第2章 第13話 『戦士の卓』
あの変異オーク事件から1週間がたった。
リアムは授業を終え、療養室に向かっていた。
リットはあの日以来、まだ昏睡状態のまだ。一応、命に別条はないらしい。
リアムは療養室の扉の前に立ち、一度深呼吸をしてから扉を開けた。
扉の先には変わらず眠るリットの姿があった。リアムはリットの隣に立つ。
どうやら呼吸はしているようだ。リアムは安心感と同時に自責の念に駆られた。
彼が望んだこととはいえ、共に前線で戦ったのは間違いだったのではないかと。
だが、少し考えた後、リアムは呆れたように笑った。
「……いや、きっとお前ならこう言うんだろうな」
想像できる。彼にそのことを伝えた時に返ってくる言葉が。
きっと彼なら、リットならこう言うだろう。責め立てもせず、ただ一言、
(「ーー俺が自分で決めたことだ」)
『相棒』だからこそわかること。勝手な想像だと思うかもしれない。
だが、今ならなんとなくわかるのだ。
だから、彼が目を覚ました時にかける言葉は“謝罪”ではない。
「よく頑張った」という“賞賛”の言葉だ。
リアムはそんなことを考えながら眠っているリットの隣に立っていた。
◇◇◇
リットの様子を見に行った後、リアムは冒険者ギルドに向かっていた。
ダンジョンであんな目にあったとはいえ、流石に生活費は稼がなければいけない。
そして、これからは一人でダンジョンに潜らなければいけないのだ。
リットはあの事件以降、家の方からダンジョンへ行くのは禁止されたらしい。
魔法学校の生徒のほとんどが貴族の出だ。リットも例外ではない。
それにリットは長男だ。大切な後継を失うわけにはいかないのだろう。
リアムは冒険者ギルドに着き、荷物をまとめていた。
そして冒険者パーティーの募集メンバーの張り紙を見ていた。
リアムはこの1週間、一人でダンジョンに潜っており、第5階層をクリアしていた。
つまり、Fランク冒険者からEランク冒険者になったのだ。
これで、第15階層までの探索が可能になったのだ
だが、ここで一つの問題が発生したのだ。
それは6階層以降はパーティーでの探索が義務付けられていることだ。
死者を減らすためらしいが、リットがいない今、リアムは探索ができないのだ。
だからこそ、どこかのパーティーに所属しなければならないのだ。
「うーん、やっぱり魔術師の募集は少ないな…」
一通り見て回ったがやはり魔道具が主流の今、魔術師の募集は少ないようだ。
だが、一つだけ魔術師の募集張り紙を見つけた。リアムはそれを手に取る。
パーティー名:『戦士の卓』・パーティーランク:C
募集:魔術師 担当:魔道具の魔力補充
「はは、まあ、そうだよな…」
魔術師の募集理由はほとんどが魔道具への魔力補充だ。
そして、みんなそれが当たり前だと思っている。
だが、文句は言っていられない。リアムはその募集張り紙を手に歩き出した。
「じゃ、会いに行くとしますか。冒険者パーティー『戦士の卓』に」




