第2章 第7話 『純白のローブ』
ーー王都カザリアの路地にて
純白のローブを着た男は短剣についた血を拭いていた。
すると、路地に誰かが入ってくる音が聞こえた。
男はその音を察知し、後ろを振り返る。
そこには男と同じ純白のローブを着た人物が立っていた。
だが、男と同じく顔がフードで隠れており、男女の区別もつかない。
「あれ?君はしばらく来れないんじゃなかったの?」
男は陽気に話しかける。すると、その者は男に近づき一枚の紙切れを渡した。
「あー、情報提供ね。ありがとう」
「ーーーー」
その者は声も発せず、ただ頭を縦に振った。
「ねえ、僕らとは結構長い付き合いだと思うんだけど流石に一言くらい喋ってくれない?」
「ーーーー」
「ちぇ、だんまりか。普段はあんなに喋ってるのにどうしてかな〜」
「ーーーー」
「まあ、とにかく情報はありがとう。お互い頑張ろうね」
「ーーーー」
純白のローブを着た人物は何も話さず路地を出て行った。
男は自分の純白のローブに手を当て、歩き出す。
「さあ、僕も動くとするか…」
隠れた顔からは金色の目だけが光を浴びていた。
◇◇◇
ーーカツーン、カツーン、カツーン
一歩一歩、足を進めるたびに足音がこだまする。
リアムとリットはダンジョンの2階層を探索していた。
「いやー、にしても2階層ってあんまり1階層と変わらないんだな」
「そうだね。基本的に出てくるのはゴブリンってとこかな…」
「またあんなバケモノが出てくると思ってたからさ」
「出てこないよ。レイン先生もあれは異常なことだって言ってただろ?」
「とか言って、また出てきたり…」
「おいリット、それは冗談がきついぞ」
2階層の探索は思ったよりも早く進み、あっという間に3階層の入り口まで着いた。
リアムは素材が入っている袋を確認する。
「結構狩ったけど、どうする?降りてみるか?」
「降りてみようぜ。まだ時間はあるしその方が儲かるだろ?」
「欲は自分を殺すぜ?」
「ならお前は行きたくないのか?」
「いや、行くに決まっているだろ?」
「そうでなくちゃな!」
二人は3階層に足を踏み入れた。
3階層も1階層とあまり様子は変わらないように見えた。
「確か、3階層からはオークが出るんだっけ?」
「ああ、そうだな。やばい、嫌な思い出が頭を…っ!」
「つまり、あの時のバケモノは3階層から来たのか?」
「階層を移動する魔物なんて聞いたことがないぞ?それに、あんな20階層並のオークがいてたまるかよ」
「そうだよなー」
そんな話をしていると、オークが現れた。
だが、やはり高さは3メートルほどであのバケモノほどではない。
「ほら、噂をすれば出てきたぞ」
「お!お前は下がっててくれ。俺がやる!」
リットはリアムの前に出て、オークに手をかざす。
集められた魔力は熱を帯び、やがて大きな火球となる。
ー「ファイヤーボール!」ー
オークは飛んでくる火球に当たり、うめき声を上げながら倒れた。
「はっ!これくらい楽勝だぜ!」
だがこの時、二人は知らなかった。この階層にいるもう一人の人物に。




