迎撃
訓練場では、本多と立花が、超常のチカラをつかいこなすタメに、ふたりで訓練をしていたのだが、ふたりしかいないタメに、しぜんと、雑談をするようになっていた。
「ナンか今日は、オレたちしかいないけど、ほかのヤツラは、ナニしてんのか。サボってんのか?」
本多が、立花にたいして、このようにはなしかけた。
「どうだか。オマエと違って、イロイロと、いそがしいんじゃないの?」
「オマエと違ってって、どういうイミだよ。ソレにしても」
こういうと、本多は、大空たち3人がいる、タテモノのほうを見た
「バケモノ3人が、一カ所に揃ってるっていうのは、ナンていうか、プレッシャーっていうかさあ、威圧感がハンパじゃナイ。
アレなら、低級レベルのアヤカシなんざ、即座に、ココからにげだすんじゃないか?」
「たしかに、オマエのいうとおり、大空さん、バネさん、トクさんの3人が、一カ所にいる。っていうコトだけで、大抵のアヤカシは、ビビッてにげだすかもしれん。
っていうか、オレたち、ニンゲンの超常者だって、にげだすんじゃないか?」
「ダロウな。今だってオレは、3人が揃ってる、あのばしょには、しょうじきなトコロ、近づきたくない」
「ソレは、オレも同感」
「立花さあ、オレたち超常者のなかで、最強っていわれるのは大空さんで、そのつぎが、バネさんっていわれてたけど、一カ月くらいまえ、トクさんが入ってきて、このヒトって、あっという間に、大空さんとバネさん、ふたりのレベルになったじゃんか。
コレって、カナリ異常なんじゃないのか?何十年も、超常者をやってるヒトでも、ふたりのレベルに達しないケースなんて、フツウなんダロウし」
「レアなケースなんじゃないか?大空さんいわく、もともと無いしきのうちに、超常のチカラをつかいこなす訓練を、していたらしいけどね。
だから、ソレをあらためて可視化して、言語化しておぼえたダケだから、0からのスタートじゃナイ。とかいってたけど。
いずれにしろ、そんなニンゲン、ほかにいないとおもう。まあ、あっという間にトップクラスに入ったっていうなら、バネさんだってソウじゃないか。あのヒトも、1年もたたずに、あのレベルに達したらしいし」
「ソウかんがえると、バケモノ3人のなかでも、短期間で、大空さんのレベルになったっていう、バネさん、トクさんのふたりが、異常っていうコトかもしれん。
ちなみに、本多から見て、バネさんとトクさん、どっちがつよいとおもう?」
「ん~、チョット想像がつかん。たんじゅんにかんがえれば、バネさんだとおもうんだけど、トクさんのつかう超常のチカラってのは、底が知れんというか、つかみドコロがナイっていうか。
トクさんって、たたかいかたによっちゃあ、バネさんに勝つかもしれん。イヤ、ソレどころか、ヘタすると、大空さんにだって負けないかもしれん」
「たたかいかたによっちゃあ、大空さんにも勝つっていうコトか?」
「いや、『大空さんに勝つ』っていうよりは、『大空さんにも負けない』っていうかんじか。つまり、決着や勝ち負けがつかずに、引き分けにもちこみそう。
いいかたを変えると、あの大空さんでも、トクさんにたいしては、カンゼンに、勝ちきるコトはむずかしいかもしれん」
「たくさんのアヤカシを生みだして、ソレを従えて、つかいこなす、皇帝・エンペラーっていわれてる、バネさんにたいして勝つかも、か。
その上さらに、超常者のなかで、『つよさのトップ・オブ・トップ、唯一無二にして、ゼッタイ的なつよさを持つ』っていわれてる、大空さんにも負けないかも。か」
「モチロン、じっさいに、あの3人同士が、たたかうトコロを見たっていうワケじゃないし、あくまで、オレのカンにすぎん」
「でもなあ、オマエのこういうカンは、妙にアタルから、バカにデキん」
「どうだか」
こういうと、本多は、タテモノのほうを見た。
「どうした?」
立花が聞くと、
「イヤ、たぶん今、大空さんが出かけたらしい。デカイそんざい感を持ったニンゲンが、ソトにでていったのを感じた。アレは、大空さんの気配だとおもう」
このようにいわれて、立花も、タテモノのほうを見た。
「たしかに、大空さんの気配が移動した。あいかわらず、そういうカンはするどいな、オマエは」
「イヤ立花、オマエがニブイんだって」
「イヤイヤ、オマエが異常かもしれんぞ」
ふたりがわらいながら、雑談をしていると、遠くのほうから、ダレかが歩いてくるのが見えた。
「お、やっとほかの訓練生がきたか。ガッコウで用事でもあって、くるのが遅れたか?」
立花がこういうと、本多も、その方角を見た。
「ん、ナンだアレは?」
「どうした?」
「いやさあ、何人きたんだ?」
本多にいわれて、立花があらためて、その方角を凝視してみると、ニンゲンのような気配がするのだが、どうにも、人数をとくていしにくいのだ。
「ひとりか?いや、数人にもおもえる。妙な気配だ。っていうか、訓練生のなかで、こんなヤツ、いたっけか?」
立花が、このようにいった、まさにその直後、コチラにたいして向かってきていた、ニンゲンらしきそんざいは、複数に分裂したのである。そして、ふたりにたいして、襲いかかってきた。
「アレは、ニンゲンじゃない。アヤカシのたぐいか?だとしたら、ナンでアヤカシなんかが、この異空間に入ってこれたんだ?」
「知るか、そんなもん。ナンにしろ、コッチに襲いかかってきた以上、返り討ちにしてやる。
立花、オレがまえにでるから、オマエはうしろから、オレの援護をしてくれ」
「わかった」
こういうと、ふたりは襲いかかってくるアヤカシたちを、迎撃しだした。




