サークルかつどう
徳康が、超常者のそしきにはいり、約一カ月がすぎた。このそしきには、たすうの超常者がしょぞくしていた。
そして、オトナの超常者は、たいていのばあい、任務でソトにでており、この本部のタテモノにはいない。
なかでも大空は、超常者のなかで、「もっともつよい」とされており、キケン性のたかいアヤカシが関わるジケンがあれば、すぐに駆けつけていた。そのために、なかなか会う機会はなかった。
そして、岩羽もまた、上位クラスの超常者であるため、イロイロな任務におもむき、本部にいないケースがおおかった。
だがソレでも、大空よりは、本部にやってくる回数はおおい。そのリユウは、若手の超常者にたいして、訓練をしたり、おしえたりするためである。
つまり、超常者のこうほ者たちにとっては、センパイであり、先生といえるのであった。
若手の超常者のこうほ者たちは、10代後半のガクセイがおおかった。まさに、今げんざい、超常のチカラの目覚めというものを、けいけんしている真っ最中といえた。
若手のこうほ者たちは、このチカラが覚醒したために、不あんていな状態になりかねない。そのために、岩羽をはじめとする超常者たちが、つかいこなす方法をおしえるのだ。
(ソレにしても、たしかカノジョは、高校を卒業したばかりの18歳と聞いてるけど、たいしたもんだ。
現役のガクセイである中高生のこうほ者たちにたいして、テキセツな指導、助言、アドバイスをしてる。
カレら、カノジョらにとっては、歳も近いし、ハナシやすくて、頼りになるセンパイであり、先生っていうトコロか)
本部の敷地には、超常者のこうほ者たちが、訓練をする場があった。若手のこうほ者たちに混じって、徳康も訓練をうけたのだが、大体、一カ月がたった今となっては、徳康は、ほぼその訓練を終えていた。
「ホントウに、信じられないくらいのスピードで、訓練を終えちゃいましたね。たぶん、前代未聞のはやさで終えたとおもいますよ」
岩羽は、このようにいう。
「どうダロウね。運が良かったダケじゃナイ?」
徳康としては、そのようにいわれても、ピンとこなかった。
「コレは、大空さんも言ってたコトなんですが、もともと、無いしきのうちに、超常のチカラをコントロールするコトを、カラダでおぼえてたんだとおもいます。
だから、無いしきでおぼえたコトを、あらためて、言語化し、リクツでせつめいされた。
ですので、今まではナンとなく、わかったり、やってたコトが、アタマのなかで、ハッキリし、めいかく化して、クリアになったんだとおもいます。
つまり、もともと、ほとんどのベースがデキてたんじゃないかなと。あとは、ソレをクリアにしていくダケだから、このスピードが、可能になったんだとおもいます」
「どうだろうね」
任務を終えて、帰ってきた岩羽とハナシをしながら、徳康は、訓練場のほうを見ていた。ソコには、訓練にはげむ、10代後半の若手のこうほ者たちが、ガンバっていた。
「ちなみに、あそこにいるのは、たしか本多くんだっけか。歳は17とキオクしてるけど」
「ええ、カレは今17歳で、高校2年生です」
「オレの見たトコロ、若手のなかでは、カレが一番目立つというか、飲みこみがハヤイというか」
「ソウですね。天性のカンが良いんでしょうね。超常のチカラをつかいこなすときに、ソレを、感覚でおぼえてしまっています。
だから、アタマでイチイチかんがえたり、おぼえずとも、カラダと感覚でもって、ソレをつかみ、おぼえている。というかんじですかね」
「つぎに気になるのは、あそこにいる立花くんかなあ。カレも、本多くんほどじゃないが、カンがカナリするどい。
ソレと、本多くんが、カンや感覚でおぼえたり、はんだんしたりするトコロを、立花くんは、カンだけじゃなくて、リクツや理性でもかんがえて、はんだんがデキてる気がする。
たぶん、このふたりが、若手のなかでの有望株というか、ツートップにおもえる」
「ソウですね。ワタシもソレには同感です。あのふたりはたぶん、もうすでに、実戦にでても十分たたかえますし、役にたちます。
というか、何度か実戦に呼ばれてるんですが、ヘタなオトナの超常者たちよりも、役にたってますよ」
「ナルホド、道理でチカラのつかいかたが、慣れてるかんじがするワケか。あのわかさで、あの手練れ感をだすのはスゴイね。コワイくらいだよ」
(でも、そのモノゴトをおぼえやすい年齢の若手のなかに混じって、カレらをあっという間に追いこして、超常のチカラのつかいかたを、スンナリおぼえてしまった徳康さんのほうが、ワタシには、恐ろしいとおもいますけどね)
「ほかにも、何人か、将来が有望そうな若手のニンゲンがいるけど、カレらは、まだ10代後半なんだよね。
たしか、フダンはガッコウに通ってるガクセイで、ガッコウが終了してからの時間や、やすみの日に、こうして、このばしょにきて、ああやって、超常者になる訓練をしている。と」
「ソウなります」
「ナンだか、部活みたいだね。イロイロなガッコウをまたいでかつどうしてる、ダイガクのサークルにも似てる」
「いわれてみれば、たしかにソウですね。カレらにとっては、ガッコウがおわったあとや、やすみの日にやってる部かつどうや、サークルかつどう。っていう感覚かもしれません」
「ナンていえばいいのか。ハタから見てるかぎり、青春まっただ中。っていうかんじか」
「どうなんでしょうね。でもまあ、青春といえば、ソウかもしれません。ただ」
「ただ?」
「この青春には、イノチのキケンがあるので、フツウのガクセイがやってるような、部かつどうやサークルかつどうとは、いっしょにするコトはデキませんが」
「たしかに、そのとおりだ」
ふたりが、訓練にいそしんでいる、若手のこうほ者たちを見ていたら、うしろから声がした。
「おひさしぶり、おふたりさん」
いつの間にか、ふたりのうしろには、大空がいた。
(いつからいたのか、まったく気がつかなかった。気配がまったくしない。あいかわらずこのヒトは、得たいの知れんトコロがある)
徳康は、じぶんが超常のチカラのつかいかたをおぼえてみて、あらためて、この大空のすごさがわかった。
そして、カレこそが、すべての超常者のなかで、最強といわれているコトも知ったのである。
(すべての超常者のコトを、知っているワケじゃないが、たしかに、このヒトに匹敵するようなニンゲンが、ほかにいるとはおもえん)
「うしろから、とつぜん、急にはなしかけられると、おどろくって」
「いやあゴメンゴメン。おどかすツモリはなかったんだけどね。ついクセで、フダンから、気配を消すようにしてるんだよ。
ナンせわれわれは、セケン一般のニンゲンに、気づかれちゃマズイたちばなんでね。
だから、こういうコトが、クセになってるというか、習慣になってるんだって」
この約一カ月のあいだに、徳康は、岩羽だけでなく、大空とも、カナリくだけたカタチで、ハナシをするコトがデキるようになった。
ソレに、コレは、まったくのぐうぜんなのだが、徳康と大空は、おなじ歳であった。
そのために、なおさら、くだけたカタチで接するようになったのである。 おたがいに「ソラくん」、「トクくん」と、アダ名で呼びあえるほどに。
「で、いそがしいソラくんが、ナンで今ココに?たしか、遠くに出張してたハズだけど。帰ってくるのは、まだ先じゃなかったっけ?」
「イヤイヤ、おもいのほか、シゴトがはやく片づいてね。ソレで、ひさしぶりに、ふたりに会いにきたんだよ。
と、いいたいトコロなんだけど。どうもチョット、マズイというか、良くないコトになりそうでね」




