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奥村真子の反応

「被害を受けたのは私です」

 報道局次長とアナウンス室長を同席させて会見を開く、だった。

「私は佐藤政行前財務官が起訴されようが、その罪を許す事は出来ません。佐藤前財務官には、自分が犯した罪と真っ正面から向合って欲しいと思います。

 

 でも私は氷山の一角に過ぎません。私以外にもセクハラで苦しんでいる女性記者は沢山います。それだけ社会的重い立場の役職に就いている人達によるセクハラ行為が、罷通り曖昧にされるのは許されない事ですし、由々しき事態です。


 その様な問題に真摯に向き合ってこそ、国会のセンセイ方がお決めになられた、男女均等法の在り方ではないでしょうか」。

 

 終始正面を向いたまま、俯いてメモに目を落とす事は少なく、眼光も鋭くて表情からは緊迫感が感じられた。口振りも淡々としていて語気は強い。何とも奥村真子らしい会見だ。 


 その日の夜。

「あの動画を現文に提供したの、相方でしょ?」

「オレは、彼女を守る為じゃなくて、ちょっと動ける範囲でやったまでだよ」

 敢えてクールに流した。

「ありがとう! ユースケ」

 相方は破顔。


「別に良いよ。それにしてもよく会見を開く事、上司がOKしたな」

「だって田崎大臣は名乗り出ろって言ったでしょ? 売られた喧嘩を買っただけだよ。ああ、これですっきりした!」

「それは良かった」

 奥村は尚も破顔。画策の目は自分が公に出る、て意味だったのか。今まで溜まっていたものが吐出されたようだ。


「あんたはやっぱり勝気だよ、相方」

 オレはクールに彼女の話を聞き、顔を窺っているだけ。「女は皆決然」といった所かいな?


 翌日、

「「放送作家某氏」って中山君の事でしょう?」

 会議前に事務所に立ち寄ると、早速陣内社長ににやつかれた。

「さあ、何処かの英雄気取りの作家じゃないですか」

 適当に誤魔化した。が……社長は奥村真子とオレが交際し、同棲している事を知っている。

「社長、何でユースケ君が「作家某氏」って解るんですか?」

 ナギジュンも何かを察しニヤニヤ。

「中山君が奥村アナと交際してるのを知ってるからだよ」

 社長、余計な事を吹き込むな!


「えーっ! ユースケ君が付合ってるアナウンサーって、奥村さんの事だったの!?」

「ナギジュン、白々しいんだよ」

「しかも同棲中なんだから」

 陣内社長もニヤニヤ。また余計な事を……。

「へえー」

 2人のにやついた目と表情、オレにアドレナリンが出てしまう。


「ガールフレンドを守る為に東奔西走するなんて、中々熱い男なんだよね、中山君って」

「そうですよね。何か見直しちゃった」

「今まで見損なってたのかよ」

「ううん。そうじゃないけど、改めて良い三従兄妹、教育係に出逢ったなあって思った」

 

 2人のにやつきの目に変化はなし。誉められてるんだかからかわれてるんだか……ツッコむ気にもなれず、唯々恥ずかしいのみ。


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