思わぬ答え
そこからは本当にわいわいと食事を囲んだ。
「キラリ~」
呼び掛けられ、クリスの方を向くと
何やらぎゅっと目をつむっている。
困惑。そして伝わる要望。
「?あ…塩?いる?」
「やった通じた~♪」
「口で言え口で」
そんなやり取りの中、
その能力ってさ、とクリスが呟いた。
「どのくらいの範囲聞こえるの?
すっごく聞こえるの?」
「あー…能力がわかったばっかりの時は
すごく聞こえてたけど、
今は近くにいる人の思考くらいかな。
前の世界にいた頃は、違う国の人間の
言葉はわからなくても、
思考はわかったんだけど、
クリス達に初めて気付いた時は、
こっちの言葉が
そもそも聞き取れなかったからなのか
最初はわからなくて。
今の『塩取って欲しい』とかは
すごく念じてくれたからなのか
はっきりわかったけど、
他はぼんやりしかわからないかな。
エイミーとかは『武器欲しい』って
気持ちしか伝わってこないし」
それはいつもの事だ、とリョウは思った。
というかそれしか考えてないことが殆どだ。
「っていうかエイミーの思考とか読んだら
精神病みそうやから見たらアカンよ」
ヤバイ人と目を合わせちゃいけません、
のトーンでリョウにたしなめられた。
クリスがんー…と小さく呟いて、
ね~ね~とキラリに呼び掛けた。
「もっかい思考読んでみて」
「え…」
さっきと同じようにキラリは集中して、
そして、
「…え…わからない」
と答えた。
力に目覚めてから初めての事だった。
読み取りづらい等の個人差はあるが、
全く読み取れないのは初めてだ。
「やった~大成功~♪」
喜ぶクリスに対し、
「いや、説明が先やろ」
リョウがキラリの気持ちを代弁して言った。
「細かい説明は魔力の構造とか
マナとかの話になってくるから省くけど、
多分キラリは水面みたいに人の思考をキャッチしてるんじゃないかな~と思って。それを伝わらないように水際で止めてる感じ?」
だからなくなってる訳じゃなくて、
止めてる感じ?
「その力があるからこそ、キラリって
人との関わりとか距離感とか
不安だしわかんないんだと思うんだよね。
だから、一回それナシにして、
こっちの生活に慣れたら
いいんじゃないかな?」
どお?どお?とクリスに尋ねられ、
二の句が継げない。
「いや…こんな電気消すみたいに
急に止めれる時が来るとは
思わなかったから…正直動揺してるけど…」
「そやねん。クリスって大概出鱈目やから
そんなん多々あるねん」
おいおい慣れていかんと、ハゲるで。
リョウに呟かれて頭皮を触る。
「まぁでも、聞こえんようにっちゅうんは
賛成やな。キラリすぐ顔に出そうやし。
とりあえずウチらと活動して、
慣れてから考えたらええんちゃう?
その能力もギフトやろ」
ギフト。
贈り物。
そう思ったことなどなかった。
嫌なことばかり聞こえて。
聞きたくなくても頭に入ってくる
呪われた力だと思っていた。
「ギフトって思ってくれるんだ」
「?あったり前やろ!
ウチがもらってたら悪事三昧やで!」
自信満々に答えられた。
「でも、正直者のあんたには、
しんどいことしかない力やったやろうな」
よう頑張ったわ。
そっけなく、
けれど確かに認められた気がした。
読んで下さりありがとうございます✨




