超常者
「ワタシと祠が、似たようなチカラを持ってると、さっきもいっていましたけど。ヤッパリ、似たようなチカラを持ったそんざいが、近くにあつまってると、吸いよせるチカラも、つよくなるものなんですか」
「そりゃあもう、カナリつよくなります。さっきもいいましたが、相乗効果っていうヤツです」
「たとえば、ソレはどのくらい?」
「ぐたいてきに、数字ではいいにくいんですけど。足し算ではなくて、かけ算で増えるとおもってください」
「かけ算ですか」
「そうです。10のレベルのチカラを持ったそんざいが、ふたついれば、20ではなくて、100のレベルのチカラになります」
「じゃあ、100がふたつあつまれば、1万に?」
「ソウなりますね」
「ちなみに、ワタシと祠の吸いよせるチカラっていうのは、大体どのていどのつよさなんですか?」
徳康がこう聞くと、大空は急にだまった。
(ナンだ、さっきまで流ちょうにハナシをしていたのに。とつぜんだまったぞ)
「まあ、そのうち、チャントいわなければならないコトだから、今いったほうがいいか」
こういうと、大空は立ちあがった。つられて、徳康も立ちあがろうとしたのであるが、大空に制された。
「徳康さんは、ソコに座っていてください。そのほうが見えやすいので」
こういうと、大空はすこしだけキョリとをり、ウデを上にあげた。すると、上の空間に、ソトの公園のようすが映しだされた。
(コレは一体、どういう仕掛けなんだ?)
「この空間は、人為的につくりだされたモノなんです。だから、ニンゲンのチカラで、ソトのようすを映しだすように、手をくわえるコトもデキます。
ソレで、今げんざいの公園のようすを見てもらったほうが、シックリくるんじゃないかとおもいまして」
大空にそのようにいわれ、ソトの公園のようすを見たのであるが、おもわずゾッとしてしまった。「血の気が引いた」といっても良いであろう。
ソコに映しだされた公園には、上空に異形のカタチをしたモノが、何十匹どころか、何百匹もただよっていた。
水中を泳ぐサカナのように、異形のカタチをしたモノが、空をまるで泳ぐようにして、ただよい、うごいていた。
「一体ナンなんですか、この気色ワルイ大量のモノは」
「この公園にあつまってきた、異形のそんざいたちですよ。ユウレイ、妖怪、モノノケ、アヤカシ、怪異といったモノたちですね。
より正確にいえば、この公園にある祠と、さっきまで、この公園にいた徳康さんを目あてに、あつまってきたんですよ」
「ワタシを目あてに?ソレって、あのまま公園にいたら、コイツらにおそわれていた。っていうコトになりますか?」
「露骨にいえば、そうなっちゃいますね」
(あのまま、この公園にいたら、オレは一体、今ごろ、どういう目に遭っていたのか。
ソウかんがえると、さっきこの大空さんが、祠のまえでトビラをひらいたときに、いっしょについてきて、正解だったっていうコトになるのか)
「もしかして、さっき祠のまえで、この空間というか、ばしょのトビラをひらいたときに、ワタシに一緒にくるように誘ったのは、こういうヤツラから、ワタシをにがすためだったとか?
つまり、あのまま公園にいたら、カナリのヤバイ状態というか、キケンなコトになっていた。
だから、ソレを避けるために、このばしょに入るように、ワタシに言ったっていうコトですか?」
「気がつきましたか?ソウなんですよ。あのまま、あの公園にいると、このサカナのようなアヤカシたちが、大量にやってくるのがわかってたので、このなかに入るように、すこし急かしたんですよ。
「サカナはサカナでも、なんというか、深海魚みたいなブキミなスガタというか、カタチをしてますね。
あきらかに不吉というか、ニンゲンにたいして、害を成すようなカタチをしてる」
「まあ、そのとおりでしょうね。あのアヤカシたちは、間違いなく、ニンゲンにたいして、おおいに危害をくわえるでしょうね。
よくニンゲンを見た目で、つまり、外見ではんだんするな。っていいますけど、アヤカシにかんしていえば、外見の見た目ではんだんしても、キホン的に、マチガイはナイです。
キケンなアヤカシっていうのは、ヤッパリ、外見の見た目もキケンというか、ブキミなケースがほとんどなので。
そもそもアヤカシは、ニンゲンとは違って、ホンネとタテマエのつかいワケや、区別なんてつかいませんからね。
その分だけ、ダイレクトでストレートに、その内面や本性っていうものが、外見の見た目にたいして、つまり、そのスガタやカタチにでるんですよ」
(ニンゲンとは違って、内面や本性が、ダイレクトに、ストレートにでるねえ)
そのようにいわれて、あらためて、深海魚のように、公園の空をただようアヤカシたちを見ていたら、ふと気になるコトがでてきた。
「ん、チョット待ってください。というコトは、あの公園は今、カナリのキケンな状態っていうコトになりませんか?
もしも今、このばしょに、フツウのニンゲンがやってきたら、ヤバイんじゃないですか?」
「そりゃまあ、カナリというか、相当ヤバイですね。キケンといっていいです。まずマチガイなく、あのアヤカシたちにおそわれて、エジキになってしまいます」
「ソウなると、ヤツラにおそわれて、エジキになったギセイ者は、一体どうなるんですか?」
「サイアクのケースでは、まあ死にますね」
「死にますねって、カンタンにいってくれますけど」
「でもソレは、あくまでも、『今のあの公園のなかに、ニンゲンが入ってこれたら』のハナシですよ」
「というと?」
「今のあの公園は、フツウのいっぱん人が、はいれないようになっていますので。ソウだよね、岩羽さん?」
大空は、先ほどコーヒーをたのんだ女性に向かい、こういった。その女性は、コーヒーを机の上に置いた状態で、おなじように、この空間の上を見あげていた。
(いつの間に、このヒトは、ココにいたんだ?)
公園の状態を写しだす、異様な光景に目を奪われて、徳康は、コーヒーをたのんだ女性が、すぐ近くに立っていたコトに、まったく気がつかなかった。
「あいかわらず、気配を消すのがウマイねキミは。どうやら徳康さんは、キミが近くにいたコトに、まったく気がつかなかったようだ」
徳康のおどろくようすを見て、大空はこういった。
「どうでしょうね。フダンから感情やかんがえを、露骨にオモテにだしてると、ワタシのばあい、不測の事態を招きかねないので。
ですから、どうしても、感情やらを消してしまうんですよ。クセみたいなものです。こうなると、気配を消すコトにもなりますし」
(一体ナンの会話なんだコレは。聞いてても、イミがサッパリわからん)
「感情をオモテにだしすぎないように、コントロールするのはいいコトなんだけど。でも知ってのとおり、この空間にいるあいだは、ダイジョウブなんだけどなあ」
「ソウはいっても、フダンから気をつけてないと、イザというときに、つい、ウッカリをやりかねませんし。
ヤッパリ、フダンから気をつけて、カラダに染みつかせて習慣化していないと、チョット不安があるので」
「そういうところは、あいかわらずマジメだねえ。ソレで、ハナシをもどすけれど。
今あの公園には、フツウのいっぱん人がはいれないように、カベをつくってあるんだよね?」
「ええ、さっきコーヒーを取りにいくあいだに、カベをつくっておきました。ですから、今のあの公園には、フツウのニンゲンは、はいるコトはデキません。
まあ超常のチカラを持ってる、われわれみたいな超常者なら、ハナシはべつですけど」




