↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
23/27

誘導

(チョット待てよ。今のオレは、祠に溜まってるチカラを、全開にしてるんだ。フルパワーでやってる。ソレなのに、この恐竜は、フルパワーのオレと、互角以上にやりあってる。

 ソレなのに、あのオンナのチカラは尽きてない。コレは、いくらナンでもオカシイんじゃないか。

 1300年間も貯めこんだチカラと、ひとりのニンゲンが持ってる超常のチカラが、おなじ分量か、ソレ以上っていうのは、ありえんハズだ)

 強力なT・レックスの猛攻をシノギながらも、このようなコトが、ダンダンとオニのなかで、ギモンとしてうかんできた。そして、ココでふと、気になるコトがでてきた。

(ソウいえば、もうひとりのオトコは、今ナニをしてやがるんだ?)

 このようにかんがえて、オニは徳康のほうを見た。徳康は、戦闘に参加するコトなく、キョリを取って、オニとT・レックスとのたたかいを見ていた。

 だがしかし、「まったくナニもしていない」という感じでもナイ。オニが、いしきを集中して、徳康のほうを見てみると、ナニやら、チカラのながれをかんじた。

「あ、ヤロウ!!」

 おもわずオニは、このように叫んでしまった。ソレは、じつは徳康が、T・レックスにたいして、というよりも、T・レックスを生みだした、岩羽にたいして、じぶんが乗っているイヌをつうじて、超常のチカラを流しこんでいたのだから。

 じぶんのまわりから、不運や不幸を呼びこむ、負のエネルギーをあつめてしまうのが、徳康が持っているという、とくちょう・性質であった。

 だがしかし、コレは使いようによっては、「じぶんのまわりから、超常のチカラを掻きあつめる」というコトでもある。

 そして、徳康は、この一カ月のあいだ、訓練によって、この性質・とくちょうに磨きをかけて、じぶんがつかえる超常のチカラ・のうりょくとしたのだ。

 岩羽が、オニとたたかっているあいだ、徳康は、じぶんの持っている、この超常のチカラ・のうりょくをつかって、今げんざい、このばしょにおいても、超常のチカラをあつめていたのだ。

 いいかたを変えれば、オニが発している超常のチカラを、つまり、祠からでている超常のチカラも、搔きあつめていた。

 そして、じぶんが今までに、つまり、過去に搔きあつめた超常のチカラだけでなく、今げんざい、このばしょで掻きあつめた超常のチカラも、岩羽が生みだした、イヌのアヤカシにたいして、ながしこんでいたのである。

 そして、このイヌにながしこまれた超常のチカラは、生みの親である、岩羽にたいしても、ながれこんでくる。

 ソレはすなわち、今げんざい、目のまえでオニとたたかっている。T・レックスにたいしても、ながれこんでいるのであった。

「そういうカラクリか。オマエがいるから、このオンナのチカラが尽きナイのか!!」

(さっき、あのオンナに向かったとき、急にチカラが抜けて、スピードが落ちたのは、コイツが、オレのチカラを吸いとりやがったのか。オレにした攻撃も、オレのチカラを奪ってヤリやがったか)

「あ、バレたか」

 こういうと、徳康は、イヌに命じて、すこしさがらせた。ナゼならば、オニが徳康にたいして、襲いかかろうとしたのダカラ。

 だがしかし、その瞬間を、つまり、一瞬の隙というものを、T・レックスが、見のがすハズはなかった。

 オニが徳康にたいして、襲いかかろうとした、まさにその瞬間、オニに食らいついた。

 T・レックスのキバに、カラダを貫かれて、オニは、苦しみの断末魔ともいえる、悲鳴を上げていた。

(あのオンナが、さっきからオレにたいして、偉そうにイチイチ講釈をたれてきやがったのは、オレのいしきを、じぶんにたいして、集中させるタメだったのか。

 オレが、あのオトコにたいして、いしきを向けないようにするタメに、ワザと、オレを怒らせるようなコトをいって、オレが、じぶんダケを見るように仕向けた。

 あのオトコが、超常のチカラを流しこんでいるっていうコトを、オレに気づかせないタメに)

「ココまでバレた以上、もうコソコソするひつようはナイか」

 こういうと、徳康はポケットからサイフをだして、そのなかから、5円玉を取りだした。

 ただしコレは、ただの5円玉ではなかった。この5円玉は、フダンから、彼があつめた分と、そして今げんざい、このオニが発している超常のチカラからあつめた分を、込めてあった。

 この5円玉を、徳康は、T・レックスのクチのなかに、投げこんだ。この5円玉を飲みこんだT・レックスは、さらにおおきくなり、そのパワーを増した。

「はやいハナシ、コレはドーピングなんだよね。一匹のオニにたいして、こうして、オレとバネちゃんのふたりで対処・たいおうする。っていうのは、2対1になるから、チョットだけ、良心が痛むといいたいけど。

