第七話
「うーむ……。」
殿様になってから一か月、俺は悩んでいた。
殿様業務には慣れたけど、これだけは考えないといけない。
「将の数、少なくね?」
そう、将軍の数が少なすぎるのだ。
まぁ、兵士の数は大丈夫だけど、こればかりはねぇ。
今までは、桜と風雅の二人だけでも大丈夫だった。
けど、これからのことを考えると、不安に思う。
「どうしたものかな~。」
「貴方、どうしましたか?」
俺が悩んでいると、妻(仮)の瑠莉奈が声をかけてくる。
何故(仮)なのかって? まだ籍を入れてないからだよ!
だって~、まだ難しいんだもん。
そんなことよりも、今は将軍の話だ。
「いや、将の数が少なすぎると思って。」
「そうですね、父が亡くなってからは、皆引退したものが多いので。」
瑠莉奈言うには、戦乱の時があったらしい。
父は、沢山の将を率いていたようで、とても強かったらしい。
しかし、戦乱が終わり、父もなくなったことで引退したり、別の国に行ったりしたそうだ。
皆が引退して、名乗りあがったのが桜と風雅だけだったらしい。
「ということなのです。」
「成程ね~。」
そうなると、余計に不安になるな。
流ノ介と水無月は、忍であり、将軍じゃないからな~。
「さて、どうしたものか……。」
「では、募るのはどうでしょう?」
「募る?」
「はい、城下町で立札を立てて、希望者を募るのです。」
「ふむふむ。」
「そして、希望者を戦わせて、残った数人を将軍にするのはどうでしょう?」
「成程、それで行こう!」
こうして、将軍集めよう! 作戦が始まったのだった。
作戦名がださすぎる? これ、考えたのは瑠莉奈だからね?
そして、次の日
俺は、桜を護衛に城下町に訪れていた。
「しかし、我らに言ってもらえればよかったものを。」
「いや~、二人に言うといなくなりそうでさ。」
「ぐぬぅ……。」
二人に任せると、本当にいなくなりそうで怖い。
桜は「こんなことで、殿を守れると思っているのか!?」って言いそうだし。
風雅は「おらおら! もっと来いよ!」って言って、吹き飛ばしそうだし。
瑠莉奈に相談して正解だったかも。
「うわ、結構いるなぁ。」
「ですね、結構な猛者が集まっています。」
城下町に立てた、立札の前には沢山の人で賑わっていた。
男の人から、女の人まで、沢山いる。
「明日には、これだけの人が来るのか……。」
「しかし、立札にはなんて書いてあるんでしょうか?」
桜の言葉に同意した俺は、一緒に確認することにした。
そこには――
『集え! 猛者たちよ! 勝ち残ったものには、賞金と将軍になれる権利を授けよう!』
と書いていた。
「……これ書いたのって?」
「……姫ですね。」
あいつ、何書いちゃってんの!?
賞金!? 賞金なんて、どっから出すの!?
「姫、なんて……。」
ほら! 桜も怒って――
「なんて、優しい心を持っているのでしょう!」
怒ってねぇ!? 逆に尊敬してるんだけど!?
「大丈夫なのか、これ……?」
次の日
「殿! 希望者たちが、訓練所に集っています!」
桜の言葉に、この日が来たか、と感じでいた。
さてさて、どんなものが来てるのやら。
俺は、支度をして訓練所に向かっていった。
訓練所
そこには沢山の人が集まっていた。
数でみると、約三十人くらいだろう。
「皆の者! 殿にお言葉いただく!」
おーい、そんなこと聞いてないけど!?
仕方ない、こうなったらやけだ!
「殿の『如月誠』だ、今日は皆の実力を見せてくれ!」
そう言うと、希望者たちは『おぉー!』と声を上げた。
良かった、スベったらどうしようかと思ったよ。
抽選箱に、名前を入れてもらって、くじ引きで決めるようだ
「東! 『ダーメン』! 西! 『数間』!
名前を呼ばれた二人は、勝負場へと出る
「それでは、第一試合! 両者、前へ!」
桜の言葉に、二人の男性が前に出る。
東は、筋骨隆々な男が、西は見るからに農民だろうか、ひょろっとしている。
「こりゃ、すぐに決着がつくな。」
風雅の言葉に、流ノ介と水無月は頷く。
そうだろうか? 数間って男は確かにひょろっとしているし、武器は鍬だ。
でも、構えが決まっている。
「始め!」
開始とともに、ダーメンが大きな斧を振り下ろす
しかし、数間はひらりとかわす。
「へぇ、やるっすね。」
流ノ介の言葉に、水無月も頷く。
風雅は、予想外だったのか目を見開いている。
「この野郎!」
ダーメンは斧を振り回すが、数間は冷静に避けている。
すごいな、農民とはいえ、場数になれているようだ。
「次は、こっちから行くべ!」
次は数間が仕掛ける。
ダーメンは余裕そうに防御する。
ガギィィィィィィン!!!
鍬からとは思えぬ音が響いた。
周りから、ざわざわと声が広がる。
「まじか……!」
風雅はワクワクしている。
久々の強者に嬉しそうにしている。
勝負は、数間が押している。
「この、俺様がぁ!」
自棄になったのか、ダーメンは斧を大きく振りかざす。
数間は冷静に構えをとる。
「必殺! 『大地返し』だべ!」
鍬を振り上げ、斧をはじき、鍬の後ろでダーメンの頭を殴る。
ダーメンは白目を向いて倒れた。
「勝負あり! 勝者、数間!」
勝負は予想外な結果に終わった。
風雅は「見る目がねぇな~。」と頭を掻いていた。
周りからの拍手に、数間は恥ずかしそうに頬を掻く。
試合はまだまだ続く。




