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十二、渋滞。その1

十二、渋滞。その1



数多くの衝撃的な事態が発生し忘れられない一日から夜が明けた。

キンピングカーの中で、それぞれの姿勢で睡眠をとっていた。

康義は運転席。

司は助手席。

さゆみは二つある内の小さいサイズの簡易ベッド。

恵と雪は二つある内の大きいサイズの簡易ベッドで一緒に身体を休めた。

そして、太陽が空にのぼっていくと同じタイミングで一同は目覚めた。そして、半壊された家から残っていた食べ物をその場で分け与えた。

皆が朝食を終えると康義はキャンピングカーの鍵を鍵口に差し込む。そのまま、鍵を握ったまま右に動かす。その合図を受けたキャンピングカーは、徐々に車体を揺らし始めていく。その揺れは康義以外の人間にも感じていた。

エンジンが始動したキャンピングカーは前に動き始める。

一時的に停車していた広場から移動し、被害が多い都市部から離れ遠くへと向かうことを決めたのだった。

動きだしたキャンピングカーが崩壊した街並みの風景の中を走っていく。

キャンピングカーが進む中、幾つかの対向車とすれ違っていく。やはり、あの巨人兵に襲撃をされたのか明らかに自動車の台数が日頃見る量と比べると減少している。まるでそれを証明するかの様に引っ繰り返った自動車の残骸や押しつぶされた自動車、真っ黒に焼け焦げた自動車が路肩に積みあがっている。

「ここでも同じこと起きてたんだ」

 雪は車窓を見ながら呟いた。恵もその後継に息を呑んだ。

キャンピングカーは前に進み続ける。

「父ちゃん」

 司は助手席で、遠くを指さした。その言葉に従い康義はキャンピングカーを停車する。

「どうした?」

 司はまだ指をさし続ける。

「司?」

「父ちゃん。高速道路も駄目だ」

 司の言葉の通り、視界の先にある高所に建設されていた高速道路が跡形もなく無残に破壊されていた。その様子は幾年も経た朽ちた戦争の遺跡ようだ。しかし、目の前の風景に製造年月日があるとすれば昨日の日付が刻まれている。

「司の言う通り、高速道路は使えないわね」

 さゆみは司の指し示す方向を見ながら呟いた。

「一般道を行くしかなさそうだな」

 そう呟いた康義は停車をさせていたキャンピングカーのエンジンに熱を入れ、徐々にまた唸りをあげ始める。タイヤを徐々に動き前方に進んでいく。

歴史の遺物と化した高速道路であったものが見える位置から離れ、更に奥の一般道へと進んでいった。

高速道路を離れて一般道を進み、二時間が過ぎた。

五人を乗せたキャンピングカーは山中の二車線ある一般道で渋滞に巻き込まれていた。

幾らあの巨人兵に襲われたからと言って、全ての自動車が破壊された訳ではない。

康義達がキャンピングカーを使っていると同様に、巨人兵の襲撃から逃れた人々は康義と同じように襲撃が激しかった都心を離れ、被害の少ない地方へと避難する為にまだ動く自動車で向かう動きがあった。

しかし、そう考える人間は当然一人二人ではないため、都心から離れる車線に多くの自動車が集中していた。そして、ここに二時間も滞在している。

「完全に渋滞にはまったな」

 キャンピングカーのハンドルを握り人指し指がメトロノームのようにハンドルの表面を軽く叩きながら、康義は呟いた。

「仕方ないわ。みんな考えることは一緒だもの」

 キャンピングカーの窓から周囲を眺めつつ恵は言葉を口にする。

「とはいえ、こんなところにいたらあいつらがくるよ」

「そうね。早くこの渋滞を抜けたいわね」

 司の意見にさゆみも同意する。横にいた雪も同様の顔色だった。

司はキャンピングカーの助手席から周囲を眺めていた。そこには数多くの自動車がびっしりと並んでいた。その中には高級そうな外国産の自動車もあった。全体は真っ黒で、一部に銀色のメタリックが日光でキラリと光る。外国車の窓から内部の様子が見えた。そこには凄く偉そうな年配が居た。その要人は何度も腕を振り上げ、激しく下に振り下ろす。そして、また腕を高く上げ降り下ろす。その動きを何度も繰り返していた。

「ストレスたまってんなあ。まあみんなそうか」

 司はその様子に妙な納得を得ていた。


 ”ズガガガガガン!”


運転席から見て張り出した山の向こう側で轟音が響き、高い火柱が上がらった。

 キャンピングカーが上下左右に激しく揺れる。

「キャッ!」

 轟き響く爆発音に雪は悲鳴を上げた。その雪を恵は身体をしっかりと支えていた。

司は両手で天井と座席に圧をかけ身体を揺れから守る。

さゆみも同じようにキャンピングカー内部を掴み、振動から対応する。

康義はしっかりとハンドルを握り、振動に耐えた。

瞬間的に顔を伏せる一堂であったが、ゆっくりと顔を上げた。

面前には明々と燃え上がると同時に高く黒煙が昇る風景が広がっていた。

その向こうからのそっとあの巨人兵がのそっと姿を見せた。

「あいつ……」

巨人兵はゆっくりと動き前進し、黒煙を突き抜ける。そして、存在を誇示するかのように全身を見せつける。

頭部と思われる部位にあるランプは五つある内の右二つが消灯しており、中央のランプが点滅している。

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