いや枯渇といってもそのまま放置することなんて絶対にないしその前にまた投与するつもりだったってホントホント博士嘘つかない
投稿話順を間違えるという大失態……!大変申し訳ございません!
昨日ご覧いただいてる方はぜひ是非15、16ページ合わせてご覧ください…!
と、まあ盛大にビビり散らかしていた僕だったのだが、例の最初に目覚めた処置室で受けた検査は至ってまとも(当社比)なものであった。
「うーん、問題なく適合しているな。いや素晴らしい。見よこの美しいエネルギー体を!」
「はあ……」
二の腕を縛る採血バンドを外しながら恍惚とした表情のフリント博士にげんなりと返事を返す。血こそ通っていないこの体だが、代わりに液体化したあの劇物もとい『超エネルギー』が巡っているらしく採血の要領で少量採取されたのだった。
試験管に収められたエネルギー体は見た目血液っぽい赤色の液体だったが、確かに言われてみれば少し透き通っているし金箔みたいなのが混じっているように見える。いよいよニンゲン離れした体にうへーと舌を出す。
なにやら仰々しい機械に試験管を差し込んだ博士は、連動して起動したスクリーンプロジェクターに映し出される数字を見てきゃっきゃっと目を輝かせはしゃいでいる。
次から次へと流れる数字や文字を僕も目で追ってみるがさっぱり分からなかった。
次第に画面は切り替わり、画面中央に人型のシルエットが映し出される。
博士は何度も何度も頷き感極まりながらパチパチと拍手をしだした。
「見てくれロイドくん、魔力とエネルギーの比率が完璧だ……!やはり心臓部が一番エネルギーが凝縮されているようだな。……うん?心臓の傷を覆うように結晶化したエネルギーが纏わりついている……?体内に注入したエネルギーだけではいずれ枯渇するのではと危惧していたが、この心臓を覆う高エネルギー結晶がエネルギーを微量ながら生成しているのか……?ニンゲンでいう骨髄の役割を果たしているのだろうか」
「あー、博士?ラウがドン引きしてるから詳しい話は後でにしないか?」
少々乱れた検査着を直しながらジト目で博士を見ていると、僕の視線に気付いたロイドが気まずげに博士を止めにかかる。
いやドン引きっていうか、なんか今聞き捨てならない言葉が聞こえたんだけど?生命維持のエネルギー枯渇したら普通死なないかな?もしかして僕死ぬところだった?いや死なせはしないだろうけど、ギリギリまで追加投与されないで観察されてたかもな……。
身長体重の測定から始まった検査は、しかし内容は拍子抜けするくらい普通の健康診断のようであった。途中途中で見たことも無い機械の上に腕を載せられたり、医療ドラマでしか見た事ないような大型の筒状の機器の中で仰向けで寝かされたり等少し特殊な検査もあったものの、大体1時間程度で無事全項目終わった。
とりあえず解剖とか始まらなくてよかった。仮に始まったら噛みついてでも抵抗する所存だったけども。
近未来的な機械に囲まれながら安堵の息を吐いていると、博士がロイドになにやら指示を出しているのが聞こえた。
「それじゃ、明日からはロイドくんとミモザでこの内容よろしくね。基本1~7までは毎日。8、9の項目は5日に一度実施すること。10以下はまあそんな頻繁に実施しなくてもいいから適宜指示するよ。それで結果は私の端末にメッセージ送ってほしいな」
「メッセージ?普通に報告じゃダメなのか?」
「うん。私今日これから出張なんだ。一週間……いや10日位かな?不在にするよ」
「へ?」
「はあ?聞いてないぞ」
「今日の朝一番で決まったからね~」
指示と共に手渡された数冊のファイルを抱えながらロイドが怪訝な顔をする。僕としてもこれからの方針について博士と話し合うのかと思っていたので、思わぬ外出予定に素っ頓狂な声を上げてしまった。
キャスター付きの椅子に腰かけた博士は困った困ったと言わんばかりに大仰に肩をすくめると、机の上に設置されているパソコンらしき機器を操作し始めた。
「ついでに陛下にラウの事と勇者について報告してくるよ。ラウは私が帰ってくるまでに今の体を慣らしておきつつ、昨日名前が挙がった主要メンバー達と顔合わせしておいて」
「え、あ、了解です……?」
急展開について行けず間抜けな返事をする僕を他所に、キーボードをタタンッと小気味よく叩いた博士は椅子から立ち上がった。
そのまま瞬く間に身支度を整えたかと思えば、
「じゃあそういうことだから。ロイドくんの端末にメッセージ送っといたから後で確認しておいて。よろしく頼んだよ。……あ、ラウお土産買ってくるから楽しみにしててね~!」
と一方的に言い残して足早に部屋を出て行った。
「……なんじゃありゃ」
「はあ……。まあ博士の突発的な行動は今に始まったことじゃないから……」
ポカンと博士を見送った僕に対し、いやどちらかと言えば自分に言い聞かせるようにそう言ったロイドはため息をついた。
「ま、そういう訳だ。まずはこの世界について……リライヴェッジ研究所の説明から順にしていこうか」
手に持ったファイルを雑に頭蓋骨達に咥えさせ手ぶらになったロイドは、そう言って朝っぱらだというのに大変疲れた顔で僕を振り返った。




