二十一、相剋。その5
二十一、相剋。その5
激しく燃え上がる廃自動車。
「はっ!」
落ちていたサイドミラー越しに爆発を視認するさゆみは、康義に熱線が直撃したと勘違いして胸を激しく締め付ける。
恵はさゆみの肩を掴み、しっかり掴み、言葉を小さいが確かに伝える。
「まって、お母さん。あれを見て」
サイドミラーには徐々に身体の向きを変化させる巨人兵が映る。
「父ちゃんは、死んでいない」
静かに、そして、力強く言葉にする司。
康義は走る。康義は駆ける。康義は疾走する。康義は燃え上がる廃自動車の背後を通り抜け、森の中を走っている。
康義が足を挙げるたびに、ズボンと雑草がこすれ。足元雑草が擦れてでノイズが奏でられ非常に不快で騒がしい状態だった。
巨人兵はゆっくりと康義が走った方向へとゆっくりと身体の向きを動し跡を追う。
康義はなんとか自分の身体が隠れるくらい太い木に隠れた。
前進する巨人兵。巨人兵の前に止まっていたワゴン車を大きく蹴っ飛ばした。
ワゴン車は、激しく回転し傾斜がある森の中を転がっていく。ワゴン車が転がり落ちていく際に、次々と並びそろっていた木々をまるで子どもが積み木を崩すかの様に根元から割れ、まるで木材の伐採でもするかの様に幾つもの折れる音が重なった。
森に音が鳴り響く中で、康義は動きを静止させた。
木の陰に隠れる康義の横をぐるぐると激しく回転しながら通過していった。康義はごろごろと転がり落ちていくワゴン車を見送っていった。それを見ていた康義の表情は緊張色が濃ゆく表れていた。
ワゴン車は緩い角度の斜面を幾つもの木々を薙ぎ倒しながら緑の雑草が広がる平地にたどり着き、天地をひっくり返しながら停車した。ワゴン車のボディは激しく損傷し、幾つもの木々に引っかかり、無数の線が描かれている。タイヤは落下していくなかで、一つ外れてしまい三つしか残っていない。ワゴン車全てのガラスは、粉々になり非常に風通しがよい状態だ。ただ、全くもって乗車意欲は沸くような風貌ではない。ワゴン車が通過していた跡は、まるで巨人兵の為に準備された道路かのような空間ができていた。
巨人兵が前に脚部を踏み出したと同時に地面の上に倒れた丸太が脚部によって踏み折られていく。そして、幾つかの木は宙を舞う。次の瞬間には宙に舞った丸太は、地面やその他の倒木に激しくぶつかる。その時に響く音は濁音が混ざるようだった。
康義はそれなりに距離を確保していたのだが、うかうかしているとあっという間に距離を縮められてしまう可能性がある。
ふと、横を見る康義。そこには地面に転がっている丸太が幾つもある。
「丸太の川を渡るか」
独りごとを自分に言い聞かせるように呟いた。
ビールホルダーに刺さっていた火炎瓶を左手に持ち、ポケットに持っていたチャッカマンを右手で握る。握りこんだ右手の内、人差し指をトリガーにかけ引くと同時に先端の部分に火が灯る。そして、即座に火炎瓶の布部分に火を近づける。徐々に火と布部分の距離が狭まっていく。布部分にチャッカマンの火が降れ、着火し瞬間敵に広がっていく。火炎瓶の炎が徐々に強くなっていく。炎の勢いが増しくていく間に、チャッカマンをポケットの中に片手でポケットに押し込んだ。一方、右手では炎が勢いよく燃えている。
「さあ」
「さあ」
「さあ」
「行くぞ!」
また一つ自分を奮い立たせて、丸太に火炎瓶をプロ野球の投手ばり大きく振りかぶって目一杯の力で投げつけた。空気を切り裂いた火炎瓶は真っ直ぐ進み、幹が激しく折れて、その断面が異様に荒々しくなっている丸太の表皮と衝突し砕ける。砕けたガラス瓶はまるで噴水の様に火炎瓶を中心に広がり、火炎瓶に収まっていた液体も同じ様に周囲に散り、火炎瓶が砕けた際に少し高めの音が響く。広がり散る液体に布部分に灯っていた火が結びつく。それが、火種となり丸太の表面をオレンジ色の炎が包み込む。燃え上がる炎は、徐々に強さを増していく。
