第十五話
聖剣を手に入れた俺達は、ヴァンパイアのいる城へと足を踏み入れた。
見るからに、ヴァンパイアがいそうな城だな。
「道は覚えているので、任せてください。」
アルテイルが先陣切って、城へと突入する。
場内に入ると、所々に髑髏が落ちていた。
挑みに行った冒険者たちの、なれの果てだろう。
「何人もの冒険者が、討伐に来たみたいですね。」
桜の言葉に、俺は固唾を飲む。
ここで、死ぬわけにはいかなくなったな……。
「そうだ、ちょっと、寄り道していい?」
「寄り道ですか?」
突然の寄り道発言に、マーティアは首をかしげる。
「多分、ヴァンパイア攻略のキーがあるかも……。」
俺は本の書いてある通りの道を進む。
目的地にたどり着くと、そこには、沢山の髑髏が詰まれていた
「えーっと、確かここら辺に……。」
髑髏をかき分けると、不気味に光る宝玉があった。
紫色に光っており、毒々しく感じる。
「これが、キーですか……?」
「うん、これがあれば……。」
こうして、俺達は準備を整え、ヴァンパイアのいる場所へと歩きだす。
そして、広間に出ると、そこにはヴァンパイアが玉座に座っていた。
とてつもない、邪悪なオーラを感じる。
「ようこそ、愚かなる冒険者たちよ。」
ヴァンパイアが、軽く挑発をする。
俺達は武器を抜き、戦闘態勢をとる。
「さて、まずは、我がしもべがご相手しよう。」
ヴァンパイアが腕を振るうと、地面からモンスターが現れる。
ゴブリンをはじめ、ブレイブウルフ、キラーコウモリなどが襲い掛かってくる。
「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
桜が先陣切って、モンスターを薙ぎ払う。
流ノ介も、後ろから苦無を投げ支援する。
俺も何とか、二刀流で立ち向かう。
アルテイルは、マーティアを守りながら戦っている。
「ほぉ、やるではないか。」
ヴァンパイアは玉座から降り、俺の目の前に現れる。
「!?」
「失せよ。」
ヴァンパイアからの攻撃を、刀で防ぐが、吹き飛ばされてしまう。
「殿!」
「誠殿!」
痛い、背中が特に痛む。
そうだ、ここはファンタジーの世界じゃないんだ。
死んだら終わる、戦いの世界。
「ほう、まだやるか?」
「当たり前だ……!」
俺は日光を鞘に仕舞い、一刀流の構えをとる。
「一刀抜刀術!『月牙』!」
月光を振り下ろし、大きめの斬撃波を放つ。
ヴァンパイアは避けることせず、月牙を受け止める。
「グフッ……! 少しはやるようだな!」
多少ダメージは通ってる、しかし、余裕の笑みを浮かべている。
「これならどうだ! 『シャイニング・スラッシュ』!」
「『ライトニング・ボム』!」
アルテイルが剣に光を纏わせ斬りつけ、マーティアが光の爆破魔法を放つ。
流石に光属性に弱いのか、大ダメージを喰らっていた。
「ククククク、ハハハハハハハ!!!」
ボロボロになりながらも、ヴァンパイアは立ち上がり、気高く笑う。
「いい攻撃だ、しかし、私にはきk「効かないとでも言うつもりだろ?」!?」
ヴァンパイアは、俺が手に持っている宝玉を見る。
そして、焦り始める。
「き、貴様!? 何処でそれを!?」
「なぁに、ちょっとした寄り道でな。」
俺は、その宝玉をたたき割ろうとすると、ヴァンパイアは慌て始める。
「ま、待て! 貴様には特別な待遇をやろう!」
「待遇だぁ?」
「そうだ! 私に尽くせば、欲しいものを何でもやろう!」
ヴァンパイアの言葉に、俺はふーんという。
狙い通りなのか、ヴァンパイアはにやりと笑う。
「さぁ! 私と共に!」
「別に要らね。」
俺はそういうと、宝玉を地面にたたきつける。
宝玉は割れ、紫色の靄を出す。
「グワァァァァァア!!!」
ヴァンパイアは悲鳴を上げ、体が溶け始めている。
「誠殿、これは……!?」
「これ、あいつの心臓部分だったらしいよ?」
さて、止めと行こうか!
俺は日光を抜き、二刀流の構えをする。
アルテイルも、聖剣を抜く。
「それは聖剣!? やめろ! やめろぉぉぉぉぉ!!!」
「二刀抜刀術!『絶牙』!」
「聖剣一閃!」
俺が放った絶牙とアルテイルの聖剣一閃が、ヴァンパイアを斬り伏せる。
ヴァンパイアは、断末魔を上げながら消えていった。
「勝った……のか?」
「みたいだな……。」
はぁー、と俺はその場に倒れこむ。
ガチなボス戦なんて、初めてだったからね。
「殿! ご無事ですか!?」
「うん、二人も、雑魚の相手ありがとー。」
桜は、褒められてた! と喜んでいる、尻尾が見えるのは気のせいだろうか。
流ノ介はやれやれと、首を振っている。
「これで、ヴァンパイアは復活しないでしょう。」
マーティアに言葉に、俺達はホッとする。
こうして、エルバストを悩ませていた、ヴァンパイア討伐は終わった。
「皆の者、よくぞ、ヴァンパイアを討ち取ってくれた!」
お城に帰ると、ブレイアルさんが出迎えてくれた。
街にも、ヴァンパイアの討伐報告で溢れかえっていた。
「誠殿、本当に感謝する! ありがとう!」
「いやいや、俺は特に何も……。」
「そんなことはない、誠殿がいなければ、どれだけの苦労が報われたか。」
その言葉に、俺は嬉しく思う。
桜と流ノ介も、どこか誇らしげだ。
「では、約束通り、エルバストはヒビキと同盟を結ぶ。」
よろしく頼むと手を差し出される、俺もこちらこそ、と握手を交わす。
エルバストとの同盟は結ばれた。




