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パンデミック 4日目 買い物の約束

 高知県国道55号線の知寄町にある大きな店。

 光汰はペンギンが目印の店の看板を見て車を停めと、車が停まった事に気づいたのか、少女は耳からイヤホンを外す。


「ショッピングモール?に着いたの?」

「別の場所だけど、ここでも調達できるかもしれないからね」

「チョコパンもある?!」

「んあ?ん~、一応置いてあるか見てくるよ」


 光汰は鞄の中からペンライトを取り出すと、車を降りて助手席の扉を開けて少女を下ろと、少女が持っていたスマホを取り、画面を操作して再び少女に手渡す。


「ふうちゃん。このスマホから音が鳴っても、俺が戻ってこなかったら、その時はスマホはこの場に棄てて鈴をもって逃げるんだよ?」

「光汰お兄ちゃん……わたしを置いていくの?」

「店の中には十中八九ゾンビがいる。危険だから連れてはいけない」

「やだ…やだ!やだ‼お願い一人にしないで!もう一人はいや!」

「ふうちゃん。今回ばかりは言う事を…」

「光汰お兄ちゃんはゾンビって怖い人がいるのに、何でお店の中に行くの?」

「汚れた服を着てるのも、明日何も食べれないのも嫌だろ?」

「お洋服が汚れてても、ご飯が食べれなくても、わたしは光汰お兄ちゃんと一緒の方がいい!」


 少女の瞳からポロポロと流れ落ちる涙を見て、光汰は大きく息を吐く。

 静寂の中で、光汰の手が少女の頭にそっと伸びる。


「俺より前に行かないって約束できる?」

「やくそくする」

「傍から離れないって約束できる?」

「絶対離れない」

「逃げろって言ったら、一人で逃げるって約束できる?」

「それはいや!」

「はは…頑張るしかねぇな。じゃ、一緒に行こうか」

「うん、一緒にいく!」


 店の出入り口前に立つ光汰と少女。

 店の破壊された自動ドアには無数の赤い手形と、バリケードのように置かれた商品棚も倒れている。おまけに、スイッチが入っていないのか、発電所か変電所に問題が起きたのか店の中は真暗。


「ふうちゃん。ここからゾンビがいるか分かる?」


 少女は音に集中するためか、ゆっくりと目を閉じる。


「いる……いない?どっちか分からない」

「音は聴こえなかった?」

「ううん。少し聴こえたけど、怖い人は光汰お兄ちゃんとちがって、ドクドクって音が聴こえないから、歩いててくれないと、はっきり聴こえないの」

「つまり、ゾンビが立ち止まっていたら、ふうちゃんでも聴こえないと」

「ごめんなさい。鈴を鳴らせば、いるかいないか分かるんだけど…」

「謝ることないよ。それじゃ…」


 コンビニでゾンビが屯っていたように、ゾンビは音にも反応を示す。

 ここで少女が鈴をならせば、すぐさま店の中からゾンビが一気に現れる危険性があるが、光汰は革手袋の手首部分を引っ張り、真剣な眼差しで軽く息を吐く。


「ふうちゃん。今度は鈴をならして、いるかいないか教えてくれる?」

「う、うん。やってみるね」


 ――チリン、チリン――


 静寂の中で鈴の音が響き渡る。


「お、おくにたくさん…近づいてきてる!」

「ちっ、一旦離れる!」


 光汰は少女を抱きかかえ、出入口から距離を取ると少女を下ろす。


「ここで鈴を鳴らし続けて、店の中から――」

「お兄ちゃん!もう来てる‼」


 光汰はすぐさま振り返り、体を反転させながらも的確ににゾンビの顎を殴り砕く。

 その間も店の中からは一体、また一体、ぞくぞくとゾンビが外に出てくる。


「記者みてぇに、わらわらと群がってきやがって…」

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