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雪冤 其の三

遅くなってすみません。

旅行に行っていたのですが、行く先々で「ロイラウにここデートさせてえなあ……」と思いを馳せていたのですが、本編のアイツらいつまで経ってもガキすぎるので無理な気がして来た今日この頃です。


 多対一の戦端を開いたのは、あの毒液を滲ませる大蠍の尾の攻撃───ではなく、砂の中で潜伏していた大ミミズの突き上げだった。


「ううううわああああああっ!?」


 もご、と砂が盛り上がったと思った次の瞬間大質量が大量の砂と共に飛び出してくる。

 両手を広げたアジェルが3にん手を繋いで輪になったくらいの胴回りに、パーシー5にん縦に並べても尚足りなさそうな長さの巨体が立ち上がる光景は非常にダイナミックでファンタジーである。


 が、しかしその吸盤状の口が宙に居た自分をロックオンし迫ってきているとなれば感動している暇など有りようもなく、悲鳴を上げながら『八艘』を連続使用し更に高みへと逃走を図る。

 

 まさか砂の中にそんな巨体が潜んでいたとは露にも思わなかった。初見殺しっぷりに肝が冷える。なんとかミミズの口が届かない位置まで駆け上がり下を見下ろせば、心なし悔しそうに蠢く巨体の陰からカメレオンキメラが明後日の方向に吹っ飛んでいくのが見えた。

 どうやら大ミミズのかち上げ攻撃に巻き込まれたらしい。カメレオンくーん!


 あの植物花キメラの真骨頂は女王個体と配下間で行われる魔力やダメージの相互供給による継戦能力の高さ。その優位が女王個体が斃れたことで失われた今、あのカメレオンキメラは他モヴにとっても大した脅威とは見做されていないということだろうか。

 最も、ダンプカー規模の質量というだけでモンスターからしてみれば十分に脅威だし放っておけるものではないが。


 とりあえずボスのような貫禄をもって現れた筈なのにとっても哀れな扱いのカメレオンくんに涙が禁じ得ない。


「お前の仇は僕がとってやるからな……!」


 と、冗談はさておき。


 このミミズは早々に片付ける必要がある。この潜伏力はバカにできない、他のモヴとの戦闘中にまた下からかち上げられたらただでは済まないだろう。

 相手はスケールがファンタジーしてるけど虫。ならば……


 早々に戦略を組み立て反転。構えた剣に風を纏わせて重力に従って今度は全力で宙を駆け下る。

 ミミズは逃した筈の獲物が自ら戻ってきたことに歓喜するように口を開いた。

 だが残念、そこに入るのは美味しい餌じゃない。気持ち悪い動きをするそこを無理やり閉じさせるように縦に一太刀三閃に増幅した剣戟を叩き込む。


「まだまだぁ!」

 

 餌の代わりに攻撃をぶち込まれて悶えるミミズの脇を駆け抜ける。すれ違い様に一閃、『八艘』で軌道を変えて一閃、柔らかい胴体に刺突を繰り出し、そのまま裂くように切り上げ一閃!巨躯の周りを縦横無尽に駆け巡りながら次々とその体に傷をつけていく。

 

 巨体といえど所詮はミミズ。身体中に傷を負っても悲鳴を上げることはなく、そして巨体故にその動きは緩慢で高速で動き回る僕を捉えることはできないようだ。大きく身を捩ることはあっても攻撃らしい攻撃はしてこない。

 反撃がないのをいいことに好き勝手に飛び回っては剣を振るい続け、遂にその体がぐらりと傾いた所でミミズの頭上に飛び上がる。


 ラスト、一刀両断してやると最上段に構えた剣を傷だらけで目の無い顔面へと叩きつけ───


「なぁんて、見えてる、よ!!」


 さっきから殺気がビリビリ伝わってきてるんだよ、奇襲掛けるならミミズくん見習って完璧潜伏できるようになってからにしなぁ!

