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兄の懺悔

本日は二話投稿です。こちらは二話目です。

活動報告にて登場キャラクター紹介を載せています。鬼畜アンデッドです。

「や~お待たせお待たせ」


「待たせたなぁ」


スノーボールファイトのルールを聞き妙案を思いついた僕は、その妙案を実行するために必要なモン材の手を引いてスノーボールファイトのコートへと足を踏み入れた。


「遅い……っていや誰!?」


「あ、雪ゴーレムの受付のおっちゃんじゃん」


既にコートで待っていたふたりが、僕に手を引かれて一緒にコートに入ってきたモンスターを見て口々に言う。

僕はふふん、と胸を張った。


「助っ人を用意しました!僕のチームのキーパーです!」


「はああ!?」


じゃじゃーん、とばかりにふたりに紹介したのは、ロイドの言う通りあのゴーレムタグの受付をしていたコウモリモンスターのおじさんだった。

おじさんはポリポリと頬を掻いて苦笑した。


「いや~今日はもう店仕舞いして撤収しようとしたらいきなり現れた嬢ちゃんに『僕と契約してキーパーになってよ!』って引っ張られてなぁ」


「ついてきてくれてありがとうねおじさん。実は僕を踏みつぶしてくれたあのゴーレムはこのおじさんの魔法だったらしくて。いやぁあの説はどうもお世話になりました」


「なんか恨みみたいなの感じるぜ」


あっはっはっと笑いあう僕とおじさん。半ば強引に連れてきてしまったのだが嫌な顔一つしないで付き合ってくれるいいモンスターだ。後でお酒奢ろう。

僕は後ろで呆然とするパーシーをニヤニヤと振り返った。


「さあて……あれあれ~?パーシーくんひとりなんですかぁ?氷魔法使えるからって2対1でも勝てると思ってるのぉ~?悪いけど容赦しないよ?」


「なっ……ひ、卑怯だぞ!ぼくだって……っ!」


おじさんを侍らせてにやにやと笑う。パーシーは僕の言葉にぐぬぬっと唸り、慌てて助っ人を探すべく辺りを見回し始めた。

しかし周りには何事かと遠巻きに僕らを見ているちびっこモンスター達しかいない。焦り始めたパーシー見守りながら、我関せずとばかりに一歩離れた場所で僕らを眺めていたロイドの襟首をグイッと引っ張った。


「ちょっと、ブラ兄」


「その呼び方やめろ。なに?」


「なに?じゃないよ。早くパーシ―助けなさいよ」


「は?」


こそこそと耳打ちすると、ロイドはギョッと僕を振り返った。

その反応に盛大なため息をつく。


「あのねえ。僕が本当にパーシーに勝つためだけにおじさん連れてきたと思ってるの?んな訳ないでしょ。2対2に持ち込んで兄弟でチーム組んでもらうためだよ」


「なんで……」


「パーシーはお兄ちゃんと遊びたいんだって」


小声で今しがたパーシーが吐露した本音をロイドに明かす。本当は告げ口みたいで嫌だが、しかし本音と言うのは本モンスターに伝わらなきゃ意味がないのだ。

それに僕のせいで拗れてるところあるし……。心を重くする罪悪感を少しでも軽くしたいという気持ちも多分にある。


「パーシーが……俺と……」


ロイドは僕の言葉に目を伏せ、そして言いづらそうに口を開いた。


「パーシーは……俺の事嫌ってないか……?」


「なんでそんな話になるんだ……」


今度は僕が面食らう番だった。この兄弟、お互い自分の愛のせいで相手の事見えて無くないか?あんなに好き好き光線食らってんのに自覚していないのだとしたら鈍感系主人公の才能あるよ君。


なんかもうドッと疲れてきてしまった僕だが、一応何故ロイドがそう考えているのかを尋ねる。するとロイドは口をへの字に曲げた。


「……お前さんの事だから知ってるとは思うが、俺とパーシーは本当の兄弟じゃない。雪の中で凍死しそうになってた孤児で、俺が拾って育てた。……本当に可愛いし、素直だし、魔法は使えるし、可愛いし、天然だけど可愛いし……」


「おじさんとパーシーが待ってるから惚気はカットしてくれる?」


「……でも。特に最近は、研究所に入り浸りすぎてアイツと一緒に居れてないんだ。多分寂しい思いをさせてる。そのせいか最近パーシーから避けられてる気がしてるんだよ。……俺みたいなダメなモンスターがアイツの兄を名乗る資格なんて、とも最近思ってて。俺はもうアイツから離れたほうがいいのかと……」


「兄弟そろって僕の心抉りに来るのやめろや……っ!!」


結局僕のせいじゃないか!んもー!!!

