パンデミック 4日目 買い物の途中で…
ペンギンが目印の店の駐車場。
周辺には千切れた頭部に四肢、骨と内臓が露わとなった胴体、首が変な方向に曲がったゾンビの死体が散乱している。
死体観賞の趣味でもあるのだろうか?
その内の首からピュピュと血が出る死体を見ながら、光汰はブラックコーヒーを飲んでいる。
「光汰お兄ちゃ~ん。そこで何してるの~?」
「ん~、ちょっとね」
少女の問いに曖昧な返事をする光汰。
やはり、光汰はコーヒーを片手に死体観賞する趣味があるのだろうか?
「それじゃ、必要な物を探しにいこうか」
「チョコパンも探してくれる⁉」
「ああ、探してみる…あっ」
光汰は革手袋を外しながら猛ダッシュで車に戻り、自分の手にアルコールで消毒しながら、少女のところに戻り手を握りながら店の中に入っていく。
ペンライトで照らしながら、光汰は水や保存食を手当たり次第にカートに入れ、その近くで少女は『チョコパン』と何度も声に出す。
「ん~、ちょっとあっち見に行こうか」
「うん」
「ふうちゃん、チョコパンというかパンが置いてない」
「え~。食べたかった…けど、無いんだから仕方ないよね」
「……」
「光汰お兄ちゃん?どうかしたの?」
「いや…泣くと思ってたけど、意外と冷静だなぁってね」
「前は泣いてたけど、せんくんに『泣いても無い物は出てこないし返ってもこない。泣くくらいなら替わりの物を探すか、自分で作った方が効率的だよ』て、言われてから無い物で泣くのやめたの」
「ええっと……その、せんくん?だっけか?その子って何歳?」
「なおくん、せんくん、わたしの順番だから……9歳!」
その答えに対して光汰は何も答えず苦笑いを浮かべる。
「なおくんとせんくんも元気かなぁ。早くまた会いたいなぁ」
「俺もせんくんには会って話してみたいな」
「光汰お兄ちゃんと同じで、何でも教えてくれて優しいから、すぐお友達になれると思うよ」
「んあ?俺べつに優しくはないよ?」
「え~、私にパンの袋の開け方教えてくれたじゃん」
「あれは優しさとは言わないよ」
二人は談笑し合いながら、店の奥にある衣服コーナーへと向かっていく。
しかし、衣類品が並ぶコーナーの手前にあるカプセルトイコーナーで、突然少女が歩みを止める。
「……」
「どうした?あぁ、カプセル――」
少女が人差し指を口の前に立てたのを見て、光汰は言葉を飲み込む。
「光汰お兄ちゃん。鈴鳴らしていい?」
「だめ。何か聴こえるのか?」
「うん。すごく小さいけど……聴こえる」
「どこから聴こえるか分かるか?」
「……あっち」
少女は二人が来た出入口の方に指を出す。
その姿を見て、光汰は軽く息を飲み、勢いよくペンライトを向ける。




