パンデミック3日目 前編
3日目の早朝。
青年は高知商業前駅の近くまで来ていた。
高知商業前駅は車を利用しやすい,ホームセンターなどがある,自然が豊かなど、静かに暮らしたい人に絶大な人気な閑静な住宅街がある。
十字路の壁に背をつけ、街路の先をじっと見つめる青年。
青年の見つめる先には血塗れのエプロンを着け、腰の曲がったゾンビが歩いている。
一対一に限った事だが、道中で何体ものゾンビの首をへし折り、頬骨を陥没させてきた青年にとって、ゾンビ一人を仕留める事は容易いことのように思えるが、青年の瞳は潤い手が小刻みに震えている。
「ふぅぅ」
大きく息を吐くと、何かを決めたかのように、ゴーグルを装着して静かに近づく青年。
腰の曲がったゾンビは青年の何かを感じ取ったのか、振り返るとすぐさま大きな口を開けて襲い掛かる。しかし、青年は右手で首元から下あごを抑えながら、サッと背後をとり左手を頭に掛ける。
「ガァア!ウガァ!」
「……すまない」
「ガッ」
ボキッと鈍い音と共に、その場に崩れ落ちる腰の曲がったゾンビ。
時間差で青年も膝から崩れ、倒れて動かないゾンビの頬をなぞり…
「毎年野菜ありがとう。山田の婆ちゃんが作った野菜美味しかったよ」
腰の曲がったゾンビは青年の知人だったのだろう。
青年は見開いているゾンビの瞼を閉じさせ、静かにその場を後にした。




