099『総攻撃前・9・ブリキマンとそのオマケの到着』
まりあ戦記・099
『総攻撃前・9・ブリキマンとそのオマケの到着』
まりあたちがアンプレアブルしないで3番ホールまで周れるようになり、稲荷ずしに替わって巻きずしに挑戦した日の夕方、ブリキマンが自力飛行でやってきた。
「思ったより早かった!」
喜んだどろしーだが、徳川曹長が水を差した。
「どろしーが乗り込んでエンゲージできるところまでは回復してないみたいだ」
「「「「ええ!?」」」」
これには、どろしーだけでなく、日本チームの四人も驚いた。
「ヨミの攻撃が近そうなんで、とりあえず避難させてきたというところなんだろう。ここの設備でやれるだけのことはやるさ」
請け負ってくれる曹長だけど、表情は硬い。
「背中に、なにかしょってるぞぉ」
後ろに周ったナユタがブリキマンの背中を指さした。曹長も初めて気づいてタラップを掛けて確かめる。
ガチャ
曹長がハンドルを回すと、ロックが解除されてハッチが開き、見覚えのあるオッサン二人が顔を出した。
「「「「あ!?」」」」
それは、中華飯店9090のウィッテと小村だった!
「おっちゃんたち、どうして!?」
ナユタが先頭になってオッサン二人を取り巻いた。
「いや、ポーツマスに避難命令が出てねえ……」
「とるものもとりあえず、みんな身一つで町を出たんだけど、ヘンリー准将が『オーガスタの厨房をやってくれるんなら、二人の体と中華鍋は送ってやる』と言ってくれて。なあ、ウィッテ」
「ああ、これが委嘱状です、大佐」
異変に気付いてやってきたボギー大佐にウィッテが封書を渡す。封書には委嘱状の他に添え書きが付いていて——ポンジーの防御は万全だが市街地までは手が回らない、上手い飯を作ってもらって頑張ってくれ——と書いてある。
「分かった。今のところは稲荷ずしと巻きずしで盛り上がっていたが、他には備蓄のレーションしかないんだ。期待している」
「任せてください」
オッサン二人が厨房に案内されると、徳川曹長はモニターを衛星カメラに切り替えて、ポーツマスの街を映した。
「たしかに、軍の関係者以外、車も人影も見えませんねえ……」
「予想以上にヨミの侵攻が早くなっているようだなあ……」
「ん? これは……」
ポーツマス全域を画面に収めようとカメラを引いて行くと、街の西、グレート湾に黒い影が差してきた。
「雲が張り出してきたのか?」
まりあたち三人は心配顔で画面を見つめるだけだったけど、中原中尉が別のモニターで気象映像を呼び出した。
「ニューハンプシャー南部は快晴です、雲じゃありません!」
中尉の答えに、曹長は影の先端部分を拡大した。
「こ、これは!?」
!!?
曹長の声に全員が息を呑んだ。
黒雲は、何億、何十億……あるいは、それ以上の大小さまざまなテディーベアの集合体だった!
☆彡 主な登場人物
・舵 晋三 永遠の16歳 法名・釋善実
・舵 まりあ 晋三の妹 高校2年 ウズメのパイロット
・舵 晋太郎 特務旅団司令 晋三とまりあの父
・高安みなみ 特務旅団少佐
・中原光子中尉 みなみ大尉の副官
・金剛武特務中佐 ベースのコンピューターの保守を任務とする技術士官
・テレジア(元マリア)ガイノイド戦士(031から)まりあのガード(VR10201改)
・ナユタ ソメティのパイロット 第二首都高一年
・徳川曹長 みなみの世話係
・まりあの友達 釈迦堂観音(お堂さん) 矢治公男と喜田伸晃 鈴木さん 佐藤さん
・学校の先生 瀬戸内美晴(担任)
・岡田 時子 舵司令がたまに入れ替わる母の若いころの義体
・岡田 時蔵 時子の祖父(080で死亡)
・ケティちゃん 晋三といっしょにしまい込まれているマスコット
・メグリ先生(?) 晋三が小一の時の担任
・米国特務旅団 どろしい ヘンリー准将 ボギー大佐