巨人兵の目の前に突如として発生した炎に、じっと佇みそれを見つめていた。その佇まいからは、なにを考えているのかを察することはできなかった。
康義は、一方では巨人兵の動静を観察しつつ、一方で燃え上がる炎の火力が強まるのを待っていた。康義の希望通り、火力は更に強くなっていく。そして、期待していたレベルまで炎の強さは高まった。
「せーの!」
走り出す康義。
隠れていたいた木陰から一歩を踏み出した。年齢を身体に鞭を打ち、急いで向かい側の森へと飛び込もうと駆ける。
燃え上がる火を見つめていた巨人兵だったが、飛び出した康義に反応し身体をの方角を傾ける。そして、数秒の間を空け、巨人兵は猛烈な高温を帯びたオレンジ色をしている光線を康義が数秒前に隠れていた樹木に熱光線が直撃する。樹木に直撃した熱線の影響で、樹木がいとも簡単に宙に吹き飛ばし、周囲の樹木を熱で燃え上がる。
非常に厳しい色で顔を染めながら、向かい側へと走っていく。巨人兵が放つ熱線により生じた炎が、康義の背中をオレンジ色に照らす。
「ひっ」
康義は背中を炙る火が、高温を伝え変な声が出る。
足元は幾つもの丸太が転がり、非常に不安定で走るには向かない足場だった。それでも必死になって足を荒々しく動かす。日頃、運動をしてない為か非常に不安定で左右に振られて今にも倒れそうになりそうでになる康義。それでもなんとか持ちこたえ、倒れることなくなんとか向かい側へと渡りきることができた。しかし、それでも背後から康義を死に誘おうとする炎が上がっていた。
先ほどまで明々としていた熱線を放っていた巨人兵が熱線の発射を止める。
数秒程度、間が空いた。
巨人兵の頭部と思われる部分が、ぐぐっと低い稼働音を唸らせながら体勢を康義の走っていく方向へと動かしていく。そして、放つことを止めていた熱線を再度放った。
康義が走り去った後の場所に巨人兵の熱線を直撃させる。当然、康義は過ぎ去っていたがために熱線が地面に直撃した時には、それなりに距離があったが為に康義の身体には傷一つない状いだった。
まるで大きなマシンのエンジンが動く様な轟く様に重く、非常に強大なエネルギーが降り注ぐ音が響き、同時に地面を激しく響く。
「!」
振り向く康義。そこには巨大な炎、それはまるで火山噴火したマグマの様な状況康義の視界が広がっていた。
熱線を放ち続ける巨人兵だったが、そのまま頭部を今の位置から更に康義が走っていった方角に動かす。頭部の動きと連動して熱線も移動し、熱線が横一線に走っていく。横一線に動かした熱線は、そのままその先に存在していた工場の建物に直撃する。そして、数秒間、熱線を浴び続けた工場の建物は、一気に爆発・炎上する。激しく炎上する工場は鉄製でできた骨が姿を見せていた。
轟音が周囲にけたたましく響き渡る。
「はっ!」
大きな声を出すことも出来ないが、あまりの爆発につい大きなリアクションを物陰に隠れていたさゆりはしてしまう。それでもそこに巨大な存在感を放つ巨人兵に動き出すことが出来ず見守っていた。
巨人兵の放った熱線は建物の破壊だけでは治まらず、一つ線を描く様に森を横切った線をきっかけに徐々に火が広がっていく。
熱線によって生み出された炎が、周囲に並び立つ木々に絡みつき徐々に樹木全体へと火が広がっていく。幾多の箇所からパチパチと折れるような音が森中に響く。
その中を康義は激走を続けていた。
当初は巨人兵が爆破した工場のある方向へと駆けていたが、背後で発生した巨人兵の熱線による攻撃を目にし、ある予感が康義の脳裏を過った。
「やばいっ!」
この言葉を機に直角に曲がり、走る方向を変えた。
その方向で脂汗を額に浮かべながら激走する康義。
