ご飯食べよう
程なくして、
「たっだいま~!」
と元気にクリスが入ってきた。
「なんかね、エイミーに
トレイもってもらおうとしたら
小鹿のように震えられたから
怖くなって自分で持つことにした~」
「…生まれてこのかた
武器と食器より
重い物は持ったことないのよ」
絶対に威張って言うことではない事を
どや顔でエイミーは言い放った。
本気である。
「絶対この食事より武器の方が重いやろうが」
リョウが言いながら片方のトレイを持った。
クリスが礼を言い、もう片方のトレイをテーブルに置く。
「あんまり体調良くないかもだから
こっちに持ってきたの~。
皆でご飯食べよ~♪」
キラリは何が好きー?と
クリスに微笑まれ、
そしてリョウにも話してみろと
アイコンタクトされ
キラリはおずおずと話し出した。
「あの…俺実は
皆の考えていることがわかる
能力があって…」
「あ、やっぱりそ~なの~?
え、魚は食べれる~?」
好き嫌いと同列で片付けられた。
「え…やっぱり…?」
「そー。治癒魔法かけたときの感じがね、
なんか不思議な力
持ってそうだったからから~。
お肉何でも食べれるかな~?」
「あんまり多種食べたことないけど
好き嫌いはないから…」
「なら良かった~♪」
じゃあ好きなとこ座りな~?と
促されてキラリがおろおろしている。
やれやれ、とリョウが請け負った。
「…な?悩むのアホらしかったやろ?」
「いや、でも思っていたことが
読み取られるって気持ち悪くない…?」
「え~キラリに
そんなこと言う奴がいるの~?
燃やす~?」
本気だ。
比喩でも冗談でもないところが
恐ろしいところである。
「…ちょっと。
思考が読めるから偉いとでも?
相手の目線と、武器の構え方と、
重心のかけ方を見れば、
どこに攻撃が来るかは
思考が読めなくても
把握できるのよ」
激おこぷんぷん丸よ。
と真顔で呟くエイミーは
やはり論点がずれている。
「うん。エイミーは
ちょっと黙っとこうか?」
厚みのある、血の滴りそうな
レアに焼かれた肉を皿によそわれ、
エイミーは開いた口を閉じ、
いそいそと席に座った。
虚弱だが大食で肉食である。
「キラリが悩んでたのってそれ?
だとしたら気にしないから大丈夫だよ~♪」
思考読まれて困ることないし!
ちょっと恥ずかしいけど!
「…そうね。困ることないわね」
困ることしかなさそうなエイミーが頷くが、
実際思考を読んで困るのは読んだ側なので
本人はへっちゃらである。
「…そんなわけで困ることないから。
あなたも困ることないのよ」
ややこしい。
堂々としてていいわ、と
どの位置からの物申しかわからない
エイミーから肩を叩かれ
キラリは俯いた。
「…だって…」
今までは違ったのだ。
先に言っても、後から言っても
相手の感想は変わらない。
え…気持ち悪い。
そんなの人間じゃない。
こちらの考えを読んでいながら
知らないふりをして過ごしていたのかと
面と向かって罵られたこともある。
そしてそんな相手の気持ちもわかるから、
早く知ってもらう方が
あまり傷付かくて良いと
できるだけ早く話してきた。
そして自分も楽だった。
そうしてその時の相手の親切を
有り難く思いながら生きてきたのだ。
「…本当に?」
俯いたまま、キラリは問いかけた。
「…本当に嫌じゃない…?
本当に…?」
その声は、本当に消え入りそうで。
滲む視界は揺れていて。
そんなキラリにクリスが言う。
あの軽い調子で。
「ホントにホント!
さ、ご飯食べよ~♪」




