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【連載版】腰巾着(親衛隊)の伯爵令嬢に婚約破棄の伝言を託したのが、王太子の間違いだった  作者: Vou
【第三の伝言】呪言

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第二十二話 呪言を聞いた王宮の人々の呪言を聞いた侯爵令嬢と伯爵令嬢

 ヴィオレッタとミリアは手を取って踊っていた。


「クラリッサ様、世界を支配」

「クラリッサ様、世界を支配」


 親衛隊の精鋭二人は、多幸感に包まれ、熱に浮かされたように踊っていた。


 王国中の、そして世界中の誰もがクラリッサのすばらしさを認め、クラリッサのために生きる。その理想の世界が突如現れたのだ。


 その多幸感に酔っていた二人だが、ふいに浮かんだ疑問によって我に返った。


「……なぜクラリッサ様は、これほど一瞬にして世界の支配を進めたのかしら?」


 ヴィオレッタが呟いた。

 

「言われてみれば……『クラリッサ様、世界を支配』って、至極まっとうなことを言ってはいますけれど……何か様子が変です」

  

 ミリアも首を傾げた。


「まさか……『呪言』?」


 ミリアがそう口にすると、ヴィオレッタが頷いた。


「クラリッサ様がすばらしいのは誰にでもわかることだけれど、一瞬にしてその真のすばらしさが理解できるほど、底の浅いすばらしさではないわ。あの方々は、きっと『呪言』によって、誤った理解をしているのだわ……」


「許せない……。これは、クラリッサ様への冒涜です。まやかしに浮かれてしまった私自身も許せません」


「そうね、ミリア……。私もクラリッサ親衛隊隊長として、恥ずかしいわ……」


 ヴィオレッタとミリアは表情を引き締め、唱和しながら行進を続ける人々を見た。


「……あの人々は行進して……王宮を出て行っていますけれど……どこに向かっているのでしょうか……?」


 ミリアの問いに、ヴィオレッタが目を見開いた。


「嫌な予感がするわ。追ってみましょう」


 二人は早足で王宮を出て、行進する人々の向かう先を確かめた。すると、その行列は貴族街の方へ伸びていた。


「しまった! クラリッサ親衛隊隊長の私としたことが……何という失態!」


 ヴィオレッタが叫んだ。


「ヴィオレッタ様……まさか……」


 ヴィオレッタの顔には、ミリアがかつて見たことがないほどの焦燥の色が浮かんでいた。


「この者たちは、レーヴェンハイト公爵邸……クラリッサ様のところに向かっているわ。世界の支配者として、戴冠していただくために」

 

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