101『総攻撃・1・ファーーー(>д<)!!』
まりあ戦記・101
『総攻撃・1・ファーーー(>д<)!!』
「どうやら、総攻撃が始まったようだ」
ブリーフィングルームに集められたクルーたちに緊張が走る。
ポンジーを取り巻いたTB(決戦に向けテディーベアの呼称はTBに決められた)は黒雲の塊のようになってポンジーのバリアに波状攻撃をかけている。
「バリアはヘンリー准将の努力で12層の厚みになったが、夕べの攻撃で3層削られてしまった。このぶんでは、長く持って三日。早ければ明後日の未明には破られてしまう。ここへは避難のために移動してきたが、健康な戦力はここにしか残っていない。まだ十分な整備もできてないが、これから出撃してもらう」
「ウズメ02とドロシーだけでですか?」
静かに聞く中原中尉だけど、声の響きにいつもの余裕がない。
「ブリキマンも出す」
「「「「ええ!?」」」」
「ブリキマンは、まだエンゲージできないんじゃないの?」
どろしーが悲鳴のような声をあげる。
「テレジアに乗ってもらう。エンゲージドライブはできないが、乗り込んでアナログドライブなら可能だ」
「「「ええ!?」」」
アナログドライブは、操縦者が自分の手足を使って操作するもので、エンゲージドライブほどには俊敏性がなく、ヨミの攻撃や回避の動きについていけない。言ってみれば昔のレシプロの重戦闘機で現代のジェット戦闘機の大編隊に挑むようなもので、勝ち目はゼロだ。
「……主力はドロシーとウズメ02だ。ブリキマンは、機を見て効果的に使う」
大佐の悲壮さに日本チームは口を閉じてしまうが、どろしーは食い下がる。
「効果的にって、どんな風に?」
「みんなもコースを周って分かっただろう、200ヤードそこそこのショートホールでもイーグルはおろかパーでも難しい。ボギーでカップインするつもりでいけ」
大佐の言うボギーは——ひと手間かけろ、目的はカップインすることだ!——ということなんだ。けれど、対ヨミ戦、それもほとんど決勝戦、それも、これからゆっくりの一番ホールじゃない。やられっぱなしで迎えた最終ホール。そこで勝ちを取れということだ。まるで戦艦大和の沖縄特攻だ!
「負けが込んだゲームに見えているかもしれないが、作戦指揮の立場から見ればフルコースを同点で周ったようなもんだ。今度はサドンデスだと思え、早く一点リードした方の勝ちだ!」
強引なたとえに、どろしーさえ言葉が無かった。
ドロシー、ウズメ02、ブリキマン、三体のウズメは三機編隊でオーガスタのベースを飛び立った。
コクピットのモニターには過行くオーガスタのゴルフコース、かなたには本土から切り離されたフロリダ島が無茶なプレーヤーに打たれてロストボール寸前の暴走球に見えた。
ファーーー(>д<)!!
口には出さず叫んでみるまりあだった。
☆彡 主な登場人物
・舵 晋三 永遠の16歳 法名・釋善実
・舵 まりあ 晋三の妹 高校2年 ウズメのパイロット
・舵 晋太郎 特務旅団司令 晋三とまりあの父
・高安みなみ 特務旅団少佐
・中原光子中尉 みなみ大尉の副官
・金剛武特務中佐 ベースのコンピューターの保守を任務とする技術士官
・テレジア(元マリア)ガイノイド戦士(031から)まりあのガード(VR10201改)
・ナユタ ソメティのパイロット 第二首都高一年
・徳川曹長 みなみの世話係
・まりあの友達 釈迦堂観音(お堂さん) 矢治公男と喜田伸晃 鈴木さん 佐藤さん
・学校の先生 瀬戸内美晴(担任)
・岡田 時子 舵司令がたまに入れ替わる母の若いころの義体
・岡田 時蔵 時子の祖父(080で死亡)
・ケティちゃん 晋三といっしょにしまい込まれているマスコット
・メグリ先生(?) 晋三が小一の時の担任
・米国特務旅団 どろしい ヘンリー准将 ボギー大佐




