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西千葉のホ-ムズ?

「お兄ちゃん、何やってるの?」

小さい時、夜になると影介の様子がおかしくなることがあり、気になった彩はいつも観察していた。その日は部屋にこもって何やら難しい本を読んでいた。英語で書かれた化学の本だった。お父さんの部屋から持ってきたらしい。「お兄ちゃん、読めるの?すごい!」彩がそのことを両親に話すと最初はすごく喜んだが、しばらくして影介の様子がどうも変なことに気づいた。何でもできる天才肌は夜だけの姿だったのだ。精神科医の先生に診せると二重人格とのこと。精神科の須山先生と相談の上、夜の天才肌人格者は診断の際のニックネームとしてシャドウと名付けられた。そして、まず催眠療法で影介の心の中に沈めることにしたのだった。さらに影介は犬好きで犬と過ごすときは、必ずではないがシャドウが出てこないことも多かった。そのため相棒として飼い犬の世話を影介に任せることにした。今の影丸は2匹目で、1匹目の影太が亡くなった際はしばらくはシャドウが夜の間現れ続けた。その時にシャドウの能力を皆が知ることになった。彼は影介が昼間見た内容から様々なことをやってのけた。このことは舎岩家の者の他には精神科医の須山先生しか知らない。そしてこの時にシャドウにはもしシャドウの人格で行動するなら目印に眼鏡をかけることを約束させたのだ。影介のためということでシャドウも納得した。影丸が来てからはシャドウは現れていなかった。これまでは。。


「シャドウ!何故今回出てきたの?」

「呼ばれたからさ。陽介兄さんからの手紙で。必要な時は呼ばれることになっていたんだ。」

親愛なるシャドウ、と言う出だしの手紙はシャドウを呼び出す合図だったのだ。彩は「まあしょうがない。事件が解決するならいいか。」と自分にいい聞かせるように呟き、二人は歩いて彩の職場の新聞社に向かった。

 彩の新聞社のビルの守衛に一言声かけして、彩はシャドウを新聞閲覧室に連れて行く。ここ1週間の記事で関係しそうなものをシャドウに見せる。「何でこの犬泥棒のニュースが気がかりなのかな、陽介兄さんは。」

「影丸に何かあったら大変だからな。」とシャドウは話してからしばらく考え込む。

「これ誘拐じゃあないな。犬は戻って来ているし、傷つけられてもいない。犬種は柴犬ばかりだな。」とシャドウは呟く。

「でも犬が勝手についていくなんてある?忠実な犬が。」彩は反論する。

「ウチの影丸の今朝の異様な行動。大学に向かった。。う-ん。」唸った後シャドウは急に微笑んで「わかった。可能性からはこれしかない。犬笛さ。」

「はあ?」彩は呆気にとられる。

「昼間の影丸さ。影介の記憶を辿ると影丸はかなり素早く反応したようだ。ただ影丸は女学生の持っていた鯛焼きの香りで止まってしまっていた。食いしん坊だからね。彼は。影丸を追って行ったあの時、周囲には他にも犬が大学に入って来ていたらしい。記事に少し記載がある。守衛に聞いたら時たま犬が入ってくるが、この正門では追い出すとのこと。この大学は他に東門、北門もある。誘拐されてる犬はあっちの門の近辺の家や店の飼い犬だ。」

確かに新聞社で見た事件は皆昼間、この大学の周囲で起こっていた。

「一晩で帰ってきたと言うのだから、狙いは交配と思っていい。犬種も選んでいるようだから。

ブリ-ダ-か?いやプロならきちんとやる。これはビジネスでなく自分のためにやったくらいのものだ。」

彩は途中から真剣な顔でシャドウの説明を聞いていた。

「大学の建物の上で昼間キョロキョロ眺めているやつが犯人だ。そして飼い犬に柴犬の雌を持っている。」

彩は次の日、影介にこれまでの情報から犯人像を絞ったことを話し、影丸を追って大学に行った時の状況を再確認した。そして影丸も連れて守衛さんと当日会った女学生にもその時の状況を聞き取り、やはり他にも犬が周囲にいたことなど裏を取った。そして犯人を見つけた。


 犯人は豆柴を飼っていた学生の長谷川さん。実家の愛犬の子供が欲しかったのだそう。守衛さんを連れて行ったら大変慌てて、反省もしていた。蘭の兄貴が千葉県警の刑事だったので相談したら、厳重注意と飼い主への謝罪で済んだ。

長谷川さんにはだいぶ感謝され、その後は喫茶シャドウを贔屓の店にしてくれている。


 この事件以来シャドウが時たま現れては事件を解決してくれるようになった。いずれ紹介したいが、大学内での土壌研究に関連した事件では警察から感謝状も出た。夜の間現れるシャドウから頼まれる事件に関する質問を、昼間に彩が影介を誘い同行する聞き込みの中でさり気なく入れ込む。影介のヒントにもなるがシャドウにも影介の記憶を通じてインプットできる。彩はシャドウのいわば助手なのだ。そしてシャドウの回答に彩が影介を誘導して解決させる。最後は影介の手柄とするが影介は彩のおかげと思っていた。

「彩の推理力はすごいな。まるでホ-ムズだ。」

「ホ-ムズねえ、そういえば舎岩はシャ-ロックと読めないこともないのよ。岩をロックと読めば。これいいかも!売れない喫茶店はやめて、探偵社にしたらシャ-ロック探偵社って。手伝うから。」

「ダ-メ、ウチは喫茶店!」と影介は叫んだ。

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