令和初のスキャンダル
『高ネオ STREET』は何事もなく、10月以降も継続が決定し、2年目に入っている。
「高ネオは3月契約終了の筈だったのに、また1年契約が伸びましたか」
「そうよ。貴方達作家もね。「この番組は続く!」って直感したからホンに「001」って三桁の数字にしたんだから!」
大石さんは破顔し、自分を信じた事を誇りに思っているな。
「初プロデュースの番組が当たって良かったあ。あたしもプロデューサーとして自信が付く」
下平も然り。気持ちは解らなくもないが。
「でも傲慢になっちゃ駄目よ。気を引き締めてプロデュースして行かなくちゃ!」
大石さんはプロデューサーの先輩として釘を刺したのだろう。流石は敏腕プロデューサー。
「ヤンキーは調子に乗り易いっすからね」
「ナリ、別に調子には乗ってないしあたしは元ヤン。仕事も一生懸命やってるっつーの!」
下平よ、流石は元ヤン。反論する事も忘れない。
「それより昨日、ニュース観ました?」
「何? 貴子ちゃん。それよりって」
気色ばむ下平は放って置いて。
「観たよ。ニュースどころか一般紙、スポーツ紙でも一面だったね」
「何ですか? 昨日のニュースって」
ナギジュンはきょとんとしている。
「宇多川首相の女性スキャンダルが明るみに出たの」
臼杵の澄まし顔の表情に対し、
「ああ、そのニュースね。今朝のニュースで観たよ」
ナギジュンは白々しい口振り。
「知らなかったんでしょ?」
「だから知ってるって!」
臼杵の返しにナギジュンはムキになるが、
「ナギジュン、もう遅いって」
彼女の右肩にポンと手を置いた。ニュースや新聞によると……。
宇多川首相は六本木のクラブ経営者に対し、
「私の愛人になってくれたらこんだけあげるよ」
と指を3本出したという。
「30万」
ママが訊くと、
「0が一つ足りないよ」
と返したそうな。
結局ママは宇多川首相の愛人にはならなかったが、「こんな男が総理大臣であってはならない」と考え、マスコミにこの事実をリークした。というのが昨日までの流れ。
この報道を受け、与野党のみならず、ワイドショー、週刊誌各社が宇多川首相を批判し始める。
だが当人は「個人的な問題。今は職責を果たして行くのみ」とコメントしただけ。が、宇多川首相のスキャンダルは海外メディアでも取上げられ始め、与野党からも「もうアウトだ」との声が聞こえ始めた。
皮肉にも指を出して「0が一つ足りないよ」のやり取りは世間で流行り出してしまう。