 

 ミミズに攻撃が到達する寸前に剣筋を変更、身を捩って反転し剣をゴルフクラブのように下から掬うように振るい斬り上げる。三つに増えた太刀筋は音もなく背後に迫っていた鷹っぽいモヴの体にクリティカルヒット。大鷹の絶叫が響いた。


 間髪入れず指を鳴らす。パチンッと軽い音を合図に魔力がごっそり体から抜けていく。同時にせめて餌を食らわんと背中を晒して落ちてくる僕を持ち構えるミミズと羽を撒き散らして地面へと落ちていく鷹の傷から猛烈に紫炎が噴き出した。


 ほっほーん?思い付きのぶっつけ本番だったが、なかなかいいシナジーしてんじゃないの『羽々斬』と『火廻』の合わせ技。『火廻』の方はマーキング対象が少なすぎて完全な発動にはならなさそうだけど、鷹を消し炭にしてミミズにトドメを刺すくらいの火力は出たな。流石僕。流石の戦闘センス。惚れ惚れするぅ。


 ちなみに指パッチンは特に発動に必要なものではない。ないけれども、まあ生放送中だし?紫炎が僕の魔法によるものだと分かりやすくする為にも?演出は必要というか?べ、別に格好いいからとかじゃないんだからね!


 誰にともなく言い訳しながら燃え盛る巨大炎柱となったミミズのそばに着地。

 一息つく間も無くその場で身を屈めれば、頭上を銃弾もかくやというスピードで毒々しい色をした液体が通り抜けていった。

 大蠍の射程範囲内に再び入ったということだろう。持ち上げられた尾の先からマシンガンかと笑いたくなる量の毒液が僕目掛けてばら撒かれる。それを横に飛んで躱し、砂の上を転がって避け、飛び越えながら毒弾に逆行するように大蠍へと駆け出す。


 『修復』の鬼であるユウキエネルギーが流れている以上、恐らく僕の体は大蠍の毒もほぼノーダメで耐えられる。しかし流石に毒無効化は常モンスター離れどころか普通に異常だからなあ……制服をまたダメにするのも憚られるのでとりあえず全て避ける。

 

 仕留めるどころか逆に迫ってくる獲物に業を煮やしたか、苛立ったように蠍がその大きな両の鋏を振りかざした。流石にこれが直撃したらまずい、左右から挟み込むように振るわれる特大ハンマーのようなそれを突き立てた剣を支点に体を跳ね上げることでその軌道から逃れる。倒立するように宙返りをすればすぐ真下で鋏が空を噛んだ。


 その勢いのまま宙で一回転。全体重を乗せた剣を蠍の頭に叩きつける。べギィッ!と頭頂の甲殻にヒビが入り、毒液に似た体液が噴き出した。


「どりゃぁっ!」

 

 脳天に受けた衝撃に大蠍が昏倒した隙を逃さずその横腹目掛けて踵をぶち込む。一瞬耐えるように硬い体が撓んだものの、空白の後硬い殻が割れる音と共に大蠍の体がぶっ飛んだ。


 軌道上のモヴを多数巻き込んで飛んでいく蠍ホームラン。その脇を抜けるように無数の線が砂の上に現れる。蛇行する跡を残すそれは、薄明かりの中姿を現すことなく僕を取り囲んだ。


 なんか潜伏能力持ち多くない?砂漠で生きていくには毒か潜伏スキルが必須なのか?なんと過酷すぎる環境か……。


 よーく目を凝らせば時折透明な鱗の輪郭が月と星の光の照らされて浮き上がって見える。そういえばリリ剣にも出てきたなぁこの敵。どこから攻撃されてるかわからない上に、群れで襲って来るから逃げることもできずあっという間にHP削られてガメオベラ……雑魚にしてはなかなか強敵でロシェ編が鬼門と呼ばれる一因にもなってたっけ。


「そう、お前らは強敵だ……正体と弱点が分かるまではなぁ!」


 放射線状に取り囲んだのが間違いだったな!お陰で位置調整しなくて済む!