何度も何回も若干の湿り気を持った地面を踏みつけ急いで前進する。
その直後に巨人兵が発した熱線が、背後で瞬間的に通過していく。通過と同時に火の粉が空中を舞っていく。螺旋階段のように渦巻く炎が黒煙を生み、青いキャンバスを黒く染めている。空へ立ち上る黒煙と宙を舞う火の粉が、まるで着物に描かれたデザインのようではあった。その一枚を切り取れれば破滅の美とも言えるかもしれない。
康義は走り続けた。そして、森を抜けた。森を抜けた先に広がるのは、踝までの高さまで育った雑草が広がり、その中に大きな岩がある。そして、その先には大海原が広がり、空はオレンジに染まった中で灰色がかった雲の隙間から薄明光線が広がっている。
激しく荒々しい波音が響く。
「崖か!」
目の前に広がる状況で、自分を追いつめられることを認識した。
「まずいな」
康義は今まで崖に身体を向けていたが、森がある背後に振り返った。
巨人兵と康義との間には黒々とした煙がまるで、大きな壁の様に二人を隔てている。
巨人兵の頭部に位置していた五つのランプの内、残り一つのみが点滅しながら明々と光り輝いていた。
前進する巨人兵。足元に倒れていた幾つもの木々が、巨人兵が前進する度に非常に太くまるで重トラック用に製造されたタイヤの直径程に太い脚部が踏みつける。踏みつけられた木々は、力が目一杯にかかり激しい音をさせながら終えれば曲がる。それは幾つもの割り箸を折るような音だった。
康義はその音に反応し直に大岩に身を隠した。そして、すこしばかり物陰から黒煙で作られた大きな壁を見つめていた。
徐々に巨人兵の足音は近づいていく。
蹴り上げた倒木が空中を舞い、そのまま崖を落ちていく。そのすぐ後には、海から激しく水飛沫が響く音が鳴る。その音に波音も重なって、さらに音が大きくなっていったように思えた。
その間に木々は激しく燃え上がる。
「どうするべきか」
森の方角を見つめる康義。
暗闇の向こう側から非常に重く唸るまるで巨大なトラックホーンの様な音が康義の耳に轟き響く。この音の質は康義の心を不快さがかき乱す。そんな心情になりつつも厳しい表情で未だに厳しい様子で黒煙を見つめ続けていた。
燃え続ける樹木を踏みつける巨人兵。明々とした炎が広がった中を前進する。激しく上下左右に動く炎。急激に燃え上がる炎の影響で黒く染まり樹木が焼け落ちた。
足元が燃え上がる中を重低音を奏でながら突き進む巨人兵。踏みしめた足は深く沈み、巨大な足跡が作られていた。巨大な身体を持つ巨人兵は、前進し黒い垂れ幕の中から、その巨大な姿を見せた。身体の傍で燃え上がる炎が、巨人兵を赤く艶やかに照らし、それはまるで舞台上の役者を照らすライトの様であった。
「改めてみるとデカいな」
岩場の影で見つめる康義は、正面で向き合って目にし正直な感想が漏れた。
その間もズシン、ズシンと音を轟かせながら前進する巨人兵。そして、頭部の巨人兵の頭部にあるランプが非常に早い速度で点滅する。例えるなら歩行者用の信号機が、青色から赤色へ変化する直前のような速度で点滅している。
燃え上がる木々から康義が身を潜めている大きな岩がある場所まで、約新幹線の車両二台ぐらいの距離が離れていた。巨人兵は発射口に明々と発光するエネルギーを徐々に溜め始める。数秒の間はエネルギーを溜め続け、光線を発射した。巨人兵が放った高エネルギーを帯びた光線は、まるでジェット機のエンジン音に似た唸り似た音をさせながら、まず、康義が身を潜めていた場所から左に直撃させる。そこには何もなく地面に直撃させ深く地面をえぐらせ粉塵が舞う。
「もしかして」
康義はその様子を見てある最悪の想定がなされていた。そして、その想定は正解する。