もう同じ下りするのもいい加減面倒くさいので、僕はうじうじ悩むロイドの肩をガシッと掴んで凄んだ。


「ただの杞憂です。パーシーはロイドの事大好き。ロイドもパーシーの事大好き。何の問題なし、モーマンタイ。……君たち兄弟はちゃんと話をしなさい」


「は、はい……?」


「まだ悩まれるようなら僕は博士と共に土下座をしなくてはいけなくなる」


「ええ……なんで……?」


ドン引きするロイド。いやそうでしょうよ。ふたりともすれ違い生活のせいでモヤモヤして拗れてんだから、すれ違い生活させてる元凶が謝るのが筋でしょ。っていうか博士が。……やっぱり博士の土下座だけでいい?


ため息をついて後ろを振り返る。パーシーは見学する気満々のちびっ子たちに何とかチームメイトになってもらえないか交渉していた。が、あんまり状況は芳しくないようだった。子どもたちに囲まれて困ってるパーシー可愛い。


「……立派に育ってるんだったら、十分立派にお兄ちゃんしてるよ。ロイド」


「……」


「……子は親を映す鏡ってね。そんでもって全く鏡写しの悩み抱えてるんだから立派に似たもの兄弟だよ。いいからそのはた迷惑なクソデカ愛をパーシーに見せつけてこい」


「おわっ!?」


ドンッとロイドの背中を押す。午前中に僕を眷属でボコボコにして高笑いしていたモンスターとは別人のように弱弱しい表情の彼は、よろけながらパーシーの前に突き出された。


「兄様……?どうされました?」


「あー、いや……」


ちらっと僕を振り返るロイドに、身振り手振りで「いけ!差せ!」と伝える。

伝わったかどうかは分からないが、僕のジェスチャーにロイドは困ったような、笑ったような、苦々しいような変な表情を浮かべた。


「……その、もし良ければ俺がお前のチームに入るけど……」


「えっ!ほ、本当ですか?兄様……?」


途端、ぱああっと音が出そうなほどに喜色満面な笑みを浮かべるパーシー。

ちゃちなアンデッドなら浄化できそうなほどに清らかで純粋な笑みだ。あぶねえ、正面から食らってたら召されるところだった。


立ち上がったパーシーはロイドの両手を取って「よろしくお願いしますねっ!兄様!」とふりふり上下に振った。嬉しくてしょうがないという様子でニコニコと笑っている。可愛すぎる……。ちなみにロイドの霊圧が感じられないが恐らく大丈夫だろう。もう知らん。


「それじゃ、チームも決まったことだし始めようか。ルールは制限時間内にコートの両端に3つずつあるゴールにより多く雪玉を入れたチームが勝ち。いいね?」


「いいだろう!」


「審判は見学のちびっ子たちにお願いしました」


「「「「はーい!!」」」」


「お前さん、なんだかんだコミュニケーション能力高いの何なんだ?」


ロイドが意外そうになんか言っているが、僕のことを何だと思っているのかと問い詰めていると話が進まないので一旦スルーする。後で詰めるからな。


「こっちのチームのキーパーはおじさんです。作戦通りよろしくね!!」


「あいあい……。公式戦じゃ反則だがなぁ」


何やら複雑な顔で呟くおじさんにウインク&サムズアップする。大丈夫、ルール確認の時に定義してなきゃいくらでも逃げようがあるんだよ。

僕らの会話が聞こえていないパーシー・ロイドチームもキーパーの選出をしているようだった。あちらは特に声を潜めることも無く話し合っている。


「パーシー、俺がキーパーやるよ」


「え?でも兄様……」


「大丈夫大丈夫。弟に恥ずかしいところは見せられないし、それに……」


心配そうに声を掛ける弟に手を振ったロイドは、しゃがんで作戦の細かいところを詰める僕とおじさんを見て笑みを浮かべていた。


「アイツとは数日の付き合いだが、分かりやすい奴だからな。……何となく何してくるかくらいは予想くらいはできるよ」



ご覧いただきありがとうございます。

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