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剣才無き魔術師   作者: ZIKIRU
第1章 追放・入学試験編
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第1章 第2話 『暗黙の秘密①』


初代剣聖の誕生から300年の月日が経った現在、神聖暦784年、それまで高価な物として知られていた『魔道具』は文明の進歩により、一般市民でも気軽に買えるものが多くなっていた。ボタンを押せば火が付き、ハンドルを回せば水が出るなど、様々な魔道具がこの日常には溢れていた。

しかしその一方で、魔道具が普及していくにつれある問題が浮き彫りになった。

それが“魔術師の需要性”だ。

大抵の魔法が魔道具によって行使できるようになり、わざわざ金を払ってまで魔術師を雇う必要が無くなったのだ。そのせいで魔術師の価値も時代と共に薄れていったのだった。



そんな中、栄華を貫いたのが剣聖の一族であるアルベール家だった。

アルベール家は王家の分家にあたり、帝国内でも絶大な権力を持つ一族だ。

初代剣聖の二人は帝国では誰もが知る存在で『神殺しの剣聖』と呼ばれている。

その圧倒的な支持と魔術師の衰退により、帝国では剣こそが実力の証明となった。



そして、約60年前にできたのがアルベール剣士養成学校だ。

そこは名前の通りアルベール家が創立した学校であり、元々は霧の森と呼ばれていた未開拓の地に建てられた。

評判も良く、毎年多くの優秀な剣士達を輩出している。

中にはその腕を見込まれ帝国中の貴族やはたまた王族からもスカウトが来たりする。

まさに一発逆転を狙える場所なのだ。

そして、そこの校長は代々剣聖が担っている。

そうつまり現校長は父であるロイ・アルベールなのだ。




◇◇◇




リアムはフラつきながら廊下を歩いていた。

右頬は赤く腫れ上がり、口の中はほのかに血の味がする。

(いたたっ!こりゃ早く治療しなくちゃな…)

リアムは腫れた頬に手をかざし、魔力を込める。


ー「ヒール」ー


優しい光が傷を覆い、腫れた頬が元に戻った。

(そいえば、この魔法って初代剣聖様の時代には無かったんだっけ?)

そう考えてみると初代剣聖の二人はとんでもなくすごい人だったのだろう。

自分とは違って才能にも恵まれていたに違いない。

しばらく歩くと大広間に出た。そこの中央には一本の軍刀が飾られてある。

リアムはその軍刀に近づいた。

かなり古く、所々に傷があるのにいまだに輝きを失っていない。

その軍刀こそ初代剣聖の一人、ルイ・アルベールの軍刀である。


「綺麗だな…あっ!」


その軍刀を見て一つ思い出したことがあった。

それはリアムがまだ幼かった時、父が見せてくれたルイ・アルベールの手帳だ。

その手帳には確か、色々な剣技について書いてあったはずだ。


「俺もあれを読めばきっと…!確か、あの倉庫に保管されていたはず!」


リアムに微かな希望が湧いた。

そして倉庫に向かって走り出したのだった。

だが、この時は知る由もなかっただろう。

この行動が後に最悪の結果を招くことになることなど…

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