 全身に回していた身体強化を左足に集め、思い切り踏み込む。

 砂中に走った尋常じゃ無い衝撃にドオッ!と表面が波打ち勢いよく舞い上がった。砂の表面を滑っていた細長い体が宙に放り出され、僕を狙っていた奴らの姿が顕になる。


「砂に触れてる間しか透明化はできないってね!」


 力技で光学迷彩を解かれ宙を舞う心無しかびっくりしたように爬虫類の目を見開いた大蛇達。ギュリッと砂を踏んで剣を振り抜けば、僕の腕ほどの太さはあるその体に横一文字の傷が刻まれた。

 

「ファイヤー!」


 轟ッ!と大蛇達の傷から紫炎が噴く。今度こそ完全発動した『火廻』が獲物を喰らって火柱を上げ、周囲で虎視眈々と僕が弱るのを待っていたモヴを花弁ならぬ火弁で飲み込んだ。


 遮蔽物のない砂漠の上で紫のヒマワリが咲き誇る。砂混じりの熱波が巻き上がるその中央で剣を払って肩に乗せれば、随分と数を減らしたモヴ達が怖気付いたようにジリジリと後ずさった。


「どうしたどうした。こんなに美味しそうなモンスターがいるのに随分と逃げ腰じゃんか」


 モヴとは魔力を喰らって生きる生物。つまり魔力を持つモンスターは奴らにとっては餌であり、普通のモンスターの何倍もの魔力を持つ僕は言わばご馳走だ。

 その為にここに集ったモヴ達は、憲兵によってモンスター払いされたオアシスに走ることなく分かりやすいご馳走を襲うことを優先している。


 だというのにどいつもこいつもビビっちゃってまあ……ご馳走から口の中に飛び込まないといただけないってか?仕方ないなあ、そこまで言うならこっちから……


「ギチチチッ!」


「おおっ?」

 

 遠巻きにするばかりの敵に飛び込むべく身を屈める。しかし飛び出すよりも前に警戒一色だったモヴ達が一斉に動き出した。

 どうやら奴らは気付いたらしい。大暴れする僕のその背後、もっと魔力を溜め込んだ食い出のある餌の存在に。


 凶悪な鳴き声と共に僕からその背後へと狙いを変えた奴らは脇目も振らずに空から、砂中から、離れた場所から、その餌へと殺到し攻撃を繰り出した。


 が、


「残念ながらそっちの方が強いんだよなぁ」


 あーらら、と苦笑いしながら剣でトントン肩を叩く。

 そんな僕の言葉を肯定するように、凄まじい魔力が背後で吹き荒れた。


 僕同様、ミモザ達から支給されたご飯を食べて全快した濃い青の魔力は百に及ぶ骨の体を瞬く間に創り上げる。それだけに留まらず、次々と眷属を虚空から呼び出し、大きな武器を担いだ近衛兵を顕現させた。


 襲撃最前線であるこの場に騎士や憲兵が配置されていない理由。

 それは僕ひとりでモヴの襲撃を食い止めている画を余すことなくカメラに映す為であり、そして万一撃ち漏らしがあっても十分に街を守れる最強が防衛線として立っているからだった。


 満漢全席並みのご馳走を前にした歓喜と威嚇の鳴き声が一瞬で絶叫に変わる。僕相手にしてた方がまだ勝ち目はあっただろうになあ……見誤りましたね、南無三!

