第二十二話
俺と水無月が城へと戻ると、瑠莉奈が出迎えてくれた。
「お帰りなさい、二人とも。」
「うん、ただいま。」
「戻った。」
広間に入ると、皆が集まっていた。
俺達は、洞窟で起こったことを話した。
「なんと、殿でも倒せない相手がいるとは……。」
「お前、殿を何だと思ってるんだよ。」
「しかし、そのドラゴンとやらは手ごわそうですね。」
冬樹の言葉に、俺は頷く。
これまでは、何とか倒せた敵だったが、今回は厳しそうだ……。
「ドラゴンは洞窟から出てくる気配はなかった。」
「そうだね、いったん放置でいいんじゃないかな?」
俺の決定に、誰もが頷いていた。
「しかし、こうなると、問題は戦力ですね。」
「んだな、兵も300しかいないのはきついべ。」
確かに、将の数は大丈夫でも、兵の数が少ないのは問題がある。
ヒビキの国には、引退したものが多いという。
無理やり戻すのはお門違いだ。
「エルバストから、兵を借りるのは?」
「いや、そうしたら、向こうが不利になっちゃう。」
瑠莉奈の言葉に、俺は首を振る。
エルバストが侵略されたら、同盟の意味がなくなってしまう。
どうしたものかと考えていると、一人の兵士が入ってくる。
「殿、門に冒険者たちがいます。」
「冒険者が?」
「はい、どうやら、殿に話があるのだとか。」
「わかった、ここに通して。」
兵士は、承知しましたと頷くと、冒険者のところへと戻っていく。
そして、冒険者たちを広間へと通した。
「この度は、我らの話を聞いてもらい、感謝します。」
冒険者のリーダー『ガーネスト』さんは、『フル―レス』という国から来たそうだ。
しかし、何でフル―レスからヒビキに?
「ガーネストさん「さんは結構です」……ガーネストは何でヒビキに?」
「我らが故郷、フル―レスは最悪な状況になったのです。」
ガーネストがいうには、フル―レスは豊かな国であったそうな。
しかし、魔族が攻めてきたことで、国は変わってしまったという。
王女は魔族の魅力にはまり、国を譲ってしまい、魔族の国にしてしまったらしい。
王女は一見、優しそうに見えるが、民からすべてを奪う。
言うことを聞かなければ、恐怖で知らしめるという、恐ろしさを持っている。
「このようなことがあり、民も国から追い出されてしまったのです。」
「それは最悪だな……。」
「お願いです! どうか我らを、民だけでも、この国に入れてはもらえませんか!?」
ガーネスト達は、俺達に土下座をしてお願いをする。
俺は瑠莉奈と皆の顔を見る。
皆、同じ考えらしく、頷いでいた。
「大丈夫、皆を受け入れるよ。」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
「民はどこにいるの?」
「すぐそばまでいます、呼んできましょう!」
ガーネストは広間から出て、門の外まで出ていった。
心配だから、桜と冬樹に一緒に行ってもらった。
「さて、これから大変になるぞー!」
家のことや、この国の発展に忙しくなりそうだ。
そう考えていると、城下町が賑やかになっていた。
町の人たちが、フル―レスの民たちを受け入れているようだ。
泣いている人を慰めたり、励ましたりと、見ていて大丈夫そうだ。
こうして、ヒビキの国は益々発展していくのであった。
一方のアリネスでは――
「何!? フル―レスが魔族に下っただと!?」
「はい、王女も受け入れているということです!」
「ふん! 愚かな国よ! 放っておけ!」
悪田たちが重傷を負っていることは、この王は知るはずもなかった。
「癒しの光よ……。」
私は聖女の力を高めるために、修行をしていた。
そばには、レイアスさんが付いてるので安心していた。
今は、レイアスさんの傷を治療をしていた。
光を当てると、その傷は段々と消えていっていった。
「ふぅ……。」
「大分、形にはなってきた。」
「本当ですか!?」
レイアスさんに褒められ、私は嬉しくなってしまう。
こんな感じで、傷を負った人たちの治療を行っている。
聖女の力は癒しの力だという。
極めれば、回復量は増え、一度に治療できる人数もう増えるという。
「レイアス、いるか?」
「マスター、どうしたの?」
バルクスさんが、レイアスさんを訪ねてきた。
「あの場が共が、訓練を抜け出したらしい。」
「……また?」
レイアスさんから助けられ、私たちは訓練をするように言われていたのだ。
しかし、悪田君たちは面倒なのか、度々抜け出しているという。
何も学んでないんだなと、一人で考えいた。
「マスター! あいつらが重傷で帰ってきた!」
「何だと!?」
一人の冒険者が、ギルドに慌てて入ってきて、報告をする。
私もその報告を聞いて、血の気が引いていた。
「悪い理恵子、一緒に来てくれ。」
「は、はい!」
「他の奴らは、ヒーラーを呼んできてくれ!」
バルクスさんに連れられ、医療室へと入って行く。
そこには、重傷でベッドに寝ている悪田たちがいた。
その光景に、思わず絶句してしまう。
「お前ら、今度は何をしでかした!?」
「ど、ドラゴン……。」
バルクスさんの言葉に、一人がそう呟く。
ヒーラーたちはため息をつきながらも、回復をしていく。
「訓練もなしに、ドラゴンに挑むことがあるか……!!」
その言葉に、そこにいた冒険者たちも黙ってしまう。
クラスメイトは、自分たちの状況にやっと気が付いたようだ。
しかし、一人だけわかってない人がいた。
「うるせぇ! 俺は勇者なんだ! あれはまぐれだ!」
そう、悪田君だ。
こんな状況でも、自分が勇者だからと言っていた。
「もういい、さっさと治療を頼む。」
バルクスさんは、私に託し部屋へと戻って行った。
レイアスさんは、悪田君を睨みつけながら、部屋から出ていった。
私は、悪田君を治療する、すると、クラスメイトの一人が呟いた。
「そういうば、如月の奴、殿とか言われてたな……。」
「あいつ、もしかして、えらい存在なの?」
如月君の話を聞いた私は、ホッとしていた。
もしも、会えたら謝ろう、そう考えながら治療を続けた。




