第二十一話
「洞窟に、龍が?」
「はい、その報告が上がっています。」
瑠莉奈の報告に、俺は頭を抱える。
流石に俺も、龍退治は初めてだからfだ。
ゴーレムやヴァンパイアを倒したとはいえ、さすがに無理があるだろう……。
「どうしますか、あなた?」
「うーん、どうしようかな……。」
俺と瑠莉奈は考え込む。
相手は龍、大人数で挑んでも危ないだろう。
「とりあえず、水無月と一緒に見てくるよ。」
「わかりました、危なくなったら、逃げてくださいね?」
「勿論。」
こうして俺は、水無月と共に洞窟へと向かっていった。
「殿、大丈夫?」
「な、なんとか……。」
洞窟までの道のりは長かった。
森を抜けないといけないのだが、そこが長い。
モンスターもたくさんいるから、倒さないといけないし。
「とりあえず、此処で休憩。」
「わ、わかった……。」
俺達はここで休憩をとる。
水無月はまだまだ余裕そうだ。
「水無月は龍は見たことある?」
「無い、噂では聞いたことはある。」
「噂?」
水無月の話によると、龍は冒険者の間では有名らしい。
宝を隠し持っているとか、ものすごく高く売れるだとかでらしい。
「そういう噂が流れてる。」
「そうか。」
休憩もそこそこに、洞窟へと歩きだす。
洞窟に着くと、俺達は武器を抜いて準備する。
「準備はいいか?」
「うん。」
俺達は洞窟へと入って行く。
仲は暗く、明かりもなかった。
松明を使い、周りを明るくする。
「足とも悪いから、気を付けて。」
「了解。」
「あと、後ろからつけてる人がいる。」
水無月の言葉に、俺は後ろを向く。
そこは暗く、誰がいるのかはわからなかった。
「どうする?」
「先に進もう、着いてから考える。」
「わかった。」
誰なのかわからないが、とりあえず進むことに。
モンスターも出てくるが、雑魚なので簡単に倒していく。
「弱い、奥にいるのかも。」
「そうだな、ちょっと暑くなってきたかも。」
奥に進むにつれて、少しづつ暑くなってきた。
そこに、龍がいるのだろう。
警戒しながらも、俺達は奥へと進む。
後ろにいる人たちを気にしながら。
奥に進むと、広いとことに出た。
そこには、寝ている龍、よく見るとドラゴンがいた。
「あれって、ドラゴンじゃん……!」
「どらごん? 龍じゃないの?」
「龍と言えば龍だけど、別物かな。」
ヒビキの国にはドラゴンは伝わっていなかったらしい。
帰ったら、訂正しておかないと……。
眠りから覚めたのか、ドラゴンがゆっくりと顔を上げる。
「グルォォォォォォォォォ!!!!」
ドラゴンの咆哮に、俺達は耳を塞ぐ。
流石はドラゴン、色々と大きすぎる。
「どうする、殿?」
「とりあえず、様子見しながら攻撃で!」
「了解。」
水無月は苦無を、風魔手裏剣に変形させ投げつける。
手裏剣は、当たりはしたが掠った程度にしか与えられなかった。
「硬い。」
「なら、俺が行く!」
俺はドラゴンに向かって走り出す。
それに気づいたドラゴンは、火炎放射を放つ。
「スキル『見切り』!!」
俺は見切りで、火炎放射を回避する。
「二刀抜刀術!!『月下天明』!!」
ドラゴンに向かって、月下天明を放つ。
これも、掠る程度にしか与えられなかった。
「くそ、硬すぎる……!!」
「どうしようか。」
このドラゴンは、鱗が硬すぎる。
ドラゴン自体も、どこか余裕そうに見える。
「どきな!! 陰キャ!!」
「この声、まさか……。」
後ろから、聞き覚えの声がした。
嫌な予感がする……。
「そうだよ! この悪田様が倒してやるよ!!」
そこには、悪田率いるクラスメイトがいた。
俺にとっては、最悪な再開だ。
「殿、こいつらって。」
「あぁ、俺を追い出した奴らだよ……。」
クラスメイト達はニヤニヤしながらこちらを見ている。
どうやら、後ろからついてきたのは、こいつらのようだ。
「おいおい、あの陰キャ生きてたってよ。」
「まじ~? 死んでるのかと思った!!」
心無い言葉に、水無月は手裏剣を構えるが、俺はそれを止める。
今はドラゴンをどうにかしなければならない。
「日南さんはどうした?」
「あいつなら、聖女の修行で来ないってよ。」
普通はそれが賢明だ、見るからに悪田たちは修行をしていない。
これでは、ゴブリンさえ倒せないだろう。
なのに、ドラゴンから行くって……。
「おらぁぁぁぁぁ!!!」
「おい! やめろ!」
俺の制止も聞かず、悪田はドラゴンへと突っ込んでいく。
それに続き、クラスメイト達も入って行く。
「グル。」
ドラゴンは馬鹿にしたように笑うと、尻尾で薙ぎ払う。
悪田たちはそれを避けられず、吹き飛んでいった。
「痛い! 痛いよぉ!」
「腕が! 腕が折れた!!」
どうやら、大けがをしてしまったらしい。
中には、重傷を負った者が多い。
「水無月! 煙幕!」
「了解!」
俺の指示に、水無月は煙幕を張る。
流石のドラゴンも、煙幕は効いたようだ。
「撤退、お前らも逃げろよ。」
俺は、クラスメイトに治療道具を置いて、出口へと入って行った。
外道かもしれないが、俺はあいつらと縁は切ってあるから。
「大丈夫? 殿。」
「俺は大丈夫、だけど……。」
俺は洞窟の入り口を、チラッと見る。
「……酷いことしたなぁ。」
「殿は悪くない、悪いのはあいつら。」
「……そう言ってくれると、ありがたい。
初めてのドラゴン退治は、最悪の再会となり、撤退となった。




