予定
「どうかした?」
「いえ、さっきワタシは、本部にたいして、応援の依頼をしたんですが。まだきていないのが気になりまして」
「その本部っていうのが、ドコにあるかは知らないけど。応援を要請したといっても、まだ1時間も経ってないじゃない。せいぜい20分くらいか。そんなにすぐこれるものなの?」
「さっきの大空さんみたく、ソレを一瞬で飛んでいくのは、さすがに、ほかの超常者にはムリなんですが。
でも、さっきまで、ワタシたちがいた異空間みたいに、時間やキョリの感覚がズレてる空間も、そんざいするんです。
だから、さっきの異空間を通ってくれば、本部から、すぐに、この公園に辿りつくハズなんですよ。
露骨にいっちゃえば、ドラえもんのヒミツ道具の「どこでもドア」みたいに、空間をすっ飛ばして、このばしょに、やってこれるハズなんです。だから、数分もあれば、これるハズなんですが」
(どこでもドアときたか、もうなんでもアリだな、コレは)
コウおもうと、徳康は、苦笑せざるをえなかった。もはや、ついさっきまでもっていた「常識」だとか、「アタリマエ」というものが、カンゼンに通用しないのだから。
「あ、しまった」
と、とつぜん岩羽が声をだした。
「どうしたの、大声をだして」
「見てください、ヤラレましたよ」
「え?」
岩羽が指さす方向を見たとき、おもわず徳康も、声をだしてしまった。岩羽が指を刺す方向には、先ほどの祠があるハズなのだが、その祠が丸々、消えてしまっていた。
「犯人の狙いは、コレだったんですね」
ふたりが話していると、背後から声がした。
「ふたりとも、無事だったかい?」
ソコには、先ほど、空に飛びたったハズの大空がいた。
「大空さん、本部から、もう戻ってきたんですか?」
「いや、本部に向かって行ったんだけど、途中まで、低級レベルのアヤカシが、ところどころいてね、たぶんソイツらは、さっき、公園の上をただよってて、穴からにげだしたヤツらなんダロウけど。
ソレで、ソイツらを退治しつつ、本部に向かって行ったら、公園のほうから、祠の気配がとつぜん消えたんだよ。
もしかしてコレは、オレを、公園から遠ざけるためのオトリじゃないか。とおもって、いそいで戻ってきたんだけど」
「スミマセン、ワタシたちは、ついさっきまで、中級レベルのアヤカシたちに、四方をすべて囲まれてまして、祠の気配の消失に、まったく気がつきませんでした」
岩羽は、もうしワケなさそうに答えた。
「イヤ、しかたない。四方を囲まれてたんだったら、中級レベルのアヤカシの気配しかしないダロウし。というか、ソレが狙いで、君たちのまわりを囲んだんじゃないかな」
「今となっては、ワタシもソウおもいます。カンゼンにやられました。グウの音もでません。完敗です」
「しかたない。こんなコトは結果論だよ。あとになってから、あいての動機・もくてき・ねらいがわかったんだから、事前にふせぎようがナイ」
「ところで、コレからどうします?」
「もうすこし、この公園をしらべてみようとおもう。たぶん、のこってないとはおもうが、手がかりがあるかもしれない」
「ソウですね」
コウいうと、大空と岩羽のふたりは、祠のあったあたりと、公園を、隅々まで見ていった。
「ちなみに、オレにやれるコトは、ナニカありますか?」
徳康は、大空にたいして聞いてみたのだが、「特にナイので、休んでいてくれ」と、いわれたのであった。
ふたりがしらべているあいだ、徳康としては、やるコトがないので、ベンチに座っていた。
(ほんの数時間前までは、こんなコトになるなんて、ユメにもおもわなかった。
さっきから、目を疑うようなコトばかり、何度もおきてる。今日は厄日なんダロウか)
徳康がこのように、イロイロとかんがているあいだ、ふたりは、真剣に調べているようすであった。
その真剣なようすから、ジャマしてはワルイとかんがえて、ナニもいわず、座っていたのであるが、ココでふと、気になるコトがでてきた。
(ソウいえば、あの祠って、オレが悪縁を5円玉に込めて、捨てたところなんだよなあ。
大空さんいわく、あの祠は、目に見えない良からぬモノを、超常のそんざいであるユウレイ、怪異、モノノケ、アヤカシやらを吸いこむ、ブラックホールみたいなモノらしいが、その吸いこんだモノは、一体ドコにいくんだ?
消滅するといってたけど、まったくの無というか、「0」になるのか?でも、むかしガッコウで、たしか理科の授業で習ったとおもうけど、エネルギー保存の法則だっけか、たとえアヤカシっていう、良くわからんモノでも、ソコにそんざいしたモノというか、エネルギーのようなモノが、ホントウに、カンゼンにゼロになるものなのか?
もしも、カンゼンにゼロにならないんだったら、あの祠が吸いこんだっていうアヤカシだとか、良からぬモノっていうのは、一体、ドコにいったんダロウ)
徳康が、このようなコトをかんがえていたら、ふたりは公園の調査をおえて、近づいてきた。
「案の定、なんの手がかりも、のこってはいなかったです。ところで徳康さん、コレからなにか、予定はありますか?
オレと岩羽は、これからチョット、本部に行こうとおもうんですが、良かったら、いっしょにきてみませんか。
というか、いっしょにこないと、アブナイというか、カナリのキケンな状態になるかもしれせん。
ナニセ、アヤカシたちのそんざいを、ハッキリとにんしきし、りかいし、いしきし、知覚しちゃいましたからね。
コレからは、ヤツラも徳康さんにたいして、今まで以上に、ハッキリと接触してくる可能性が、カナリたかいです。
そういう事態なると、ヤツラにたいして対処・たいおうするチカラだとか、ぎじゅつ・ノウハウを持っていないニンゲンが、ココでひとりでいるっていうのは、しょうじきなところ、おススメはデキませんので」
「たしかに、あんなモノが、じぶんひとりだけのときに近寄ってきた日には、気が狂ってしまうかもしれません。ココはひとつ、そのハナシに、乗らせていただきます」
「了解しました。じゃあさっそく」
ソウいうと、大空は、徳康と岩羽のふたりを、じぶんの近くに寄るようにいうと、地面に手をかざした。
その瞬間、3人のカラダは、フッと宙にういた。そして、あっという間に、公園から消えたのであった。




