第十一話
誠達がエルバストへと向かう準備をしているころ、アリネスでは――
「うははははは!! よいのう!!」
アリネスの王、ダメスは酒を浴びるように飲んでいた。
周りも、同意しながら飲んでいる。
「今頃は、あのバカ侍もあの世に行っているだろうよ!!」
「ええ! その通りですな!」
「まさしくですなぁ!!」
この城には、一部を除いてクズしかいないらしい。
誠を追い出し、勇者と聖女の誕生を祝っているという。
「ダメス様、どうやら、ヒビキはエルバストと同盟を組むようですぞ?」
「同盟を~? ふん! そんなくだらんことは口にするな! 酒がまずくなる!」
「それは申し訳ありませぬ。」
ワハハハハハハ!!! と城中は笑い声で溢れていた。
いずれ、崩壊が来ることも知らずに。
その頃のギルドでは――
「ですから、貴方たちは成り立てなのです。」
「んなこと知るかよ! とっとと受理しろよ!」
ギルド内で、騒ぎが起きていた。
悪田君が、何やら受付嬢ともめているようだ。
「ダメです、いきなりドラゴン討伐は受理できません。」
「んだと!? 俺様は勇者だぞ!?」
「やめてよ、悪田君……。」
私はやめるように言うが、悪田君は一向に聞く気配がない。
クラスメイトも、早くしろと囃し立てている。
「ドラゴン討伐は、Sランク冒険者ではないと受理できません。」
「あのなぁ、俺様たちは国王から言われて、来てるんだぞ?」
「関係ありません、まずは薬草摘みからです。」
受付嬢は、まずは基本からと言っている。
私もそう思うけど、悪田君は一向に引かない。
「てめぇら、何を騒いでいる。」
そこに、先ほどのギルドマスターのバルクスさんが下りてくる。
先ほどに比べて、機嫌が悪いようだ。
「おいお前! こいつにクエストを受理するように言えよ!」
「……何のクエストだ?」
「マスター、この人がドラゴン討伐をさせろと……。」
受付嬢の言葉に、バルクスさんは、はぁ~、とhため息をつく。
周りの冒険者も、呆れたような目で見てくる。
「勇者だか何だか知らんが、基本を学べ基本を。」
「だーかーら! 俺様にはチートg「そんなものはない!」!?」
「チートがあれば、どんだけの冒険者が命を落とさずに済んだか……!」
バルクスさんは、とても悲しそうな顔をしていた。
その言葉はとても重く圧し掛かった。
「死にたくなかった、基本を学べ、そして、己を鍛えろ。」
いいな? と言い、バルクスさんは部屋へと戻って行った。
これで悪田君も、落ち着くだろう――
「何なんなよ、たくっ……。」
まだ、悪態をついていた。
バルクスさんの、言葉の重さを感じていないのだろう。
クラスメイトも、あくびをしていたりと、危機感を感じてなかった。
「まずは、マスターの言う通り、基本を学んでいただきます。」
いいですね? その言葉はきつく感じた。
悪田君も、諦めたように、へーへーと頷く。
大丈夫かな……。
そして、私たちは、森の中へと進んでいる。
「たくよぉ、んなことしねぇでも、俺様なら余裕なのに……。」
悪田君は、グチグチ言いながらも薬草を集めている。
クラスメイトも、ブツブツ言いながら摘んでいる。
「皆、これはゲームじゃないんだよ? 危機感を持たなきゃ……。」
「大丈夫だって、日南さん! 俺様ならどんな敵でも余裕だって!」」
私の忠告も空しく、皆、森の奥へと進んでいく。
進んでいくと、そこにはゴブリンが数体いた。
「皆、此処は引き返s――」
「おい! ゴブリン共! 俺様たちが相手だ!」
私が引き返そうと、言おうとすると、悪田君がゴブリンを挑発する。
ゴブリンは、悪田君の挑発に気づいて、襲い掛かってくる。
皆は武器を構えているが、怯えている。
「おらー! 喰らえー!」
悪田君が、ゴブリン目掛けて剣を振り下ろす。
しかし、簡単に避けられ、カウンターを喰らう。
「ぶべっ!?」
カウンターを喰らった悪田君は、いとも簡単に吹き飛ぶ。
それを見た皆の士気が、どんどん下がっていく。
「おいおいおいおい……。」
「やめて、来ないで!」
私たちが、お終いだと目を閉じた。
あぁ、誠君に謝りたかったなぁ……。
「斬る……!」
ザシュ!
「ゴブ!?」
ゴブリンの悲鳴と、斬られる音をに気づいた私は目を開ける。
そこには、一人の女性が立っていた。
「離れて、そこにいるやつを引き連れて……。」
女性は、襲い掛かってくるゴブリンを、いとも簡単に斬り捨てる。
私たち、助かったの……?
戦闘が終わるのを確認すると、私は声をかける。
「あ、あの、ありがとうございました!」
私が、頭を下げてお礼を言う。
しかし、女性は残念そうな目で見てくる。
「勘違いしないで、私が来たのはマスターに言われたから。」
「バルクスさんに……?」
「貴方はともかく、他の奴らは言うことを聞かないだろうって。」
その言葉に、私たちは顔を下に向ける。
そうだ、勝手なことをしなければこんなことには……。
「貴方はいい判断をした、ゴブリンはDランククラスのモンスターだから。」
女性は、私の頭をポンと撫でる。
「ついて来て、死にたくなかったら。」
女性の言葉に、私は頷くと皆を引き連れて歩き出す。
「あ、あの! お名前は?」
「……『レイアス』」
レイアスさんは、そういうとさっさと歩きだす。
私たちは、はぐれない様についていく。
早く、誠君に会いたいな……。