 恐らくモヴにとって地獄絵図となってるであろう背後に苦笑していると、突如頭上に大きな影が掛かった。


「むっ!」


 咄嗟にその場から飛び退く。一瞬遅れて空から何かが轟音を立てて降ってきた。

 もうもうと立ち上がった砂煙の向こうでのっそりと体を起こすもの。隠密性か毒性持ちがものを言うらしいこの砂漠においてそのどちらも持ち得ない異物は、代わりとばかりにその凶悪な牙を見せつけるように鳴らした。

 

「生きてたかカメレオンくん。まあ死なれてたらそれはそれでちょっと困るんだけども」


 なにせこの生中継は君を討伐する僕の勇姿を映すものだからな。まさかのメインエネミーが雑魚敵にぶっ飛ばされて死にましたじゃ拍子抜け過ぎて解ける洗脳も解けんて。


 そんな僕の軽口に殺意たっぷり殺す気十分に咆哮を上げるカメレオンキメラ。あいも変わらず顔が花なので表情で感情を推し量ることは不可能だが、なんだか纏う気迫に純粋な食欲以外の感情も混じっているように感じてならない。


 どういった経緯で生まれて主要街に襲撃仕掛けてきたかは分からないが、きっと僕が女王を討伐したことを理解しているのだろう。憤怒にも似た憎悪を向けられ鼻を鳴らす。


「お門違いにも程があるでしょうに。その文句は君らの仲間を僕にけしかけた育ての親に言いなさいよね」


「ガァァアアッ!」


 問答無用と蔦で編んだ舌が槍のように突き出される。カメレオンキメラの舌攻撃は速く、横凪に振るわれれば軌道も読み辛い。

 だが攻撃そのものは対して重たくない上、一直線に突き出すのであれば着弾タイミングを惑わすしなりも発生しない。両手で握った剣で横に弾き飛ばす。


 間髪入れず『無拍子』でカメレオンキメラに肉薄し、死角である顎下に潜り込んで紫炎を纏わせた拳を全力で振り上げる。たるんだ喉下に思い切り拳が突き刺さった。

 

「もういい加減帰りたいんだ、さっさと終わらせていただこうじゃないの!」


 なんてったって小説にしたら20万字に届く大冒険だった訳だからね!もう正直眠くてしょうがないんだよ、寝かせろ!


 女王個体と違って地面に埋まってる訳でもなく、移動速度重視なのかそこまで密度が詰まっていない体は身体強化マックスの拳によって簡単に宙に打ち上がる。強烈なアッパーに吹っ飛ぶ体がミシミシと軋む音を鳴らした。

 めり込んだ拳を起点に紫の炎に変換された魔力がカメレオンキメラの全身を包む。キメラの歪な魔力の根源を紫炎を通して探り、拳に伝わった感触に確信を得た。

 

「見つけた……!」


 まるで心臓のように収縮を繰り返し巨体に魔力を循環させている異物。間違いない、無理矢理つなぎ合わされた因子を繋ぐキメラの核だ。

 喉の奥に隠されたそれは、流石に弱点とあってか植物性の繊維に厳重に包まれている。このまま拳で叩き割るのは不可能、紫炎で燃やし尽くすにしても時間がかかるだろう。


 既に三日月はもう沈みかけている。遮蔽物の少ない砂漠でももうその姿を半分以上隠しており、代わりに反対の空が空が白み始めてきた。

 夜明けが近い。諸々の事情───主に僕の気力───を鑑みても早期決着が吉!


 ならば唸れ僕の腕力!ぶちかませ!


「おっらぁああああッ!!」


 思い切り拳を振り抜く。図体に反して軽い体がゴッと音を立てて天高く吹っ飛んでいく。

 紫炎の残滓が尾を引くその後を追うように『八艘』と『無拍子』を駆使して飛び上がり、最速で全身を黒く焦がしたカメレオンキメラの上をいく。


「ハナガタミ流、奥義!」


 キメラを背に紫の足場を蹴り宙を反転。重力に従って落ち始めた巨躯を真上から見下ろす。

 

 ハナガタミ流には四つの奥義がある。

 その内、この技は奥義でありながらもハナガタミ流の基礎の集大成。基本歩法を完全会得した者が最初に学ぶ第一の奥義であり、シンプルでありながらも生半可な体得では以前の僕のように反動で体を壊す危険性を孕む技。


 だが『無拍子』『八艘』、そしてその先の『羽々斬』までモノにした今、これを繰り出すことに何の懸念も躊躇もない!