 でも、そもそもアンタは、この本部にとつぜん、呼ばれもしないのにやってきた。

 そして、コチラにたいして、一方的に襲いかかってきた。そんなあいてに、イチイチ良心が痛むコトはナイか。

 だから、良心が痛まない以上、ドーピングをしたトコロで、コッチとしては、ナンともおもわないんだよなあ。

 アンタからしたら、2対1でたたかうハメになり、その上、ドーピングまでしたあいてと、たたかうコトになるんだから、災難というか、ツイてないというトコロだけど。

 でもまあ、こうやって、いっぽう的に襲いかかってきて、コッチにたいして危害をくわえてきた以上、『ぎゃくにじぶんが、いっぽう的に、危害をくわえられるかもしれない』っていう覚悟をしているハズだよね。

 だからまあ、しかたがナイか。コレこそまさに、『じぶんがおこなったコトや、たにんにたいする振るまいが、めぐりめぐって、ブーメランみたいに、じぶん自身にたいして跳ねかえってくる』っていうケースになるのか。

 まさに、因果応報、自業自得っていうヤツだね。だからまあ、アンタとしては、不本意におもうかもしれんが、ナットクしてもらうしかない」

 正確にいえば、この徳康のハナシというものを、オニは、シッカリと聞く間がなかった。

 ナゼならば、さらにおおきく、つよくなり、そして、さらに狂暴になったT・レックスが、オニにたいして、襲いかかっていたのダカラ。

「そもそも、アナタたちアヤカシは、オニにかぎらず、ニンゲンの感情やキモチとかが、キッカケ・リユウ・原因で、生みだされたハズよね。だから、ニンゲンのコトを、わかったツモリでいるかもしれない。

 でも、ソレはチョット短絡的すぎるわ。ニンゲンっていうのは、アナタたちアヤカシとは違って、もっとフクザツなのよ。フクザツな思考やキモチを持っているのよ。

 だから、アナタたちアヤカシは、ニンゲンのかんがえているコトや、キモチや感情っていうモノを、チャント理解するコトがデキない。思考や感情のフクザツさが、まったくわかっていナイ。

 その結果が、こうして今、『ワタシとトクさんのふたりを、同時にあいてにしてたたかう』っていう、マズイやりかたになっているのよ。

 いくらつよいチカラを手にいれて、パワーアップしたとしても、こうして、コチラの仕掛けたワナにハマって、後手後手にまわってしまえば、せっかくのパワーやつよさも、タカラの持ち腐れね」

 このように、岩羽がハナシをしているあいだにも、オニは、T・レックスにカラダを食われつづけており、ドンドン弱くなり、衰弱していた。

(たしかに、バネちゃんのいうとおりだ。このオニは、いつの間にか、オレと彼女のふたりと、当時にたたかうカタチになってる。

 もしもこのオニに、ニンゲンのような、フクザツな思考やキモチがあれば、おそらく、オレたちふたりと、同時にたたかわないように、もっと気をつけたハズなんダロウ。

 2対1のたたかいにせず、1対1のたたかいに持っていき、オレたちを各個撃破するカタチに、ナントカして持っていったハズだ。

 でもコイツは、じぶんのチカラを過信して、オレたちふたりと、同時にたたかっても勝てると、カン違いしたっていうコトか)

 このように、徳康はおもったのであるが、でもコレも、しかたがナイとおもった。

(そもそも、バネちゃんがこのオニを、うまく誘導して、じぶんのペースに持ちこんで、オニがじゆうに、好き勝手にデキないようにした。

 つまり、さいしょから、このオニは、負けるようなカタチに誘導されたといもえるか。ろこつにいうと、コイツは、負けるべくして負ける。っていうワケか)

 こうしているあいだにも、オニは強大化し、狂暴化しているT・レックスに、おそわれつづけていた。

 そして、ついにオニは、その場にたおれてしまった。どうやら、とうとう限界がきたようである。

 T・レックスに、カラダを食われつづけ、たおれたオニは、床をのた打ちまわっていた。苦痛にカオをゆがませながら。

 どうやら、T・レックスに、カラダを食われた痛みだけではなくて、カラダの内部からも、痛みが湧きあがっているようであった。

「ずいぶんと、苦しんでるようだけど。今のこの状態は、アナタがじぶんでまねいたものなのよ。

 じぶんのおこない・ふるまいで、こういう事態をまねいたワケなんだから、コレはもう、カンゼンに、因果応報で自業自得っていうコトよね」

「ナニをいいやがる」

 苦しみながら、オニはいった。

「オレに、ナニをしやがった!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。