第2章 第11話 『帰還と新たな学友』
瞼の奥から感じる光が妙に明るい。これは太陽の光だろうか?
おかしい。さっきまで俺はリットとダンジョンにいたはずだ。
俺は確かそこで純白のローブを着た人に出会って…それから……ーー!
リアムの脳内にあのオークとの死闘が映る。
最後に目にしたのはリットの気を失った姿だ。
リアムは自分も気絶していたことに気づく。このままでは危ない。
もし、2人とも起きなければ魔物の格好の的となる。その前にどちらかが起きて護衛しなくてはならないのだ。
「ーーリット!」
リアムは重い瞼を開け、『相棒』の名を呼びながらまだ痛みが残る体を起き上がらせた。しかし、リアムの目に映ったのは想像とは全く違う景色だった。
窓から差し込む柔らかい光、風に靡くカーテン。
リアムはこの景色に見覚えがあった。確か前も同じ場所で目覚めたような…。
(ーーーー学校の療養室!)
《ガチャ》
「あー!起きた!起きたよニルくん!」
「え、本当?よかったねフランちゃん!」
突然、後ろで扉の開く音がしたかと思うと誰かの声が聞こえた。
一人は聞いたことのある声だ。この突き抜けるような明るい声はフランだろう。
もう一人は…分からない。聞いたことのない声だ。だが、声からして男だろう。
リアムは声のした方向に目を向ける。そこには案の定、フランが立っていた。
その隣には青色の刺繍が入った黒いローブを着た空色の髪の男が立っていた。
(この男の人は一体…)
「ああ、ごめんリアムくん。確かニルくんとは初対面だよね!ニルくん、自己紹介してあげて!」
「わかったよ」
そう言うと空色の髪をした男はリアムに近づき、話し始めた。
「僕の名前はニルス・レイベル。氷水の塔所属の水属性の生徒さ。一応、フランの彼氏をさせてもらっているよ。よろしくね」
「はい、よろしくお願いします。あれ、確かレイベルって…」
「あ、気づいた?そう、僕、レイベル家の者なんだ。あの氷の令嬢とか呼ばれてるアリス姉上の双子の弟さ」
「ああ、なるほどそれでか…」
しばらく話しているとまた、あの時の死闘が映った。
リアムはフランに焦った様子で聞く。
「リットは、リットはどこだ?無事なのか!?」
「お、落ち着きなってリアムくん!リットくんは無事だよ。ただ、リアムくんと違って怪我が酷かったみたいで今は医療室にいるよ」
「そ、そうか、無事なのか。よかった」
リアムはそのことを聞いてホッとしたのか、急に体の力が抜けた。
すると、まだ残っている疲労が眠気を呼び、ベッドに倒れ込む。
「お、おい。大丈夫なのかい?」
「いやー!リアムくん死んじゃだめ〜!」
二人は倒れ込んだリアムを心配そうに見つめる。
「はは、死にはしないさ。ちょっと疲れただけだよ…」
「しかし、そのリット?という男の無事を聞いて倒れるとは、そんなに長い付き合いの友人なのかい?」
「いや、会ったのはこの魔法学校が初めてだ。ただ…」
「ただ?」
「あいつは友達というよりかーー俺の、『相棒』だよ…」
「……そうか」
リアムはそう言い残し、また眠りについた。
◇◇◇
ーー校長室にて
「以上が、今回の事件の調査結果です」
「すまないねレイン。また彼らを助けてくれて」
「いえ、ただこれで奴らの目的、あるいは狙いが、あの二人のどちらかであることがわかりました」
「……そうね。奴らは本当に何が目的なのか」
「あの二人から何か聞けるかもしれません。どうでしょうか?」
「それは、あの二人に『奴ら』のことを伝えることになるわよ?」
「この際、仕方のないことでしょう。彼らにも協力してもらいましょう」
「わかったわ。それはあなたに任せる」
「承知しました」
謎に包まれた『奴ら』の正体が今、二人に明かされようとしていた。
今回はアリスとニルスの挿絵を描いてみました。