 目はないが、どこか憎々しげに僕を睨んでいる気がするカメレオンキメラ。

 しかし睨むだけじゃ僕には届かない。心を揺さぶることもできやしない。


「チ、リ(散り)───」


 黒く焦げた蔦が僕を絡め取ろうと伸ばされる。

 同時に、砂丘の向こうから眩しい光が差し込み、砂漠が、オアシスが、朝陽に照らされる。

 

 先の女王個体との戦闘では腐敗毒の霧によって強制的にキャンセルされた奥義が、日の目を浴びる時が来た。

 朝陽の中で悪夢の象徴だったキメラと対峙し、その名を叫ぶ。


「───ツバキ(椿)!」

 

 迫る蔦と刃、先に相手に到達したのは機先を制していた刃だった。

 

 頭花と胴体を繋ぐ首に刃を添わせ、伸びてくる蔦ごと断ち切るように振り下ろす。そうすれば切先から鎺(はばき)まで長い刀身が余す事なくキメラの体に沈んだ。

 抵抗という概念を置き去りにする必殺の一閃は、石のように硬いはずの核に刃をするりと通し、呆気なく両断する。


 椿の花は花弁を散らすことなく散る。さながら首を落とされた者を体現しているかのように。

 その潔くも残酷なその有り様を、この技は相手へと押し付ける。

 

 トッ、と。

 静かに柄を引けば、巨体を相手にしているとは思えないほど軽い音を立てて刀身がキメラの首を通り抜ける。

 一拍遅れて、花が枝を離れるような軽さを持ってキメラの頭が胴体から別たれた。


 斬るのではなく、断つという結果だけを残す───それがチリツバキが奥義たる所以であった。

 


 滑らかな断面を晒す核から濃い魔力が放出され、空中に霧散する。最後の力を振り絞るように粘液を撒き散らす口から蔦が伸ばされた。

 しかしそれが僕に届く寸前でカメレオンキメラの体は黒い塵となり、崩れるようにして散っていった。


「────」


 その散り様に複雑な感情を覚え口を開くも、上手く言葉にできずに結局唇を引き結ぶ。

 

 そんな僕の感傷を知ってか知らずか、耳につけた通信機が僅かに空気を揺らす音を漏らした。

 途端に集中の為に切り捨てていた音が戻って来る。大きく響く聖歌と、騎士や魔導士達が忙しなく動く音、ロシェ領主様が部下に指示を出す声。


 その中には、あの心を掻きむしるような憎しみのコールは無くて。

 僕がそれに気づくのと時を同じくして、どんな音よりも大きく響いた二つの声が通信機越しに沙汰を言い渡した。


 

『───見事。君の勇姿によってここに偽りは正された』

 

『思い出しなさい、正しき信仰を───聖祷顕現』

 

 

 高らかな宣言に呼応するのは、天を覆う魔法陣。

 聖職者達の祈りによって生み出された魔法陣からは戦闘中絶え間なく柔らかな光が降り注いでいたが、突如それが緩やかにではあるが動きを変え、何かを形造り始めた。

 

 それはたおやかな指先。あるいは滑らかな曲線を描く体。あるいは白紫の空を揺蕩う長い髪。そして大きく広がる純白の羽根。

 呆気に取られて見上げる中、上空に現れたのはあの歪な花の女王とはにても似つかない美しい女性だった。

 光で型取られたそれは明確な表情は映し出されていないにも関わらず、どこまでも慈愛に満ち溢れた存在であると本能で理解させられる。


 街丸ごと包み込むように大きな両手が広がる。女神の如し光の聖霊像は敬虔な祈りを込めた聖歌を従えて『赤の都市』に顕現し、悪夢に囚われた子らへと微笑み、


 


 そして───……

 

 

 

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