巨人兵が放つ光線は、巨人兵の頭部を右に動かし、背後にある海と並行させるように関数の”一”を描くように熱光線が動かした。熱光線が横に動く度に次々と大きな爆発が起きる。熱光線の動かす先には康義が身を隠していた大きな岩があり、とうとう直撃して爆発する。康義は巨人兵を受けて身体が宙を舞った。巨人兵の直接は攻撃を受けている訳ではないが、爆発で発生した風が康義は宙を舞い、地面に叩きつけられた。その時に雑草の上に落ち、ドサっと重い音がする。
「うぐっ」
康義の口から変な声が漏れ落ちる。
熱光線は岩を爆破した後も熱光線は通過し続け、一通り移動をすると巨人兵は熱光線を放ち終え光が消えた。巨人兵は光線を放つことをやめた。光線が放たれた痕跡として横一線に炎で文字が描かれている。康義が隠れていた大岩も巨人兵が放ったビームの直撃を受けて上部の形は康義が最初目にした姿を全く残していなかった。
「くっ、このままじゃ」
表情が激しく歪む康義。体中に刺激が体中を駆け巡る。それでもなんとか痛みに苛まれながらも右腕を動かし、腰のあたり動かし火炎瓶の状況を確認する。残り一本となっていた火炎瓶は全く破損しておらず、まだ使える状況ではあった。震える腕でなんとか火炎瓶を手を痛みに耐えながらしっかりと握る。もう片方の腕で着火式ライターを握る。両手の握った物を顔の前に持ってきた。そして、痛みに震えながら着火式ライターのトリガーをかっちりと引いた。康義はトリガーを引き筒の先に火が灯った。そして、火炎瓶の布部分に近づけ着火した。そして、大きく振りかぶって全体が破壊し下部しか残っていない大岩に今残っている力を全て腕に集め投げつけた。
手に持っている時はゆらりゆらりと揺れる程だったが、康義が火炎瓶を投げると炎がゆらゆらと激しく舞い踊る。そのまま火が灯った火炎瓶は宙を突き進み、半壊している岩石に直撃し砕け散る。砕け散ると同時に瓶の中に満ちていた液体が広がり、布部分に燃えていた火が液体に着火。即座に燃え広がっていく。半壊した岩石の全体を燃え広がり、めらめらと音が康義の耳に届く。
康義の前で燃える炎が、巨人兵に対するささやかなる防壁だ。康義自身、この炎が自分を守り切ってくれるなどとは全く思っていない。しかし、いま自分の身に及びつつある危機に抵抗するにはこれくらいのこと位しか思いつかなった。この抵抗すらしなければまさにまな板の鯉と言ってもいい状況である
それでも巨人兵は、康義の抵抗を感じているのか分からないが、じっくりとゆっくりと徐々に距離を縮めてくる。巨人兵が足を一歩進める度に足元の土は大きく抉れる。
「これで少しは時間が稼げたか」
康義の脳裏には共に避難をしてきたさゆみ達家族のことが浮かんでいる。さゆみ達がこのまま無事に避難してくれれば、自分の命と引き換えになろうとも迷いはなかった。
康義が過去の思い出が描かれては消えてゆく中で、それでも巨人兵は前進を続け康義との距離が短くなっていく。
巨人兵が一歩足を動かす度に、一方の足は地面に深く沈み、もう一方の足は沈んだ地面から離れ、茶色の土が零れ落ち、土煙が舞い風にのって散っていく。
その動作を繰り返してた巨人兵ではあったが、その動作を繰り返すことをやめて突然動きを停止した。
康義との距離はもう僅かばかりだ。巨人兵が次の一歩を動かせば、それは康義の命が費えると言っても過言ではない距離だ。
「ここまでか」
康義は少し先の自分を予測すると、全身の筋肉が強張った。しかし、その予測に反し巨人兵は動きを止めた。
その様子に燃え上がる炎の柵越しに巨人兵を見つめる康義。
すると巨人兵は腰を落とし、少し前傾姿勢をつくり、少しばかり康義との距離を詰める。
「終りか」
巨人兵の頭部にある光線の発射口が、徐々にエネルギーを帯び始めた。そして、そのエネルギーは以前の様に徐々に徐々に大きくなっていく。
”ズビビビビビビィィィ!”
