第2章 第14話 『ダンジョントラップ』
ーーダンジョン第6階層
「お前ら、装備は全部持ったか?」
「ええ、大丈夫よ」
「うむ。問題ない」
「は、はい…大丈夫…だと思います」
「リアムも準備はできているか?」
「はい。いつでも行けます」
「よし。じゃ、第6階層の探索を始める」
◇◇◇
Cランクの冒険者パーティー、『戦士の卓』のメンバーは以下の通りだ。
ケイル:役職[剣士] 兄貴的な性格でパーティーをまとめるリーダー。
*同パーティーのセラは妹でかなり溺愛しているらしい。
シオン:役職[剣士]レイピア使い。素早さ特化の剣士。
*かなり裕福な商家の出で、冒険者は趣味でしている。
ドゴラ:役職[剣士(防御)]巨体の大剣使い。パーティーの中では最年長。
*年が二つ離れた妻と3歳の子供がいる。
セラ:役職[魔道士]内気な魔道士。回復の魔道具、『女神の聖杖』を使用。
*支えてくれる兄は頼もしいと思うが、そろそろ自立したいと思っている。
そして今回、魔術師であるリアムが参加している。
一応、貴族だと知られては気を使われ、コミュニケーションが取りにくいと思い、今日は魔法学校のローブを着ていない。
リアムとしてもあまり貴族扱いされるのは好きではないのだ。
ちなみに、魔道士は魔術師とは異なり、魔道具を専門に扱う役職である。
5人は6階層を順調に進んでいた。
「えーっと、リアムだっけ?今回はパーティーに参加してくれてありがとうな」
「いえいえ、こちらこそソロだったので助かりました」
「基本的にリアムはうちの妹のセラの魔道具に魔力を込めてくれればいい」
「あ、セラさんとケイルさんはご兄弟なんですね」
「ああ、そうだぜ。うちの妹は可愛いだろ?」
「ええ、そうですね。とても可愛らしいと思いますよ」
「ちょっとお兄ちゃん…!」
セラは顔を真っ赤にしながらケイルをポコポコと叩いた。
「いやー、わかってくれる人がいて嬉しいよ。だが……セラに手を出したら許さねえぞ?」
「……き、肝に銘じます」
「うん。よろしい!」
(俺、このパーティーでうまくやっていけるかな)
すると、セラが近づいてきた。
「あ、あの…兄がすいません」
「別に気にしていませんよ。いいお兄ちゃんじゃないですか」
「あ、ありがとう…ございます…」
「私にも弟がいますが、そんなに仲は良くないので羨ましいです」
リアムは思い出す。弟、ゼオン・アルベールを。
あの日、リアムをアルベール家から追放し、この魔法学園に通わせるように父に進言したのはゼオンだった。この時代、世間的に魔法学校は『輝きを失った没落校』といった印象が大きい。きっと、剣聖の家系の者が魔法学校に通うことで辱めを受けさせようとしたのだろう。だが…
(今となっては、むしろ感謝だな)
今はこの生活を何だかんだ楽しんでいる。良い友人もいて、相棒もいる。
確かに今、リアムは幸せを感じているのだ。
「ねえあそこ、なんだか雰囲気が違わない?」
「ん?あー、確かに。あんな通路あったか?」
リアムはシオンが指した方を見る。
確かに、そこには細いが通路があった。だが、少し薄暗くて不気味だ。
「まさか、隠しエリア!? ねえ、行きましょう!」
「全く、シオンはお宝には目がないんだから」
「うむ」
その言葉にドゴラも静かに頷く。
(確かシオンさんは裕福な商家の出だったな。やっぱりお金が好きなのかな?)
リアムはそんなことを考えながらみんなの後に続いた。
細い通路をしばらく進むと、少し開けた場所に出た。
だが、お宝らしいものは何も見当たらない。
「うーん、ハズレかー」
「どんまい。次があるって。さっさと元のルートに戻ろうぜ」
「そうね」
《ドーン!》
突然、後方で何か音がした。
振り返ると、来た道が大きな岩で埋められていた。
「まずい!道が!」
「お、お兄ちゃん…あれ…!」
「ん?なんだセラ?いったい何が……」
言葉を失った。その光景に。
《ギヤァァァァァ!》
それは奥から現れた大量の魔物だった。5人は即座に戦闘体勢をとる。
「ケイルさん、これって…」
「ああ、俺たちは誘い込まれたみたいだな…」
「ーーーーダンジョントラップに!」




