第1章 第3話 『暗黙の秘密②』
帝国が誇る剣聖の家系、アルベール家。その屋敷の倉庫に彼はいた。
その青年の名はリアム・アルベール。アルベール家の長男である。
倉庫にはいつも厳重な見張りがついているが、リアムは顔パスで入ることができる。
何せ当主の息子だからだ。この時だけリアムはこの家に生まれたことに感謝した。
ー「ライトニング」ー
薄暗い倉庫に小さな光が生まれる。リアムの魔法だ。
(確か、俺が初めて覚えた魔法はライトニングだったけ…)
リアムの脳裏に一人の女性が映る。
ベッドに座り、優しい表情をしているその女性は今は亡き母の姿だった。
リアムの母にも少しだけだが魔法の才能があった。
ライトニングはその母が教えてくれた魔法なのだ。
そんなことを思い出しながらリアムは倉庫の奥に進み始めた。
あれから何時間経っただろう。自分で言うのもなんだが、さすがは大貴族の倉庫。本一つ探すのにもかなりの時間がかかる。
「これも、これも、これも違うな…」
古びた本を出すたび、倉庫内に埃が舞う。
中にはもう読めないようなボロボロの本が出てきたりする。
リアムは埃まみれになりながら探し続けていた。
「違う。これも、これも、…あった!ーーん?」
その本を取ろうとしたとこで、隣の本が気になった。
見かけはこの手帳とそっくりだが、題名に興味をそそられたのだ。
「神聖暦463年ー日記ールイ」
それはあの剣聖の日記だった。
リアムは興味をそそられ、その本を手に取り、ゆっくりと開いた。
文字が古く、読めない箇所も多々あったが、それでも読み進めた。
その日記にはよく一人の女性が登場した。その名は…
「リアナ・アルベール…」
もう一人の初代剣聖、リアナ・アルベール。
彼女に関しては未だ謎が多い。
剣聖であるにも関わらず、ほとんど戦歴が無いのだ。
それに彼女が所有していたと言われている純白の軍刀も未だ見つかっていない。
そのせいか、帝国中の発掘者や研究者は未だその謎に熱を持っている。
リアムはどんどんページをめくっていく。
だが、次のページに書かれていた一言にリアムは本を落としそうになった。
ー「彼女の魔法は美しい」ー
「え…?」
最初、リアムは理解できなかった。
さっきまで剣聖リアナの話が続いていたのに急に『魔法』と言う言葉が出てきたからだ。だが、知ってしまった。理解してしまった。その言葉の意味を…
「リアナ様は…魔法を使っていたのか…?」
それは剣聖の一族が繁栄の為に隠蔽した真実。
そして今、リアムはそんな真実を知ってしまったのだ。ページをめくる指が震える。
だが、それからもリアムはページをめくり続けた。
すると、リアナ・アルベールの魔法はたびたび登場した。
そして、リアムの心に一つの考えが浮かんだのだ。
ー〈自分も魔法を使えばリアナ様みたいになれるんじゃ…〉ー
そして、リアムはその本を手に倉庫を出た。
この真実を父に伝えるために。それが自分の身を滅ぼすとも知らず…