まるでSF映画やアニメの中でしか耳にするような音が康義の鼓膜を刺激する。刺激するのは康義の鼓膜だけでなく、康義の皮膚を光線の強烈な熱が皮膚を刺激し脳へと伝達をしていく。
「うぐぐぐぐ」
あまりの刺激に耐えるしかできない康義。
その状態が数秒程度経過し、大爆発が起り、周囲に衝撃波と熱量と轟音が空間へ徐々に広がっていく。
「あ、ああ」
康義は生きていた。
康義は完全に伏せていた状態から、接地していた身体を右半身を浮かし、身体と地面の隙間から大きな破裂音が響いていた背後を見つめる。そこは、激しく炎に全体を包まれている観覧船が目に入った。大火に包まれる観覧船は青空一色だった空に黒い墨汁をぶちまけたかのように広がっていく。
「生きて……る……」
康義は自分がこの世界に存在していることを改めて肌で感じ取る。
ブォォォォ!
生きていることを実感している康義の耳に激しい重低音が響いた。その重低音を耳にした康義は、まだ脅威が自分の目の前に居ることを思い出し、顔を上に向けた。
そこには、燃え上がる炎と挟み巨人兵が以前健在な姿のまま立っていた。
「なにか違う」
康義は即座に巨人兵の変化に気付いた。
それは……。
「光が消えてる」
巨人兵の頭部と思われる箇所には複数のランプが存在していたがその全部があれだけ光っていたのに黒色に染まり消灯していた。
それでも巨人兵は前傾姿勢の状態を維持していた。それはまるで康義を見つめていた様に思えた。これを見た康義は……。
「動きも止まっている」
康義は巨人兵の動きが微動だにしない姿を見て呟いた。
それから数秒間、静止した時間が流れる。
すると、徐々に前芸姿勢だった巨人は徐々に直立した姿勢に変わる。そして、頭部であろう部分が空を見上げた。それを康義はじっと見ている。
両者とも動きがない。
二人が身動きをしない時間が生まれ、ただただ時間が流れた。その時はまるで音が消えたように康義には感じられた。
空を見上げた巨神兵は身体の各部に亀裂が生まれ始め、小さなまるでビスケットを砕くような音が複数個所から鳴り始めた。無数に生まれる。
巨人兵の体中に描かれたヒビは、徐々に無数の蛇かの如く全身へと広がっていく。
「巨人兵が壊れていく」
今にも崩壊しそうな巨人兵。その時、火が激しく踊るほどの風が、その場を瞬く間に駆け抜けていく。今にも崩壊しそうな巨人兵ではあったが、その場を駆け抜けていったと同時に巨人兵の頭部が徐々に崩壊を始めた。
「無に戻るのか」
康義の目の前で、砕けていく巨人兵。巨人兵が細かく砕け、強く吹き付ける風に巻き込まれながら宙へと舞っていく。巨人兵の一部だったその塵は、日光の光を浴びまるでダイヤモンドダストのように輝く。
「なんて光景だ」
巨人兵の崩壊は、康義の前で発生しているのではなく、そこかしこで同じような事象が発生しており、周囲で舞う塵の量は尋常ではないほどの量が空中を踊り続けた。
空へと立ち上る黒煙はまるで目的を果たせずに敗北の狼煙を表すかのように。また、空を悠々と輝き舞う塵は、まるで目的の達成を紙吹雪かのようだった。
康義は大の字になり、金色と青色と黒色とオレンジ色が混ざる非常に大きな大きなキャンバスを見つめていた。




