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9/12

その前に

「キラリさえよければ、

ウチらと旅をしてもいい。

けど安全な旅やない。

野宿もあるし、

危ないとこやったら

交代で夜中ずっと

火の番をすることもある。

魔物の命を奪うことも、

相手によっては

人間を殺すこともあるかもしれん」

たまたま遭遇して、

たまたま介抱したからと

恩義に感じる必要はない、

とリョウは言った。

そんな関係はお互いにリスクしかない。


「だからこそ、

ちゃんと考えて決めてほしいねん

もちろん途中で抜けても構へん。

何をしたいか決まるまで

ウチらと来る?

時間が必要なら…

何日間かここに…」


滞在してる間に決めてもいい。


そう言いかけたリョウに対して

キラリがおもむろに口を開いた


「その前に、聞いてもらっていいかな?

…俺さ、

…人の考えてることがわかるんだ

前の世界からその力持ってて。

こっちではなんか…

ちょっと遠くで

聞こえる感じなんだけど

でも聴こえるんだ。

…だから…」

「…だから?」

「…俺、気持ち悪くないかな?って」


泣き笑いのような顔だった。

でもリョウには泣いている顔に見えた。

これから来るかもしれない痛みを

覚悟して耐えようとする顔だった。


「理解できない存在って気持ち悪い…だろ?

そういう人もいて当たり前だと思うんだ。

だから、行くにしても、離れるにしても、

そんな存在だって知っててほしくて」

もし受け入れ難かったらここで別れる。

そのやり取りが見える気がした。

「…なんでウチに話した?

あんたにしたら強味でもあったやろ?」

人の思考が読めると言うことは

相手に好印象を持たせることも出来る。

先読みができるのだ。

その手段には使う気がなかったのだろうか。

リョウの問いかけに対して

キラリは心底不思議そうな顔をした。


「え!?弱味じゃなくて?」


あー…これはとリョウは思った。


根っからのお人好しだ。

それでいて不器用で、

おそらく出会って親しくなった人間に

このやり取りをして、

そして傷付いてきた人なのだ。


「…なんで先にウチに話した?」

「勝手な憶測で申し訳ないんだけど、

一番しっかりしてるように見えたから、

冷静に判断してくれる気がしたんだ。

冷静に、あの二人にとって良くないなら

彼女達が傷付かないように

出ていけって

はっきり言ってくれる気がしたんだ」

ごめん、と小さく呟いた。


「本当はこっそり出ていこうかとも

思ったんだけど、何にも言わないで

出ていくのは恩知らずだし、

いい人達そうだから

探してくれるかもしれないと思って

こういう理由で出ていったんだって

言ってた方がいいかと思って」


あー…。

あー…これは。


重症だ、とリョウは思った。

相手に選択肢を委ねたというよりは

離れることを前提として話をしている。

自分の傷をさらして。

おそらくウチらが労を重ねたり

傷付かないために。


「あんな。

このメンバーで

一番年下なんウチやで」


「え!?」


あ、ごめん、と

絶対にさっきとは

異なる意味合いで

謝られた。

実年齢より老けてると

思われているに違いない。

まぁ慣れているし自覚もある。


「ほんまふざけてるわー…」

呟いたリョウに対しキラリは

ほんとごめん!と

予想を肯定した形でダメ押しした。


「そんな理由で踏み止まる相手なら

こないに老け込んでないわ!

大事な話なら皆にせぇ!」

「いやでも…」

「ええから。話してみぃ。

多分すぐ終わるから」

戸惑うキラリを一瞥し、

リョウは水差しから水を飲んで、

ついでにキラリにも水を渡して、

クリス達の到着を待つように促した。

読んで下さりありがとうございます✨

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