どこでもドア
徳康が気がついたとき、じぶんのカラダは、公園にはなかった。ものスゴイはやさで、空を飛んでいた。
(おどろいた。ナニがなんだか、ワケがわからん。ホントウにココは、げんじつのセカイなのか。ユメでも見てるんじゃないダロウな)
このようにおもってしまうのだが、「じぶんが、空を飛んでいる」というコトを、ひていし、拒絶しようとしても、まったくデキそうにナイ。
ナニセ、空を切って移動している、このリアルさは、とてもじゃないが、ユメとはおもえないのだから。
そして、ほんの数十秒であろうか、3人のカラダは、ふたたび、地上におりていた。
(ドコだ、ココは?)
徳康が地上におりて、まわりを見わたしてみると、なにやら、ヤマのなかにある、神社のようであった。
(神社の境内のようだけど、ココが本部なのか?ヤマにある、サビれた神社にしか見えん。ほかにニンゲンがいる気配もナイ)
不審がって、キョロキョロと、まわりを見わたしている徳康のようすを見て、大空が話しかけてきた。
「どうしました、徳康さん」
「さっき、本部にいく。といってましたけど、まわりを見たところ、どこかのヤマにある、ただの神社にしか見えんのですが」
「たしかに、パッと見ただけじゃあ、ヤマにある、サビれた神社にしか見えないでしょうね。しょうじきなところ、ココにくる参拝客なんて、ほとんどいないんですよ」
「でしょうね、ヒトの気配がまったくナイ。ココが本部。といわれても、ワタシとしては、どうにもピンとこないというか」
「そりゃまあ、われわれのそんざいっていうのは、セケン的に、大っぴらにされてませんから。
そのそんざい自体を、正式に政府にみとめられたような、『公的なそしき』っていうワケじゃナイんです。
ナンせ、アヤカシっていう超常のそんざいを、かつどうの対象にしている特殊なそしきですので。そういうモノを、政府や行政が、大っぴらに、みとめるワケがナイんですよ。
というか、コッチとしても、超常のそんざいが見えず、ソレをにんしきしたり、知覚するコトがデキないニンゲンをあいてに、イチイチ、主張するワケにはもいかないですし。
そんなコトをすれば、あいては、まずマチガイなく、かくじつに、われわれのコトを、『アタマのオカシイ異常者だ』とおもうでしょうね。まずマトモにあいてにされません」
「そりゃまあ、ソウでしょうね。じぶんだって、さっきからの一連のジケンというか、デキゴトがなければ、マチガイなく信じていません。
このじぶんの目で、ああいうアヤカシっていうヤツを見ないかぎり、ムリだとおもいます」
「ソウなんですよ。だから、われわれの本部のことを、大っぴらにはデキないんです。
露骨にいっちゃうと、超常のチカラを持ってない、フツウのいっぱん人には、見えないようになってます。
見えないというか、ゼッタイにくるコトがデキない特殊なばしょに、つくられてるんです」
「ナルホド、というコトは、さっき公園の祠のまえで、とつぜんトビラが開いたように、違う空間のようなところに、本部があるっていうコトですか?」
「そのとおりです。徳康さん、スッカリわれわれの発想やかんがえかたに、馴染んできたようですね」
ソウいうと、大空は、サビれた神社の境内に近づくと、手を伸ばした。すると、先ほどの祠のときとおなじように、とつぜん目のまえに、やはり、トビラが現れたえ
(ナルホド、たしかに、ドラもんのヒミツ道具の「どこでもドア」みたいだ)
そのトビラがひらくと、3人は、そのなかに入っていった。
トビラを越えると、ソコにはやはり、空間がひろがっていた。とはいっても、先ほどの祠のときとは違って、一見すると、なんの変哲もない、どこかの敷地のようにも見える。
そして、その敷地のなかには、「ビル」というほとではないが、タテモノが建っていた。
(明治時代につくられたような、さっきの和洋折衷様式のタテモノじゃなくて、フツウのカイシャのタテモノみたいだ)
大空と岩羽のふたりは、そのタテモノのなかに入っていった。徳康も、そのあとを追った。
徳康が、タテモノのなかを歩いていくと、奇妙なコトに気がついた。外見のスガタとくらべると、内部が異様にひろいのだ。
(さっき、祠のまえに現れたトビラからはいって、道をあるいたときみたいに、おおきさやキョリ感が、まったくわからん)
「なんだかキョロキョロしてますけど、気になるコトでもありました?」
不審がっている徳康のようすを見て、岩羽が、こう聞いていた。
「イヤ、このタテモノを、ソトから見たときにおもった、大体のおおきさやひろさと、イザじっさいに、タテモノのなかに入った今とをくらべると、カナリの差があるというか、なんというか。
こんなにひろくておおきいとは、外見からは、まったく想像するコトがデキないんですよ」
「このタテモノ自体が、異空間につくられたモノなんですよ。つまり、この異空間も、このタテモノも、超常のチカラによって、つくられてるんです。ですから、外見の見た目と中身が、一致するコトはナイんです」
「ベンリですね、ホントウに」
ふたりがハナシをしていると、あるヘヤのまえで、大空が足を止めた。
「着きましたよ」
こういうと、大空はドアをあけて、なかに入っていった。ふたりも、そのあとを追って、なかに入った。




