パンとキッチンカーと珈琲と
次の日、彩は様子を見て、「お兄ちゃん、ちょっと取材に付き合ってくれない?少しこの事件調べてみたいの。」
影介は少し考えると「いいよ。午後休憩時間に入れば17時までokだよ。」と答えながら影介は最近、夜の記憶が判然としないのが気になっていた。
「彩、また最近夜の記憶が曖昧なんだけど、俺変じゃないか?」
彩は笑って、「最近夜眠くてすぐ寝てるみたいよ。昨夜部屋除いたら畳の上で寝てたし。」と彩が言うと、影介はホッとしたように「そうか、確かに朝畳の上で目覚めたんだ。疲れているのかな。まあ大丈夫か。」と自分に最後はいい聞かせてるようだった。
読者諸兄に一つ補足すると父や兄から来るシャドウ宛の手紙はシャドウが処分している。また手紙の封筒には影介宛の手紙も同封されているのだ。当たり障りのない内容で。
昼過ぎの休憩に入ると、彩と二人で現場の千葉西公園に向かう。彩は取材で少し話した被害者の学生に連絡して途中で合流した。資料を無くした大学院生は笹塚さんといった。
「参りましたよ。大したものは入ってなかったんですが唯一、採取の順番とか考えるのに図面が入ってたんです。土地勘とか無ければ大丈夫とは思うんですが准教授の先生が慌ててしまい大騒ぎです。」
「この辺には防犯カメラは無さそうですね。」
「しかし、これだけ広いし、走っている人も多そうだし、目につきそうなのに。」笹塚さんは落ち込んでる。
「このベンチで寝込んだのは何時くらいですか?」と影介。
「昼過ぎ、午後2時くらいかな。」
そんな昼下がりで、そばに寄ったらわかりそうだし、目立ちそうだ。
「珈琲買ってからそこに座ったんだ。」
と笹塚さんが言うと
「え?珈琲?」と影介は驚く。
「そう、ほらあのコメット珈琲だよ。
ブレンドを買ってここで飲んでたんだけど。」
コメット珈琲店には結構人が入っていた。半分くらいはPCとか本に向かって何かしている人達だ。
「彩、警察は珈琲ショップの聞き込みとか防犯カメラは見たのかな?」
「さあ、確認してみるわ。大学は被害届けは出したと思うから真面目にやっているとは思うけど。」
影介は珈琲をテイクアウトで買い店を出ると盗まれた現場のベンチに座る笹塚さんのところに戻った。
笹塚さんはぼうっと遠くを見ていた。視線を追うとその先にはパン屋があった。「お腹空きました?」と影介の聞くと」「いや、あのパン屋、美味しいんですよ。たまにキッチンカ-の出店も出すんです。」と笹塚さんは話す。
「確かにお腹空いているかも。」と笑った。呑気な様子だが、ある意味、影介達はホッとしたのだった。
コメット珈琲の珈琲は美味しかった。影介はもっと珈琲を学ばなくてはと関係ないことを考えていた。




