少し違う。

優羽が可愛らしい可憐な女性だとしたら、香奈恵は大人びた綺麗な女性だ。

態度や仕草、食事のマナーは優羽のように洗練されていなくて砕けたものだったけど、若々しい女の子みたいで嫌ではなかった。

むしろ優羽と長い時間を共に過ごしていた俺には新鮮味があって、悪い刺激ではないと思えた。


あの魅力的な目で見つめられて豊潤な体で色仕掛けされたら、健全な男性は思わず気持ちが昂ぶるだろう。

少なくとも性格は悪くなかったし、容姿はかなり優れていた。

更に、好みかどうかと言われたら好みと言える。

それでも俺には優羽がいたから心移りすることは無かった。

優羽がいなかったら…、どうだろう。

香奈恵と付き合いはしていたかもしれない。

だけど、それ以上の関係が築けたかは推測すらできない。

そもそも香奈恵が俺を気に入った理由が分からない。


香奈恵との初めての出会いは裕太に誘われた合コンだったが、どういう話をしたかは覚えていない。

おそらく他愛のない話しかしておらず、とても俺からは男性の魅力を感じることは無かったはずだ。

それでも俺に好意を寄せてきたのは、物好きだったか友達になろうとしてきただけかもしれない。

それを俺が勝手に好意があると解釈した。

俺の恥ずかしい自惚れだったという事になるが、その方が自然か。


……優羽との出会いはどうだっただろう。

気が付けば知り合って連絡を取り合っていて、親しくなっていた。

そして自然と恋人の関係になった気がする。

だから付き合い始めはそんなにドラマチックでは無いはずだ。


でも付き合ってからは優羽の色々な魅力に気がついて、年数をかければかけるほど好きになれた。

多分、優羽も同じだとは思う。

それか優羽は両親がいないと言っていたから、家族のような繋がりを俺に欲していたのかもしれない。

確信はないけど、優羽は妙に俺に信頼を持っていたからありえる話だ。


なぜ優羽の両親がいないかは詳しくは知らないが、事故に遭った、とだけは聞いていた。

どういう事故か俺は知らない。

しかし事故で両親を失ったとしたなら、かなり悲惨な事故だったに違いない。

その事故に優羽も体験をしたのか分からないが、あまり深入りしたり面白がって聞く話ではない。

だから俺は優羽の気持ちを察して、俺からは優羽の両親についての話は一切しないようにしている。


もし詳しく聞こうとしても優羽は秘密と言って、はぐらかすだろう。

優羽はさりげない小さな事を秘密にしたがるからな。

変わった癖だが秘密にする内容は本当に些細な事だったりと、いらずらっぽく秘密にすると言った程度だ。

俺は気にしたことはなく、何より優羽は秘密と言った時の愛想笑いは素敵だった。

一種の特有のコミュニケーションだ。


でも昔の話に関しては両親が絡むからなのか、秘密にすることが多かった。

中学や高校はどうだったか訊いても曖昧な返答で、人付き合いに関しては秘密と答えてきた。

もしかしたら明るい生活は送れていなかったのかもしれない。

そうだとしたら秘密にしたがる気持ちは分かる。

でも、俺は今の優羽が好きだからこそ過去の優羽を知りたかった。

優羽がどんな辛い目にあったとしても、俺は受け入れて慰めてやりたい。


たとえ当時は優羽が褒められる人格者では無かったとしても、俺は気にしない。

過去だからとか、現在はこうだからと区別する気もない。

でも過去の優羽の存在までも愛するわけではない。

ただ俺は認めるだけだ。

過去にどんなことがあったとしても、許したり慈しんだり特別な事を想う必要はない。

それが過去の優羽だったのだと、素直に受け入れるだけでいいはずだ。

辱めたり軽蔑する意味もない。


…でも、これは優羽にとって本当に秘密しておきたいような話だった場合だ。

実際は大したことはない普通の生活を送っていたかもしれない。

それならなぜ秘密していたのか気にする所だ。

しかし優羽に限っては秘密に対して理由は無いのだ。

一般的に秘密は知られたくないからする行為だが、優羽は違う。

お遊びとして優羽は秘密を作る。


これで結構、優羽に対しての心象や印象が別れそうな部分だ。

優羽の秘密を作る癖を理解してあげれないなら、あまり良い印象を抱くことはない。

俺は全てを理解してはあげれていないが、そういうものなんだと思っていて、今は気にする事はない。


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