第1章 第4話 『追放と魔法学校』
ーーハア、ハア、ハア
日が傾きかけ、窓から朱色の光が差し込む頃、
リアムは一冊の古びた本を片手に屋敷の廊下を走っていた。
その顔はどこか希望に満ちた顔をしている。
リアムは父ロイがいる職務室まで全速力で走った。
この真実と魔法の可能性を知らせる為に。
《バン!》
リアムが職務室の扉を勢いよく開けた。その音に驚いたのか、ロイは一瞬肩をすくめた。だが、リアムを見てすぐにいつもの険しい顔に戻った。
「珍しいな。お前がここに来るなど…」
「はい父上。実は一つお伝えしたいことがございまして」
「ほう?、なんだ言ってみろ」
「この本なんですが……」
そう言ってリアムは倉庫で見つけた剣聖ルイの日記を差し出した。
しかしその瞬間、ロイの形相が鬼のように変わる。
だが、興奮しているリアムにはロイの顔など見えていない。
「実は今日、倉庫でこんなものを発見しましてね!」
「……ほう」
「それでなんと!この本には……」
《バコーン!》
「え…?」
痛い。背中が痛い。なんだ?何が起こった?
気づけばリアムの体は本棚に投げ飛ばされていた。
本棚は破壊され、数冊の本が地面に散らばっている。
混乱しているリアムにロイは近づき、胸ぐらを掴む。
「見たか?見たのか?見たんだな!」
「ち、父上…!?、これは一体…?」
「この本の内容を見たのかと言っているんだ!」
「…え、…は、はい。リアナ様が魔法を…」
「それ以上は喋らなくていい!」
ロイの荒い息が顔に当たる。
肩は大きく上下に揺れ、目を見開いている。
「どうしましたか?父上?」
嫌な声が聞こえた。振り返るとそこにはやはりゼオンがいた。
ゼオンはリアムを見るとため息をつき、ロイに近づく。
「父上、またこの出来損ないが何かしたんですか?」
「ああ、ゼオン…こいつが、その、剣を辞めたいなどと戯言を言い出したんだ」
「ちょっと待ってください父上!俺は一度もそんなことは…」
「あはは、なんだ兄さん、やっと自分の愚かさを理解したの?しかし、それを怒ってあげる父上も優しいね〜。さすがは剣聖様だ」
「全く、最後には裏口入学でもさせようと思っておったが、もう頭に来たわい!」
どうやらロイはこの真実を知っていたようだ。
だが、ゼオンには隠したことからゼオンは知らないらしい。
「でも父上、流石に我が一族から浮浪者を出すのはいけないのでは?」
「うむ、そうだな。ならばどうすれば…」
「あ!、父上僕にいい考えがございます!」
「ほう?それはなんだ?」
「この出来損ないの兄をあの衰退した学校に通わせましょう」
「ああ、あの学校か。まあ、魔法が多少できるこいつならなんとかなるだろう」
「ええ、あの学ーーーーーーー?」
「ーーーー。ーーーーーー」
話が勝手に進んでいく。
リアムは反論したかったが、背中の傷が痛くて声が出なかった。
そしてリアムは気を失ったのだった。
◇◇◇
3日後の朝、リアムは荷物の準備をしていた。
背中の傷は起きた後、『ヒール』で治療した。
リアムは荷物をまとめ、屋敷を出た。振り返ると懐かしい記憶が込み上げてくる。
「はぁー。…よし、行くか!」
リアムは一人で歩き出す。ある目的地に向かって。
ー「アシュリー魔法学校へ」ー




