十七、相剋。その1
十七、相剋。その1
爆発が発生した現場から荷物を持って急いで、三人の元に向かった。起源として設定していた時間を五分程度であったが超過したが、三人は二人が戻るのを待っていた。三人の表情から「どうしよう」という感情が滲みでていた。そこへ康義達二人が戻ってくる。
「よかった」
二人を確認し、安堵の声が戻るさゆみ。他の二人も同様な表情を浮かべている。
「すぐに行こう」
二人の表情は非常に焦りの色が強いものだった。二人が浮かべた表情は、あの激しい惨状からくるものだった。
「何があったの?」
「あいつら大爆発しやがった」
司は驚きを目で訴えながら、言葉を零した。
その言葉にさゆみ達三人は、一瞬理解ができなかった。
「さっき展望台に行ったときに自衛隊とあいつらが戦闘している最中だったんだ。どうも自衛隊で残った部隊が攻撃している最中だった思う。司と二人でそれを見ていたが、あいつらが周囲の自衛隊を巻き添えにして大爆発をおこした。その結果、あたりは激しい猛火に包まれていた」
司の言葉をフォローするかの様に康義が、説明していく。
「え!?」
康義の説明に更なる衝撃を受けているさゆみ達。
「自衛隊はどうなったんですか?」
「あの状態だと全滅したんじゃないかなと思う」
「そんな」
司と雪のやりとりにも、衝撃と恐怖が隠しきれなかった。
「ここも安全じゃない。早く避難しよう」
「ええ」
康義の号令を合図に、康義を先頭にさゆみと続き順番に川へと向かっていく。
「姉ちゃん!」
「ん?」
司に声をかけられた恵は、顔を司の方向に向ける。
「ほいっ」
手に持っていたバックの中から惣菜パンを投げた。宙を舞った惣菜パンは空中で順番に表と裏が交互に繰り返しながら回転し、徐々に恵へと距離を縮めていく。
「おっと」
恵は司から投げられた総裁パンを広げを両手でキャッチした。キャッチした惣菜パンの開封口を両手で開いた。そのまま一かじりし、パンを噛みしめる。
「ほいっ。雪も」
司は雪にもメロンパンは差し出した。
「うん」
雪は差し出されたメロンパンを汚れ未だに残る細い右手で掴んだ。そして、同じ様に汚れている左手もメロンパンに添えられた。そして、上部を掴むと前後に引っ張った。雪の手に力が入るにつれて、メロンパンの透明な包装が前後に引っ張られる。包装に力が伝わり、切れ目が広がる。更に切れ目が広がり、包装の途中まで切れていた。切り込み口から半分だけメロンパンを出し、雪は一口齧る。
さゆみにはカレーパンを康義が手渡していた。
「持つよ」
そう恵が言葉をかけると、司が手にしてたバックの内の一つを手にした。
「わたしも持つよ」
同じ様に雪も声をかけ、司からバックを一つ持つ。
「ありがとう」
自分の荷物を二つ手渡した司は笑顔を返した。
五人はまた川に足を踏み入れ、前に進み水飛沫をあげていく。五人の足元を多くの水が流れて上流から下流へと流れていく。時折、水がキラキラと煌く。
五人はそれでも前に進んでいく。




