第二十九話
あの戦いから数日が経った。
フリーレスを開放したんだけど、街の人たちは戻ることはしなくて、ヒビキの国に残ることにしたらしい。
ガーネストも、骨を埋めるならここがいいと言ってくれた。
そして俺は、久々にステータスを開くことにした。
名前:如月誠
力:400
防御:250
知力:200
速力:450
スキル『見切り』
『一刀居合術』
『一刀抜刀術』
『二刀居合術』
『二刀抜刀術』
『属性纏い』
『金剛の輝き』
ジョブ:殿様大将軍
何か、前よりも数値が倍になっていた。
多分だけど、あの戦いで数値が上がったんだろう。
それにしても、この『金剛の輝き』って何だろう?
「あなたー? 何処ですかー?」
瑠莉奈の声が聞こえる。
どうやら、俺を探しているらしい。
「瑠莉奈―、ここー。」
「あら、こちらにいらしたのですね。」
俺の隣に、瑠莉奈が座ってくる。
「これは、すてーたすというものですね?」
「そう、何かすごいことになってるんだよね。」
ステータス画面を珍しそうに見る。
こっちでは、そういうのを見ないのかな?
「そうだ、今日は式の日ですよ!!」
「あー、そういえばそうだったね。」
そう、今日は結婚式を挙げる日だ。
あの戦いの後、無事に帰ってきたとき、みんな喜んでくれたんだよね。
瑠莉奈との約束で、式を挙げることになったんだ。
「じゃあ、準備しようか。」
「はい!!」
俺達は腕を組みながら、部屋を出ていった。
結婚式の衣装に着替え、俺達は城を出る。
そこには、お祝いをしてくれている街の人たちがいた。
「殿!! 姫様!! 結婚おめでとうございます!!」
「おめでとー!!」
「お姫様きれーい!!」
「お殿様かっこいいぞー!!」
拍手の中を歩きながら、祝福の言葉を貰う。
嬉しいけど、まだまだ緊張するな~。
民に見守られながら、町を一周し、城へと戻って行った。
中に入ると、桜たち将たちが出迎えてくれた。
「殿!! 姫!! ご結婚おめでとうございます!!」
「「「「「「おめでとうございます!!」」」」」」
「皆ありがとう、今日は無礼講で行こうか。」
「そうですね、でも、はしゃぎすぎない様に。」
瑠莉奈に指摘され、風雅はうっ、と唸る。
それに笑いながら、食事を楽しんだり、お酒を飲んだりし、楽しい日が過ぎて行った。
そして夜になり、俺達は布団に入っていた。
「今日は楽しかったな。」
「そうですね。」
瑠莉奈はフフッと嬉しそうに笑う。
「私も、皆の役に立てるようになりたいです。」
「まぁ、ちょっとずつやって行こう?」
「はい!!」
そうして、俺達はゆっくり眠ったのだった。
一方で、アリネスのギルドでは、クラスメイト達が傷を癒していた。
しかし、ダメージが高いため、治りが遅い。
「く~、いてぇよ~……。」
「やっぱり、無謀だったんだ……。」
「もう、最悪……。」
そんなクラスメイト達に、日南はため息をついていた。
その時、一人が誠のことを話す。
「あいつ、殿って言われてたよな……?」
「何? 今のあいつってえらい存在なの?」
そんなことを言ってると、悪田がベッドを叩く。
「うるせぇ!! あんな陰キャのことを話すんじゃねぇ!!」
「だ、だけどよ……。」
「黙れ黙れ!! 今に見てろ……!!」
懲りない悪田に、部屋をのぞいていたレイアスがため息をつき、扉を閉めた。
「どうだ? 奴らの状態は?」
「反省の色なし、回復も時間かかる。」
レイアスの言葉に、ギルドマスターは頭を抱える。
「俺達も国を出るべきか?」
「いざとなったらでいいと思う。」
アリネスの崩壊は、一歩ずつ近づいていった。
しかし、ダーメル王はそんなことには気づいていなかった。
次の日、俺は寝ている瑠莉奈を起こさないように、布団を出る。
訓練所に向かうと、ガーネストとベルセルドが、手合わせをしていた。
「流石はベルセルド殿、見事な手前で。」
「ガーネストさんも、見事ですよ。」
ガーネストが剣を振るうと、ベルセルドは盾で防ぎ、反撃をする。
それをバックステップで、ガーネストは回避する。
「おはよう、二人とも。」
「おはようございます、殿。」
「おはようございます。」
二人は打ち合いを止め、俺に挨拶をする。
「二人は訓練?」
「えぇ、何があってもいいようにと。」
「自分もですね、民を守るために。」
二人の信念に、俺は感動する。
すると、一人の兵士が慌てて、訓練所に入ってくる。
「殿!! 港に海賊がいます!!」
「か、海賊!?」
兵士の言葉に俺は驚く。
とりあえず、港に行こう。
俺はガーネストとベルセルドを連れていく。
外に出ると、子分を連れた海賊の男が立っていた。
「あんたが、この国の殿様か?」
「そうだけど……。」
そう答えると、大将らしき男が土下座をする。
「頼む!! 俺達をこの国に置いてくれ!!」
「……はい!?」
海賊の男『バースダ』が言うには、自分たちは正義の海賊をやっていたらしい。
海のならず者を倒しては、金品を国の人に分けていた。
しかし、アリネス出身なので王に金品を奪われていたという。
それに我慢できず、バースダは子分を連れて国を出たということらしい。
「アリネスが嫌われているのは知っている、だけど、いい奴もいるんだ!! だから頼む!!」
バースダと子分たちは土下座をし、国に置いてくれと志願する。
俺の答えは決まっていた。
「いいぜ、受け入れよう。」
「本当か!?」
「ただし、条件がある。
俺の言葉に、バースダは息を吞む。
「国のために戦い、生きて帰ること!!」
「そ、それだけか?」
「この国に入ったからには、殿様である俺が決めるからな!!」
ビシッと指をバースダに差す。
呆けているバースダに対し、ガーネストとベルセルドがクスクスと笑う。
「殿はこういうお方だ、誰も犠牲にはしない。」
「……解ったぜ!! 海のことなら任せてくれ!!」
こうして、バースダ率いる海賊たちが仲間になった。




